学習

【性格別】環境によって自分のポテンシャルを発揮できるかが決まるのか?

「フロー状態」って言葉は聞いたことがありますでしょうか.

フローというのは,目の前の作業に完全にのめりこむことで,いったんこの状態に入ると,自分のポテンシャルを最大に発揮できる!と考えられております.スポーツでは「ゾーン」とか言われたりするやつに近いですね.まさに時間を忘れた「没頭」という感じっすね.

フロー状態に入りやすいと仕事や勉強がはかどるだけでなく,幸福度の向上,メンタルの安定なんていう効果もあったりします.

つまり,もし自在にフロー状態に入り込めれば人生イージーモードなわけですが,これが意外と難しい.それもそのはず.フローはかなりのエネルギーを使うので,なるべく発動しない方向に脳がプログラムされているんですよね.実際,フロー状態から復帰すると,どっと疲れを感じることも少なくないんですよ.つまり,脳は,緊急時に備えてエネルギーを蓄えておくため,フローのスイッチをなるべく入れない方向で進化してきたのです.



もっとも,そんな中でも「フローに入りやすい環境」というのがあります.過去の複数の研究では,「一人でいるときのほうがフローに入りやすいのか,それとも,人といるときのほうがフローに入りやすいのか」みたいな点が調べられていたりするんですけど,それを考える際に,「外向性」の要素を考慮する必要があるんじゃないの?って考えた実験(R)が面白かったです.

たしかに人と一緒に活動した場合と,一人の場合とで比較をするとなると,外向性の要素はそれなりに影響していきそうな気がします.

著者は,「フロー体験入門」などでおなじみのフローの第一人者,チクセントミハイ博士たちです.





実験は,19歳から81歳までの男女166人(平均年齢は35.9歳)を対象にしてまして,まずはアンケートで外向性のスコアをチェックし,「フロー状態とは何か?」を理解してもらう.そのうえで,参加者を以下の2つのグループに分けました.

  • 自分一人だけでいる状況をイメージする.そして先に説明を受けた「フロー状態」をいつも,どのくらい経験しているか,さらにその時自分がどんな活動をしているかを答えてもらう.
  • 人と一緒にいる状況をイメージしたうえで,同じ質問に回答する.


その後,さらに「フローに入る頻度」と,「いつも経験するフローの強度」に関する質問に回答してもらいました.



その結果わかったのが,

  • 一般に,一人でも,人といても,フローに入る頻度に有意差はなかった.

  • もっとも,一人でいるときのほうがフローの強度が強かった.

  • 外向性のスコアが低い人(内向的)のほうが,一人の時にフローに入る頻度が高かった

  • 外向性のスコアが高い人は,一人でいるときにのほうが,フローの強度が低かった


とのこと.つまり,やっぱり外向性とフローに入るための環境とでは関係性があって,

  • 内向的な人は一人の時によりフローに入りやすく,強度も高まる.

  • 一方外向的な人は,人といるときによりフローに入りやすく,強度も強まる.

ってことですな.他の研究なんかを見てみると,一人でいるときのほうがフローに入りやすい!という結論のものが多い気がするので,「外向性」という要素一つ加えるだけで結論が反転したことには少し驚きました.

内向的な人が,一人の時によりフローに入りやすい点について,研究者曰く,

内向的な人ほど,人といる状況ではフローの強度が弱まる.

(中略)

これを説明する一つの説として,人といる状況では,大脳皮質の覚醒がワーキングメモリーへの負荷になる,つまり,マルチタスクが困難になって,内向的な人にとっては,人といることで大きな不安を抱えてしまうのかもしれない.

とのこと.いかにもありそうだなーと思いました.



もちろんこの結論は今後覆る可能性もあると思います.もっとも,とりあえず今のところは,内向的な人は一人で,外向的な人は人と一緒にいる状況でフローを試してみるといいんじゃないでしょうか.

参考になれば幸いです.それではまた.

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