今月のおもしろかった本【2021年10月編】

ここ数か月、月イチペースでやってる「今月のおもしろかった本」シリーズの2021年11月バージョンです!今月趣味で読んだのは18冊で、なかでもよかった6冊をまとめておきます。





脳はこうして学ぶ:学習の神経科学と教育の未来

最近学習などの分野で名前をよく聞くスタニスラス・ドゥアンヌさんの最新作。最新の神経科学や認知科学の知見だけでなく、遺伝学やコンピュータ科学等も含む大量のエビデンスをもとに、「そもそも、人間の脳にとって『学習』とは何なのか?」「現段階で人工知能との距離はどのくらいなのか?」「学習を効率的に行うにはどうすればいいのか?」といったところの示唆を与えてくれる一冊。科学的に慎重な態度を維持しながら、読み物としても非常に面白い構成になっております。

医学やスポーツの世界がそうであったように、学習や教育の業界でも近いうちにエビデンスに基づいた方法が当たり前になるだろうといわれている昨今。教育や子育てに関わる人、もちろん学習者自身にとっても非常に有用な知見が豊富なんじゃないかと思う次第です。



〈脳と文明〉の暗号: 言語と音楽、驚異の起源

「ヒトの目、驚異の進化」で有名な理論神経学者のマーク・チャンギージーさんが今後は「聴覚」に焦点を当てて、「人類の言葉や音楽の起源」を探る一冊。

「なぜ人類は、一見便利そうな「視覚」ではなく、「聴覚」を使って話し言葉や音楽を発達させてきたのか?」「言語や音楽は人間の脳に生来備わっているものなわけはない」「言語や音楽は徹底して〇〇を模倣することで進化してきたのだ!」という仮説のもと、仮説を裏付ける多くの実験等が紹介されております。「〇〇」の部分はぜひ、ご自身で読んで確認してみてください。きっとうなり声をあげずにはいられないはず。

また、読了後には逆に、言葉や音楽に触れた際に「〇〇」を想起してしまうようになる、という逆転現象も感じられたりして、そういう点でも面白い一冊でした。



THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術

「なぜ「あれ」は流行るのか?―強力に「伝染」するクチコミはこう作る!」とか、ベストセラーも複数発表しているペンシルベニア大学のマーケティング教授が教える、「他人を動かす方法」がまとめられた一冊。著者曰く、この本の内容を一言で表現すれば、「サイドブレーキを見つける方法」とのこと。

タイトルの通り、自分の主張をゴリ押して相手を動かそうとするのではなく、「カタリスト(触媒)」として働くことで、相手に自ら行動を起こしてもらうための方法が大きく5つ紹介されています。

「心理的リアクタンス」とか「認知的不協和」とか、心理効果自体は知っていても応用するのは簡単じゃない場合も多いですが、実践例も多く紹介されていて、現実でトライしやすい形にまとめられているのもナイスでした。また、私のように口がうまくなくても、人を動かすときの視点を見直し、コツさえつかめば人の行動を変えられるのかもしれない、ってちょっと自信にもつながりました。



分析者のためのデータ解釈学入門 データの本質をとらえる技術

ここ数か月、評価が非常に高い一冊。昨今はエビデンスが重視されるケースは非常に増えてきているわけですが、「エビデンスが大事!」っていう漠然とした主張のみが独り歩きしていて本質がつかめていないケースも多め。本書では、「そもそもデータにはどんな種類があるのか?」「データを取集、分析、解釈するときにはどんなことに気を付ければいいのか?」といったポイントが網羅的・体系的に説明されております。

確かに各論に関してはより専門的に説明されている本は多いですが、一冊の中でここまで広く浅くわかりやすく扱ってくれているものは少ないように感じました。

データ分析はプロであっても、陥りがちな穴は多いですんで、データ初心者だけでなく、日がな一日データに触れている人が自分のデータ処理の手法を見直す際にも役に立つんじゃないかと。私自身も気を付けなければなーと思わされるポイントが複数見つかりました。



AIの遺電子 Blue Age

先月紹介したAIの遺電子シリーズの新連載。AIの遺電子 RED QUEENも一気読みして、Blue Ageも2巻まで読みました。

Blue Ageはまた近未来ストーリーのオムニバスで、テクノロジーの発展した社会における「人間臭さ」に心動かされ、いろいろ考えさせられます。テクノロジーとかAIとかの前提知識がなくても、誰でも十分楽しめる一作でしょう。続きも楽しみです。



Essential細胞生物学(原書第5版) 

「細胞・分子生物学を学ぶならまずはこれ!」といって間違いないEssential 細胞生物学第5版の日本語版がようやく発売されました。英語版は2019年に出ていて、私はそちらを参照していたんですが、日本語版も購入して適宜参照しています。

最近は翻訳版もめちゃくちゃ早く発表されたりしますが、Essentialは時間がかかっているだけあって、丁寧な訳で非常にわかりやすいんですよね。5版では、最新のDNA配列決定法や遺伝子編集技術等に触れられております。さらに、4版と比較すると、章を飛び越えたリンクが多くなっていて、そこらへんはありがたい感じでした。

少々高価ですが、遺伝子とかは今後も重要なキーワードになってくることは間違いないんで、一冊教科書代わりとして手元に置いておくといいんじゃないでしょうか。

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