健康

ゲーム依存と睡眠の関係を調べたメタ分析のお話

「ゲーム依存っていろいろ問題だよねー」ってのはよく言われていて、


みたいに、肉体的にも精神的にも悪い影響を及ぼす可能性が示唆されているわけですが、中でも問題視されているのが「睡眠」との関連。

というのも、ゲームをしすぎると、

  • 睡眠時間が短くなる
  • 夜に眠気を感じなくなる
  • 社会的時差ボケが生じる
  • 日中に眠くなる
  • レム睡眠が減る
  • 睡眠効率が落ちる


といった具合に、様々な問題が生じるっていうデータがいっぱいあるんですよね。

しかしながら、「そもそもゲーム依存ってどう定義するの?」みたいな問題もあって、これまで定量的にゲーム依存と睡眠の関係をがっつり調べた研究ってなかったんですよ。

といったところで、最近のメタ分析(R)では、そこら辺の問題をまとめてくれていて勉強になりました。



一つ断っておくと、「ゲーム依存」って言葉は厳密ではなくて、実際に睡眠との関係を調べられた"problematic gaming" ってのは、以下のように定義されております。

  • オンライン、オフライン、デバイスの種類を問わず、身体的、精神的にネガティブな影響を及ぼすようなゲームプレイングのパターン


ってわけで、ここで取り上げる話題は必ずしも「依存症」の問題に限らないということは注意しといてくださいませ。



ゲーム依存症と睡眠の関係

で、まずはこれがざっくりどんな研究だったかと言いますと、

  1. 先行研究から、条件を満たした34の研究をピックアップ
  2. 合計51,901人のデータからを分析して睡眠とゲーム依存の関係についてまとめる


みたいになります。もうちょい具体的に見てみるとこんな感じ。

  • 12件が睡眠時間、11件が睡眠の質、7件が日中の眠気、15件が睡眠障害、1件が不眠、1件が朝型・夜型、1件が睡眠相後退、2件が睡眠・起床時間との関係を調べたもの
  • サンプルサイズは60~15,168人
  • 対象者の年齢は10~74歳
  • 5,625人が「ゲーム依存」(problematic gamers)に分類された


で、分析の結果どんなことがわかったかと言いますと、

  • ゲーム依存者は睡眠時間がより短かく(g=-0.238/ -20.79分)、この傾向は若い人により顕著だった(平均15.2歳のグループでは、g=-0.323, 平均23.7歳のグループでは、g=0.037)

  • ゲーム依存者は、非依存者に比べて睡眠の質が低かった(OR= 2.02)

  • ゲーム依存者は、非依存者に比べて日中により眠気を感じていた(OR=1.57)

  • ゲーム依存者は、非依存者に比べて睡眠障害を抱えるリスクが大きかった(OR=2.60)

  • さらに、ゲーム依存は睡眠相後退症、夜型のクロノタイプ、夜間覚醒、就寝・起床時間の遅れ等と関係していた


だったそう。

オッズ比の解釈はそう単純にはいきませんが、少なくとも睡眠時間が約21分も短縮するというのは結構重大な問題でしょうな。

ちなみに、当論文で引用されていた研究によると、

  • インターネット中毒と睡眠障害の問題のオッズ比は2.20
  • スマホ依存と睡眠の質のオッズ比は2.60
  • PC、テレビ、スマホ等あらゆるデバイスの過剰な利用と睡眠時間と関係はd=-0.25、睡眠障害との関係はOR=1.33


だったそうで、研究チーム曰く、

効果量におけるこれらの違いは、(テレビの視聴のような)「受け身」のメディアのタイプに比べて、ビデオゲームの双方向的な特徴が影響しているのかもしれない。


とのこと。テレビやネットサーフィンのような「なんとなく」でも見ていられるようなメディアに対して、ゲームはボタンを押したりいろんな主体的な意思決定のシーンがあるせいで睡眠への問題が大きくなりがちなのかもしれない、と。

また、睡眠時間への影響が年齢によって差が生じた点も気になりまして、この点についてはチームは以下のようにコメントしておられます。

今回のサブグループアナリシスに含まれた大人のサンプルは、大学生や若い大人で構成されていた。彼らは一般に朝に柔軟性(どの授業をとるか、出席するか否かの自由)がある一方、小学生から高校生はあらかじめスケジュールが決められており、夜遅く寝ても朝遅く起きる余地は少ないことが関係しているのかもしれない。


ってことで、いつまで寝ていられるかをある程度自由に決められる人(大学生とか)は、夜にゲームをやりすぎても睡眠時間がそこまで減らずに済む、と。(言われてみれば当たり前)

これを踏まえると、ゲームのやり過ぎと睡眠の問題を考えるときには年代や職業等によって結構詳細に分類して考える必要性がうかがえますな。

まとめ

そんなわけでまとめると、程度の差こそあれ、ゲームにのめりこむとあらゆる面で睡眠に問題が出る可能性は大。「ゲーム依存」の定義に当てはまっているかを問わず、睡眠に問題が出るようならゲームとの付き合い方を見直していただくといいかもしれません。

参考になれば幸いです。質問やコメントなどありましたらTwitterやコメント欄などでご連絡いただけると嬉しいです。

それではっ!



【参考動画】

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