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働きすぎで寿命が縮む!を徹底的に調べたWHOとILOの研究のお話

「働きすぎが身体によくない!」ってのは当たり前ですが,みなさんご存じWHOとILOの新しい合同評価(R)では,「具体的に働き過ぎってどのくらいやばいの?」ってところを大規模なデータセットで調べてくれておりました.働きすぎによる健康影響に関するグローバルアナリシスは初めてだそうで,こいつはチェックしておく価値がありましょう.



これは,2000年から2016年の間の194か国における労働時間と虚血性心疾患,脳卒中リスクに関するデータをまとめたものになっております.さらにそれを年齢や性別,国の経済レベルや居住地域等の要素と比較をしたんだそう.

早速,その結果を見てみると,

  • 世界人口のうち,約4億8800万人,8.9%の人が長時間労働(週に55時間以上)をしていると推定される.

  • 2016年において,長時間労働の結果として生じた脳卒中や虚血性心疾患により約74万人が死亡し,2330万年分のDALY(障害調整生命年,疾病により失う命の年数と,障害を抱えて過ごす年数の和)が発生した.

  • そのうち,虚血性心疾患によるものは,死亡者数が約40万人,DALYが1070万年で,全虚血性心疾患のうち長時間労働が原因とみられるのはそのうちの各3.7%,5.3%だった.同様に,全脳卒中のうち長時間労働が原因とされるのはそれぞれ6.9%,9.3%だった.

  • 長時間労働が原因となって生じた心疾患,脳卒中による死亡者数は2000年に比べてそれぞれ約42%,19%増加した

  • 長時間労働による死亡者数は特に,男性,中高年,西大西洋,東南アジアの国で多くみられた.中でも,45歳から74歳のうちに週55時間以上働いた人が60歳から79歳で死亡する例が最も多かった.

  • また,週に55時間以上働く人の脳卒中,虚血性心疾患による死亡リスクは,35~40時間の人に比べてそれぞれ35%,17%高かった





といった感じ.ごちゃごちゃと書きましたが,要するに,

  • 週に55時間以上働く人はそれ以下の人に比べて心疾患,脳卒中のリスクが25%程度高く,さらにそのような人が近年増加している!


ということです.いやはや恐ろしいですなー.

もっとも,これは観察研究が主なベースですんで,はっきりした因果関係はわかりません.しかし,他のあらゆる要素を排除した結果なお,長時間労働が健康に悪影響をもたらす!っていうエビデンスの質の高い研究もあったりしますんで,やっぱりなるだけ労働時間は減らした方がいいんじゃないかなーとか思ったり.

とはいえ,仕事の内容を考慮せずにひとまとめにするのは注意が必要でしょう.というのも,他の研究を見てみると,

  • 国内で相対的に給料の低い人ほど長時間労働による虚血性心疾患リスクの向上度合いが大きい.
  • 知識労働の人ほど,仕事に対する不安が大きく,オーバーワークになりやすい.


みたいに,職種によって結構ばらつきが見られたりするんですよ.

また,意外にも富裕層の人たちは週に70時間以上も働く人が多かったりするんですが,彼らは長時間労働でもぴんぴんしていたりします.そう考えると受け身の仕事ではなく,ジョブクラフティングなどの手法を用いて主体的な仕事にするとか,働き方を見直してみることで,体内の炎症が減ったりするのかもしれませんな.

このような結果を受けてWHOの最高責任者は,

テレワークが多くの産業で一般的になっており,家庭と仕事の境界がしばしば不透明になっている.さらに,多くのビジネスではお金を節約するために規模の縮小,一時休業を強いられており,なお従業員として働いている人は結局長時間働くことになる.脳卒中や心疾患のリスクより価値のある仕事などない.企業や雇用者,労働者はともに,労働者の健康を保護するための制限を話し合うべきだ.


とのこと.新型コロナをはじめ,時代が変遷する現代における重大な問題だなーって思いますね.



そしてWHOは,労働者の健康を保護するために以下のような3つの指針を提案しておりました.

  • 強制的な残業を禁止し,最長の労働時間を保証する規約をつくる
  • 労働者と経営者で話し合って,フレキシブルな働き方を可能にする
  • 労働時間をシェアできるようにして,週55時間以上働かないようにする


みたいな感じ.上にもあったように,自分の健康に勝る仕事なんてほとんどないでしょうから,この機会に働き方を見直してみるといいかもしれません.

また,「週55時間以下ならいいの?」って疑問も当然あって,40時間以上でも脳卒中のリスクはアップする!みたいなデータも複数あるんで,減らせるなら減らした方がいいかもしれません.もっとも現実的じゃなかったりするんで,とりあえず最低ラインとして55時間を基準として,あとは仕事への意識とか働き方の方を見直してみるといいかもしれません.比較的労働時間が長くても,いやいや仕事をするよりかは楽しみやモチベーションをもって仕事をした方が心身に優しいのは想像に難くないでしょう.

参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.

それではっ!

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