健康

体臭と年齢、アルツハイマーと地中海食、前立腺がんと食事、内臓脂肪を減らす食事

体臭と年齢

人間は体臭だけで相手の年齢を見分けることができるか?みたいな研究が面白かったのでシェア。

研究では、若者(20~30歳)、中年(45~55歳)、高齢者(75~95歳)の3つの年齢層から体臭を採取し、41人の若者に評価させてます。結果は驚くべきものでして、

  • まず、高齢者の体臭は、若者や中年の体臭よりも強度が低く、不快さも少ないと評価された
  • 次に、参加者は年齢層を識別することができたが、特に高齢者の体臭でその影響が顕著だった。つまり、各年齢層で体臭の強度をそろえた場合でも、高齢者かどうかを正しく判断することができた

って感じだったらしい。研究チーム曰く、「この実験は、他の動物と同様に、人間も体臭だけで年齢を識別することができることを示唆している」と。

この結果にはどのような意味があるのか?私たちは無意識的に相手の年齢を感じ取っている可能性があるのはなかなか面白い話っすね。また、高齢者の体臭は必ずしも「不快」なものではないってところも、年配の方々への見方を考えるうえでかなり重要でしょうね。

アルツハイマーと地中海食

食事とアルツハイマー病理の関連を調べた研究が出ておりました。

具体的にはMINDダイエットと地中海ダイエットについて調べておりまして、抗酸化物質やビタミンやオメガ3脂肪酸などを豊富に含み、心血管系や脳神経系に良い影響を与えると言われている食事パターンですね。

で、米国ラッシュ大学医学センターのプージャ・アガルウォール博士らが行ったこちらの研究では、581人の高齢者(平均死亡時年齢91歳)を対象にした追跡調査(平均6.8年)を行っておりまして、死後に脳内のβ-アミロイド量やリン酸化タウ量(神経細胞内で異常発生するもう一つのタンパク質)や全体的なアルツハイマー病変数(神経原線維変化やニューロニックプラークや拡散性プラークを合計したもの)を測定しています。その結果、

  • MINDダイエットや地中海ダイエットをよく守っていた人ほど、全体的なアルツハイマー病変数 や特にβ-アミロイド量 が少なかった。
  • 具体的には、地中海食のスコアが最も高かった人は、最も低いスコアだった人よりも18歳ほど若いのと同様の病理状態だった。同様に、MINDダイエットでも12歳ほどの違いが見られた
  • この関係は年齢や性別や教育水準やAPOEε4型遺伝子(アルツハイマー病リスクと関わる遺伝子)に関わらず認められた
  • 具体的な食品で見ると、葉物野菜の寄与が目立っていた。具体的には、葉物野菜を最も多く食べていた人の脳組織は、週に1食またはそれ以下の人と比較すると、プラークの蓄積が19歳近く若かった

って感じだったらしい。もちろんこの研究からはどの食品が特にグレートな役割を果たしてくれたのかとかは分かりませんけど、ぱっと見ルテインとかフラボノイドの影響がでかいのかなーって感じですね。

これまでの同様の研究ではどうしても生きてる間の臨床的な認知能力を図るのとかがメインでしたけど、今回の研究で、やっぱアルツハイマー予防のためにも食事って大事だなーってのがより説得的になった感じっすね。

前立腺がんと食事

前立腺癌と血中の微量栄養素の関係について調べた研究が発表されておりました。この研究は、南オーストラリア州で行われたパイロットスタディで、前立腺癌患者と健康な対照群の血中の微量栄養素(すなわち、ヌトリオーム)の濃度プロファイルが異なるのでは?って仮説を検証してます。

前立腺癌は男性における最も一般的で命にもかかわる癌の一つですが、それに関連する栄養素の欠乏や過剰はまだ明らかにされてないって点を考えると重要な内容と言えるでしょう。微量栄養素は、細胞分裂やDNA修復などの生命維持に必要な物質であり、がん予防において重要な役割を果たす可能性がありますけど、どのような微量栄養素がどれくらい必要か、またその濃度ががんリスクにどう影響するかはよくわかってませんからね。

そこで、この研究では、116人の白人男性(平均年齢69歳)から採取した前立腺癌患者(後期発症)と132人の年齢・体重・喫煙歴・飲酒歴・運動レベル等でマッチングした健康な対照群から採取したプラズマサンプルを分析しております。その結果は、

  • 前立腺癌患者では健康な対照群に比べて、ルテイン・リコピン・α-カロテン・β-カロテンという4種類のカロテノイド類(色素成分)やセレン(抗酸化作用を持つ元素)の濃度が有意に低かった
  • 逆に、前立腺癌患者では健康な対照群に比べて、鉄・カルシウム・硫黄などの濃度が有意に高かった
  • 血漿中のリコピン・α-カロテン・β-カロテンが中央値以下である場合や鉄・カルシウム・硫黄が中央値以上である場合は、それぞれ高い確率で前立腺癌リスクと関連していました

だったそう。こう聞くとすぐさまサプリを買いに走る方もいるかもしれませんが、まずは食品から摂取する術を検討するのが良いでしょう。というのも栄養素の吸収の仕方は、食べ物、消化器官、その人の遺伝子型、場合によってはマイクロバイオームによって異なるもんで。まあ前立腺がんは人種によっても諸リスクが変わってくるんで、日本人にどれだけ当てはまるかとかは謎ですけど、家系とかで気になる方はとりあえずカロテノイド系の食品を多めにとるようにしてみるといいかもしれませんね。

グリーン地中海食と内臓脂肪

ご存じの通り、内臓脂肪とは、メタボリックシンドロームや糖尿病、心血管疾患などのリスク因子と密接に関係しており、健康的な体重管理や生活習慣病の予防にきわめて重要。しかし、どのような食事が効果的なのか?ってのはいまいちよくわかっていないところだったりもします。

そのなかでも「地中海食」代表格といえるでしょう。これはオリーブオイルやナッツ、魚や野菜などを多く含む伝統的な食事パターンで、ポリフェノールが豊富。ポリフェノールは、脂肪細胞の分化や増殖を抑制したり、インスリン感受性を改善したりすることで、内臓脂肪に有益な効果を発揮してくれるんですよね。

しかし、地中海食にもさまざまなバリエーションがあるんですよ。具体的には、レッドミートや加工肉の摂取量、ポリフェノールの種類や量が違ってたりしますね。

そんな中で最近のランダム化比較試験では、通常の地中海食とグリーン地中海食(後述)が内臓脂肪減少にもたらす効果の違いを調べてくれてて参考になりました。具体的には、この試験では、294人の参加者を以下の3つのグループに分けて食事指導と運動指導を行ってます。

(A) 健康的な食事ガイドライン(HDG)グループ:一般的なカロリー制限とバランスの良い食事
(B) 地中海食(MED)グループ:HDGグループと同じカロリー制限だがオリーブオイルやナッツ(28g/日)を多く摂取する
(C) グリーン地中海食(green-MED)グループ:MEDグループと同じカロリー制限だがさらに緑茶(3~4杯/日)やウォルフィア・グロボサ(ダックウィード株)プラント・グリーン・シェイク(100g凍結キューブ/日)を摂取し赤身肉や加工肉を減らす

で、みんなには18か月間この食事を続けてもらい、MRIで参加者のお腹周りの脂肪組織量の変化を測定してます。

その結果、

  • 両方の地中海食グループは同程度に体重やウエスト周囲径が減少していた
  • 一般的に健康的な食事でも内臓脂肪を4.2%減らせていたが、地中海式ダイエットでは6%減っていた。同時に、グリーン地中海食群では内臓脂肪を14.1%減少していた

だったらしい。食事を変えただけで14%も減らせたというのはかなり劇的な成果ではないでしょうか。まあこの研究からはどの食品が特に効いたのか?みたいなところはわかりませんけどおそらく複数の要素が関連しているのでしょうが、とりあえず内臓脂肪が気になる方は食物繊維や植物性の食品を多めにとってみるとよいかもしれませんな。

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