"Work hard, play hard!" みたいな言葉もあるように、休みを適切にとって、遊ぶときは本気で遊ぶ、といったメリハリのある生活が大事!ってのはよく言われるアドバイス。
実際、科学的にも余暇をしっかりとることのメリットは多く確認されていて、
- 幸福度が高まる
- ストレスが下がる
- 人生のコントロール感を得られる
- うつのリスクが下がる
- 人間関係が改善する
- 血圧が下がる
- 仕事のモチベーションが上がる
- 仕事の生産性が上がる
みたいに、心身の健康から仕事に関係するものまで幅広いメリットがあるんですよね。
とはいえ、言うは易く行うは難し。アメリカ人の8割が時間が足りないと感じていたり、やろうと思えばいつでもどこでも仕事ができちゃったりする現代において、休みを取ることに罪悪感を感じてしまうのもよくわかる話。
そんなところで新しい研究(R)では、「余暇を無駄だと思ってる人は、人生楽しめてないんじゃない?」みたいな話になっていて面白かったです。
休みは無駄!非生産的!と考えているとメンタルが病む
これはラトガーズ大学などの研究で、合計4つの実験から構成されております。
まず、最初の2つの実験では、普段から「余暇・休みは無駄!」って思ってる人にはどんな特徴があるのか?ってのを調べておりまして、結果、以下のようなことがわかりました。
- 余暇を無駄だと考えている人は、その場限りの余暇における楽しみのレベルが低かった
- この傾向は、余暇活動の内容が主体的(運動など)か受動的(テレビなど)か、人と一緒か一人かによらず同様に確認された
- また、余暇を無駄だと考えている人は、人生における幸福感、ウェルビーイングが低く、抑うつ、不安、ストレスを強く抱えている傾向があった
- これらの傾向は、年齢や出身地によらず同様に確認された
だったそう。「その場限りの余暇」ってのは、例えばハロウィンの夜のパーティに参加するだけ、みたいな活動のこと。
逆に、ハロウィンで子供にお菓子をあげる、みたいな活動は、「子供を育てる」という長期的な目標の一環となるわけで、このような活動においては余暇を無駄と考えていようが影響はなかったらしい。
この結果に対して研究チームは、
この結果は、ひとたび余暇は無駄で、忙しくあることこそ重要だと信じてしまうと、あなたがどこに住んでいるかにかかわらず、抑うつがひどくなり、不幸になっていくことを示唆している。
とのこと。余暇に対する考え方によってメンタルに及ぼす悪影響はなに人でも何歳でも同様に当てはまるんだよー、と。
「余暇は生産性アップにつながる!」と考えたら…?
とはいえ、これだとまだ相関がわかっただけというわけで、次の2つの実験では、あらかじめ参加者の余暇に対する思考を誘導したうえでどんな違いが出るのか?をチェックしてます。
具体的には、
- 参加者には「余暇は無駄!」「非生産的!」「余暇はむしろ生産性アップにつながる!」みたいな記事をそれぞれ読んでもらう
- 休憩時間に面白い猫のビデオを見せて、それをどのくらい楽しんだかを採点してもらう
みたいな感じで、無意識に余暇に対する考え方を操作したうえでちょっとした娯楽の楽しみ方に変化が生じるか?っていう因果関係を調べたわけ。
その結果、
- 余暇が無駄・非生産的だと考えた人たちは、有意に喜びのレベルが低かった
- 逆に、余暇は生産的な活動だと考えても、喜びのレベルが上がらなかった
って傾向があったらしい。つまり、余暇を無駄・非生産的だと考えると、自ら余暇の持つパワーを低減してしまっているかもしれないわけですね。
まとめ
そんなわけでまとめると、
- 余暇が無駄!楽しむ時間は不要!って考えていると、(種類にもよるけど)余暇を楽しめなくなり、人生もつまんなくなる!
ってことですな。これは多かれ少なかれ耳が痛い人も多いかもしれません(私も含め)。
じゃあ余暇をどのようにとらえればいいのか?って点については、研究チームは以下のようにコメントしておられます。
「余暇活動は長期的に役に立つ生産的な行動だ」と考えるといいかもしれない。
言い換えれば、余暇活動を自分が達成したいものと結びつけて考えるのがいいだろう。
たしかに仕事と余暇を完全に切り分けて、「仕事は忘れて休日を楽しむぞ!」と考えてみても、ふとした瞬間に仕事のことが頭に上ってきちゃうもの。仕事のことを忘れられない自分を責めて、それを無理に忘れようとするよりも、むしろ積極的に「この休みは仕事を早く終わらせるために必要なんだ!」って考えた方が余暇への考え方の改善やメンタルにもいい影響がありそうっすねー。
質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです。
それではっ!