「どこまで自分の内面・秘密を打ち明けるか?」って判断は意外と難しいもの。別にウソを重ねた会話をするべきという意味ではなくて、
- 隠し事は打ち明けたほうが無駄なことに脳のリソースを使わなくて済むし、信頼が強まるんだから隠し事なんてしないほうがいい!
- 気まずくなったり引かれそう話は、あえてしない方が無難。むしろ機嫌を損ねたりする方がリスクがでかい!
みたいなことは誰もが考えたり、聞いたりしたことがございましょう。これは誰もが日常的に直面する問題でありながら、あまり真剣に考えられていない分野なんじゃないでしょうか。
で、コロンビア大学の研究(R)では、「秘密や隠し事を打ち明けることは幸福感とどう関係するのか?」みたいな問題を調べてくれていて勉強になりました。
隠し事は打ち明けたほうが幸せになれる!はどこまで本当か?
これは4つの調査・実験で構成された論文で、秘密の開示とウェルビーイングの関係、さらにそのメカニズムを調査したもの。
それぞれの詳細は省きますが、4つの実験の概要をざっくりまとめてしまえばこんな感じ。
- 匿名化して個人情報に注意したうえで、合計800人以上の幅広い男女から10,000以上の秘密を集める
- 秘密を打ち明けることとウェルビーイングとの間にどんな関係があるのかを調べる
- 秘密のジャンルや、おかれている人間関係の状況、秘密に対するコントロール感等の要素によってその関係がどう変化するのかをチェック
それで、各人の抱えている秘密の数等を調整した結果、以下のようなことわかりました。
- 全体的には、秘密を打ちあけるとウェルビーイングが向上していた
- これは、隠し事の開示によってマインドワンダリング(心ここにあらず)の状態になる頻度が減り、コーピングエフィカシー(秘密に関するコントロール感)ことが影響していた
だったそう。
秘密を打ち明ける際の注意点
ですが、この結果だけを見て、「とにかく秘密は打ち明けるのが吉!」って結論付けるのはまだ尚早で、
- 「ここだけの話なんだけど…」「ほかの人には秘密にしておいてほしいんだけど…」といった留保をつけずに秘密を打ち明けた場合には、むしろマインドワンダリングの頻度が増えてウェルビーイングが低下していた
って結果になっていたそう。確かに、センシティブな隠し事を軽々しく打ち明けてしまったら、「もしほかの人にまで広まってしまったらどうしよう…」って心配・不安になるのは想像しやすいでしょう。
そのほかにも注意点がありまして、
- 秘密を打ち明けても感情的なサポートを受けられる、アドバイスをしてくれる、といった社会的なサポートを感じられていない人は、秘密を打ち明けてもコーピングエフィカシーは低下してしまい、ウェルビーイングも下がる
だったみたい。コーピングエフィカシーは、秘密の「開示」が無関係の状況でもウェルビーイングに重要な影響をもたらす要素なんですが、その前提として周囲がサポートしてくれる!っていう安心感がないといけないというわけですね。
まとめ
そんなわけでまとめると、
- 基本的には、隠し事を打ち明けると、秘密のことで頭がいっぱいになる頻度が減り、ソーシャルサポートを受け、秘密をコントロールできると感じられるようになることで、幸福感を高めることができる!
- でも、秘密を打ち明けることで「人からどう見られるか?」とかに関して心配がむしろ増大するような状況では、開示しない方がよさそう
ってなところでしょうか。結局、「反芻思考」がおさまるかどうかが重要なポイントになるんだなーとか思いました。
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それではっ!