「マインドフルネスで幸福感が高まる!」というのはいろんな実験で確認されているんですが,そのメカニズムはいまだブラックボックスだったりします.
で,新しい研究(R)を見ると,「マインドフルネスによって「徳」が磨かれることが一部の原因かも?」みたいな印象を受けました.
これはジョージア工科大学の実験で,346人の学部生が対象.まずは全員のビッグファイブを調べたうえで,以下のようなポイントをチェックしたそう.
- マインドフルネス(セルフアウェアネスとかセルフレギュレーションとか多角的に)
- 徳・強み
- 幸福度(個人的成長とか,セルフアクセプタンスとか)
徳って言っても別にたいそうなものじゃなくて,「個人の性格上の強み」みたいなもの.ここではポジティブ心理学の研究に基づいて作られた「VIS-ISテスト」が使われていていました.日本語版のテストもあるので,自分の強みを把握するために使ってみてもいいと思います.無料ですし.
上記のようなポイントを調べて,それらの関係を調べたわけです.まず,ビッグファイブとの関係においては,
- 外向性と誠実性が高いほうが幸福感が高い
- 神経症傾向が強いと幸福感がひくい
って傾向が出ていて,全体的な幸福度の25%から37%に影響を及ぼしていたそう.まあこの辺は従来の研究と同じ.
ただし,
- マインドフルネスと徳はビッグファイブと性別を合わせたよりも幸福度に及ぼす影響が大きい!
ってことが確認されたそう.つまり,マインドフルネスと徳の変数によって,幸福感のうち46%から62%が左右されたそうな.これはすごいっすねえ.さらにちょっと具体的に見てみると,
- 徳の要素に関しては,ビッグファイブや性別よりもマインドフルネスのほうがより大きな影響を及ぼしていた(6~16%).
- そのうち最も影響が大きかった徳の要素は,「好奇心」だった.
- マインドフルネスと徳はそれぞれが幸福度に影響を及ぼしていた.
- そのうちマインドフルネスは幸福感への影響が最も大きかった.
- 徳のうちでは,好奇心が個人的成長に,思いやりが良好な人間関係とセルフアクセプタンスに,セルフコントロールがセルフアクセプタンスと人生の目的の要素に相関していた.
- マインドフルネスのうち,徳と幸福度に最も影響していた要素はセルフアウェアネスと自己超越の感覚だった.
みたいな感じだったそう.要するに,マインドフルネスを鍛えれば,直接幸福度が上がるだけだけでなく,特定の強みの要素が強化されて,その結果として,さらに幸福度が高まるかも!っていうわけですな.
っていうことで,これで,「マインドフルネスによる幸福度向上」のメカニズムが完璧にわかったというわけではないですが,片鱗が見えた気がする,っていう感じ.まあとにかくマインドフルネスのトレーニングは不安とか鬱とかには間違いなく効きそうなんで,徳の要素も高まってくれることを期待しながらこれからも継続していこうと思いました.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterなどでご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!
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