メンタル

ぼーっとする時間は必要?【マインドワンダリング入門】

勉強や読書をしていたつもりがいつの間にか全く違うことを考えていたり、ぼーっとしていてはっとした、みたいな経験はあるのではないでしょうか。


このような、作業中の課題から意識がそれているときの思考のことを心理学の用語で、stimulus-independent thought (刺激独立思考)といい、この状態の思考に移行する現象のことをmind wandering (マインドワンダリング)といいます。マインドワンダリングに陥っていたことを認識する、つまり、勉強していたはずが今日の夕飯のことを考えていたり、明日のデートのことを考えていたりしていることに気づいてはっとしたとき、『何考えているんだ、勉強しないと!』みたいに思った経験がある人は少なくないと思います。実際、マインドワンダリングは覚醒中の30-50%の時間に生じるとされており(P)、日常的に起きている現象なのです。


 

マインドワンダリングによって、成績の低下とか、細かなミスが増えるとか、ネガティブな影響が多く主張されており、マインドワンダリング状態に陥っていることに気づく方法などもいくつか研究されてきました。


確かに車の運転をしているときにマインドワンダリング状態に陥ってしまっては、人の命にかかわる重大なことですから、なるべく避けるべき事項だと思います。でも、マインドワンダリングのポジティブな面は果たして存在しないのか、マインドワンダリングをうまく活用することはできないのでしょうか。


 

マインドワンダリングの状態になっているとき、すなわちボーっとしているときというのは、脳が休んでいる、働いていないというわけではなくて、集中して何かに取り組んでいるときとは異なるネットワークが活性化していることがfMRIを使った研究でわかっているのです。それは、Default Network というもので、日本語ではデフォルトモードネットワークといわれたりします。そしてそれは多くの認知機能との結びつきが示唆されています。


 

休んでいるときに記憶は定着するとよく聞きますが、それもこのデフォルトモードネットワークが関係していると考えられています。インプットを中断して脳内で必要な情報を整理しているわけですね。


 

さらに、デフォルトモードネットワークに欠缺が生じると、心にぽっかり穴が開いてしまったような状態になったり、脳の老化にも関係していると考えられているのです。


ですから、マインドワンダリングをなくそうとか減らそうというのはあまりよくない考えなのかもしれません。ちなみに、マインドワンダリングの抑制には、メタ意識を使って、現在の意識状態に気づくことが重要であるといわれていたりします(P)。


 

でも、スティーブジョブス氏もぼーっとする時間を作っていたという話もあり、ポジティブな影響というのはないのでしょうか。


デフォルトモードネットワークの欠陥によってメンタル上の問題が発生するといいましたが、その対比として、デフォルトモードネットワークの活性によって自己認識とか、自分が置かれている状態を客観的に見ることができるようになるといわれています。また、興奮状態のレベルを最適なレベルに保ってくれることで、日常生活でのパフォーマンスの向上が見込まれていたりもします。


さらに、上述の通り、マインドワンダリングの状態の時には多くの認知機能との結合が発生することから、発想力を鍛えるのにも有効と考えられていたりします。


たしかにトイレとかシャワーとか寝る前とかいろいろといいアイデアが浮かんでくることが多いのは実感としてわかりますし、昔から言われてきたことですね。家事とか、ほぼ無意識でできてしまうような作業の時にもアイデアが浮かんできやすいような感覚があります。なので私はそういう時間は無駄にしないようにしています。以前は音楽等を聴きながら行っていたのですが、今では、自由に思考を巡らせる時間にするために、音楽等を含めて外からの刺激を減らして、いつでもメモを取れる状態にしています。また、作業ののちには少しアイデアを練る時間にしています。


 

現代においては、暇つぶしの機会が非常に多くありますので、マインドワンダリングの時間が減っている人も多いと思います。心的障害の増加の一因にもなっているのかもしれません。暇ができたら、スマホに手を伸ばすのではなくて、ちょっとぼーっとしてみる時間を一日の中で少しだけ設けてみてはいかがでしょうか。


それではまた。

references

  1. Malia F. Mason et al. 2007. "Wandering Minds: The Default Network and Stimulus-Independent Thought"

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