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タスクの切り替えに伴う【注意の残留】を防ぐシンプルな方法

「マルチタスクをすると生産性が下がる!」みたいな話は有名ですけど、「行動上は一つのことしかやってなくても、脳はマルチタスクをしているんだぞ!」「それもまた注意力を下げちゃうんだぞ!」みたいなデータ(R)が面白かったのでメモしておきます。

要するに、取り組んでいるタスク自体は一つでも、前にやっていたタスクに注意力の一部が持っていかれていて、実質的にはマルチタスクの状態と同じようになっているというわけ。あるタスクについて、ひと段落ついたにもかかわらず、「さっきの部分はこうすればよかったな」「同僚にどう評価されるかな」「あのアイデアはグレートだったな」みたいな考えが頭をよぎったり反芻思考に陥ったりという経験は誰でもあるでしょう。

研究チームは、この現象を「注意の残留(attention residue)」と呼んでおります。最近では耳にする機会も増えている言葉っすね。つまり、取り組んでいるタスク自体はすでに切り替わっているのに注意はまだそのタスクにとどまってしまっている状態のこと。多くのタスクをこなさなければならない現代においてはなかなか深刻な問題でしょう。

同時に複数のタスクをこなす、いわゆる「マルチタスク」ではなく、「タスクの切り替え」に伴う認知能力の欠失という点は意外と見落とされがちなポイントかもしれないですね。



注意の残留を調べたミネソタ大学研究

さて、実験の概要はこんな感じ。

  1. 合計162人の学部生を集める
  2. 全員にはまず、簡単なタスクをこなしてもらうが、以下の要素によっていくつかのグループに分類する。①タスクの実行可能性、②時間的なプレッシャーの有無
  3. 注意力を測るためのテストに取り組んでもらう


ってな感じ。①の要素については、そもそも完了不可能な課題を提示することで、「一つ目の課題を終わらせられたかどうか」という違いによる「注意の残留」を評価。②については、「この課題は時間内ぎりぎりまでかかるので、急ぎ目でお願いします」とか取組中にカウントダウンを行うことで時間的なプレッシャーを与え、この操作が「注意の残留」の影響するかを調べたというわけです。



その結果、どんなことが分かったかといいますと、

  • 全体的に、別のタスクを行った後では注意力のテストのスコアが下がっていた(=注意の残留)
  • 前のタスクを完了できた人は、できなかった人に比べて注意の残留の影響が小さかった
  • また、前のタスクで時間的なプレッシャーを与えられた人も、注意の残留の影響が小さかった


ってことで、タスクのスイッチをする際にはどうしても注意の残留は起きてしまうんだけど、前のタスクに取り組むときには時間的なプレッシャーを設定し、ひと段落付けるようにするとその影響は小さくすることができるんだ、と。



さらに、「どうしてそんなシンプルな方法で注意の残留が減らせるのか?」っていうメカニズムについても調べられておりまして、結論としては、

  • 時間制限の中でタスクを完了すると、自信が高まるから!


だったそう。つまり、時間制限とタスクの完了が自信の向上と相関し、さらに自信の高さと後のテストのスコア(注意の残留)に関連していたらしい。



注意の残留を回避するシンプルな方法

そんなわけで、注意の残留によって脳のポテンシャルを発揮できなくなるという現象を回避するための対策としては、

  • タスクに取り組む際には、時間制限を設けるようにする
  • 各タスクは切りのいいところまで終わらせるようにして、無意識の注意のアクセスをいったん遮断する


といったところでしょう。いわゆる「ツァイガルニク効果」の状況は避けたほうが生産性を上げるという点ではいいのかもしれないわけっすね。

もっとも、「時間制限とタスクの完了は両立しないのでは?」とも考えられるでしょう。この点については、個人的には「カウントダウンではなくカウントアップ方式」を用いることで対応しています。つまり、タイムアタックとしてタスクに取り組むことで時間的なプレッシャーを維持しつつ、タスクの完了も両立してしまおうってわけです。実感としてはカウントダウンでもカウントアップでも効果は同じくらいのように感じるんで、お好きな方法をお試しいただければいいんじゃないかと。



研究チーム曰く、

今回の研究は、行動的には1つのタスクに集中しておりマルチタスクをしていない場合でも、心は完全には目の前のタスクにフォーカスしていない可能性が示唆された。

言い換えれば、マルチタスクは、会議中にメールやテキストメッセージに対応するような、同時的な課題の競合によるものだけではなく、複数のタスクや活動、責任を管理しなければならない状況下での心の機能によるものでもある可能性がある。


とのことで、シングルタスクの実践は当然として、タスク間の切り替え時においても脳のリソースは奪われてしまっているということを意識しておくといいかもしれないですな。

上で上げた通り、対策方法としても、非常にシンプルなんで費用対効果はかなり高めなんじゃないかなーとか思いましたね。

参考になれば幸いです。質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです。

それではっ!

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