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性格と人生の満足度、ゴルフvsノルディックウォーキング、完璧主義と飲酒習慣

性格と人生への満足度の関連はライフステージによって変わってくるんですかね?

性格特性が個人の幸福感や人生への満足度に大きな影響を与えることは、多くのメタ分析で示されてるところ。例えば、神経症傾向が低く、外向性や誠実性が高い人は、一般的に自分の人生や仕事や社会関係への満足度が高い、みたいな話っすね。

しかし、個人のパーソナリティや満足度は必ずしも一定ではなく、人生を通じて変化することも知られているんですよ。例えば、パーソナリティは年齢とともに成熟して、神経症傾向や開放性は減少し、誠実性や協調性は増加する傾向が確認されていたりしますね。また、人生への満足度も年齢とともに変動し、U字型のカーブを描くことが報告されております。つまり、若年期や老年期では高く、中年期では低くなるって感じ。

じゃあ、このような年齢に伴う変化は、パーソナリティと満足度の関係にどのような影響を与えるんだろう?というのは自然と疑問に思うところ。てことで最近の研究ではここら辺の疑問をがっつり調べてくれていて面白かったです。

こちらはオランダの大規模な代表的な縦断データ(N=9,110; 年齢範囲 16–95)を用いて、ビッグファイブ(神経症傾向、外向性、誠実性、協調性、開放性)と生活満足度(LS)、仕事満足度(WS)、社会的満足度(SS)の間の相関を分析しております。

一応、ビッグファイブについて簡単に復習しておくと、

  • 開放性:新しい経験に対してオープンである人。開放性が低いと、柔軟性に欠け、クローズな性格といわれがち
  • 誠実性:誠実性が高いと、やる気があって完璧主義の仕事人間、低いと、無責任で気が散りやすく、思慮が浅い人と表現されがち
  • 外向性:社交的で、興奮しやすい、注目を浴びたい人。外向性が低いと、引っ込み思案になったり、他人に対して冷たくなったりする
  • 協調性:他人と仲良くしようとする人。ヒトと合わせるために自分を殺すことも多い。また、従順で騙されやすい。協調性が低いと、人を欺いたり、操ったり、思いやりがなかったり、疑心暗鬼になったりしがち
  • 神経症傾向:不安定で、過度に感情的で、抑うつ的で無力なことが多い。神経症のレベルが低いと過度に感情が起伏することは少ない

って感じですね。で、本研究の結果、以下のような知見が得られてます。

  • 年齢に関係なく、神経症傾向はLSやWSやSSと最も強く負の相関を示した
  • 神経症傾向に次いで、誠実性はWSと正の相関が強く、外向性や協調性はSSと正の相関が強かった
  • また、年齢が高いほど、満足度とパーソナリティの関連は強くなっていた

感情的に安定している人、つまりビッグファイブでいうところの神経症でない人は、年齢を問わず、人生のあらゆる側面で満足していると感じる可能性が最も高いってわけですね。また、仕事の満足度は誠実性と、社会的な満足度は外向性や協調性と密接に関連していたってのも納得の結果でしょう。

まあ本研究からは因果関係は不明ですけど、とりあえず今何歳であろうと、神経症傾向の高めの人はちょっと改善のトレーニングをしてみると仕事や人間関係に対する見方が明るくなるかもしれないっすね。ちなみに、性格は50%くらいが遺伝、残り50%くらいが環境に依存する、って言われることが多いんで、完全に性格を変えるってことはできないでしょうが、ある程度は変えられる!って意識を持っておくのも大事でしょう。

ゴルフって案外優秀なのでは?

ゴルフは運動強度も低めだし、健康効果という面では劣ってる!みたいに認識されることが多いですが、実際には結構優秀なんじゃない?みたいなデータが出ておりました。こちらはゴルフとノルディックウォーキング、ウォーキングの3種類の有酸素運動が高齢者の血圧、血糖、血中脂質に及ぼす効果を比較したランダム化クロスオーバー研究でして、その結果はBMJ Open Sport & Exercise Medicineに掲載されてます。

ざっくりと研究デザインを確認しておくと、

  • 対象は、ゴルフをよくする高齢者25人(男性16人、女性9人、平均年齢68±4歳)
  • みんなには3種類の運動(18ホールのゴルフ、6kmのノルディックウォーキング、6kmのウォーキング)をそれぞれ1回ずつ行ってもらう
  • 運動前後に血圧、血糖、血中脂質を測定し、運動間の差を評価する

って感じで、それぞれの運動が心血管マーカーにどのくらい影響を及ぼすのか比較したわけですね。

で、気になるその結果はといいますと、

  • すべての運動は収縮期血圧を有意に低下させた(p<0.001)
  • ノルディックウォーキングとウォーキングは拡張期血圧も低下させた(p<0.05)
  • ゴルフはウォーキングと比べて血糖値の上昇を抑える効果があった(ゴルフ:0.01±1.0 mmol/L、ウォーキング:1.3±0.9 mmol/L、p<0.001)
  • ゴルフはノルディックウォーキングとウォーキングと比べて中性脂肪値を大きく低下させた(ゴルフ:0.13±0.2 mmol/L、ノルディックウォーキング:0.31±0.2 mmol/L、ウォーキング:0.23±0.2 mmol/L、p=0.012)
  • さらに、ゴルフはHDLコレステロール値をより上昇させる効果が見られた(ゴルフ:0.04±0.06 mmol/L、ノルディックウォーキング:−0.02±0.06 mmol/L、ウォーキング:−0.02±0.07 mmol/L、p=0.002)

だったらしい。要するに、どの運動も高齢者の心血管マーカーを改善するんだけど、血中脂肪と血糖値を安定させるグルコースの代謝に最も大きな影響を与えるのは、ゴルフだったよーってわけですね。ゴルフは運動強度こそ低いんだけどトータルの運動時間が長いおかげでエネルギー消費量が多くなるのが主要な原因っぽいですね。

まあ小規模な実験ですし、信頼性はそこまで高くないですけど、ゴルフの健康効果が十分に調べられていない点を踏まえると貴重なデータと言えるでしょう。とりあえずゴルフ好きの方は引き続きお楽しみください、ということで。

完璧主義と飲酒習慣

完璧主義はうつや摂食障害など、いろいろと害をもたらすことは皆さまご存じの通りでしょうが、最近出てたデータでは「完璧主義はアルコール使用障害とも関連しているぞー」みたいな話になっておりました。アルコール使用障害(SAUD)は、様々な身体的、心理的、社会的な問題を引き起こしますから、完璧主義による間接的な弊害がまた一個増えた感じですね。

こちらはSAUD患者65人と対照群65人に、完璧主義尺度(Hewitt Multidimensional Perfectionism Scale)や心理症状尺度を用いて調査を行ったもの。で、結果的に何が分かったかというと、

  • SAUD患者は対照群よりも自己志向的(自分自身に対して完璧さを求める)および社会的要求的完璧主義(他者から完璧さを求められていると感じる)のレベルが高かった
  • が、他者志向的完璧主義(他者に対して完璧さを求める)には差がなかった
  • この傾向は、うつや不安のレベルを統制しても変わらず、アルコール摂取量とも相関しなかった

だったらしい。要するに、自分は常に完璧でいなくては!自分にミスは許されない!って感じてる人ほどお酒を悪いように使ってしまいがち、というわけですね。実際SAUD患者は自己評価が低く(例えば、自己責任感が高く、自尊心が低い)、社会認知に問題がある(例えば、非現実的な社会基準や社会的孤立感が高い)みたいなことが確認されているようで、納得のいく結論みたいですね。

もちろんこの研究からは因果関係は不明ですけど、特にお酒との付き合い方を改善したい!と思っている方なんかはまず完璧主義の対策から講じてみるのも手かもしれないですな。

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