最近やってる「マインドフルネスのデータをまとめてみようシリーズ」の第三回目(#1,#2)でーす.今日はマインドフルネスに関するメタ分析を3つほど見てみたいと思います.
統合失調症にマインドフルネスは効くか?のメタ分析
「統合失調症の人にマインドフルネス系の運動は効くか?」ってのを調べたメタ分析(R)が出ておりました.どんな調査かと言いますと,
- 統合失調症患者を対象にした7件のRCTを集めて,マインドフルネス系の運動をした場合とそれ以外の運動をした場合とのさまざまな効果を比較する.
- 対象者は全部で679人で,それぞれのサンプルサイズは61人から194人.
- 行われたマインドフルネス系の運動にはヨガや太極拳,対照群にはウォーキングやランニングなどが含まれた.
- 介入期間は6週間から6か月.
といった感じ.マインドフルネスの要素を含んだ運動を行うことで,より症状の改善したり認知機能に影響が出るか?ってことが調べられたわけです.
で,結果はこんな感じです.
- マインドフルネス系の運動をした方がより精神症状が改善していた.
- ワーキングメモリも向上していた.
- 注意力や社会的機能には優位は差はなかった.
- どちらの運動を行った場合でも副作用は確認されなかった.
ということで,マインドフルネス系の運動をした方が統合失調の症状も緩和するし認知機能の向上も期待できるかもってことですな.
もっともマインドフルネスの研究にはおなじみですが,研究の質は低から中程度ということで,効果があるといいなーくらいに思って試してみていただくのがいいかと思います.
ヨガとか太極拳は一般の人でも,少なくともメンタルにはいい影響がありそうなんで,やってみる価値は十分あるんじゃないでしょうか.
慢性痛にマインドフルネスは効くか?のメタ分析
「マインドフルネス瞑想で慢性痛は改善するか?」ってのを調べたメタ分析(R)が出ておりました.まずは研究の概要を見ておきますと,
- 慢性痛に悩む人を対象にして行われた過去の研究から38件のRCTをピックアップ.
- 慢性痛には,腰痛,頭痛,偏頭痛,関節痛などが含まれた.
- 総参加者は3,536人で,それぞれのサンプルサイズは19人から342人.平均年齢は30歳から78歳.
- 介入期間は3週間から12週間で,21件がMBSR, 6件がMBCTを行った.
- 対照群では,いつも通りの治療,何もしない,慢性痛に関する情報を教えるなどが含まれた.
みたいになっています.いろんな種類の慢性痛に対して瞑想のトレーニングが効くか?ってのを調べたわけですな.さらに,慢性痛の症状の変化に加えて鬱症状や生活の質といった要素も調べたらしい.
その結果何がわかったかと言いますと,
- マインドフルネス瞑想のトレーニングを行った方が多少慢性痛が改善していた.
- さらに,鬱症状,心身の生活の質も改善していた.
といった感じ.慢性痛っていろんな要素が複雑に絡まりあって起こる症状なんで,ただ物理的にマッサージとかしても治らなかったりするんですよね.なんで,痛みに対する見方,向き合い方が大事なんじゃない?ってことが言われていたりするんですよ.
今回の研究に関してもエビデンスの質は低程度というわけで,これさえやれば万事解決!というわけにはいきませんが,普段の治療に加えて試してみる価値はありましょう.
バーンアウトの予防,改善に効く方法は?のメタ分析
「バーンアウトの予防,改善に有効な方法って何?」ってポイントを調べたメタ分析(R)がありました.実験の内容は,
- 内科医を対象にして行われた,「バーンアウトに対する予防,対応策」の効果について調べた15件のRCTと37件の観察研究をピックアップ.
- 対策の中にはマインドフルネスベースのアプローチ,ストレスマネジメントのトレーニングなどが含まれた.
内科医のバーンアウトの問題は結構深刻なんだそうで,その対策もいろいろ講じられているらしい.その中にはマインドフルネスのトレーニングを含め,いろんな方法があるみたいで,それらは効果あるの?ってことが調べられたんだと.
で,結果はこんな感じ.
- 介入によって,全体的なバーンアウトが54%から44%へ減少.
- 感情的疲労のスコアが2.65ポイント減少.
- 離人神経症のスコアが0.64ポイント減少.
- 高感情的疲労が14%減少.
- これらの傾向は観察研究でもRCTでも同様に確認された.
ということで,マインドフルネスを含め,どの方法もそれなりにバーンアウトの予防,改善に効果があったらしい.
さらに,介入を個人単位で行った場合も,組織単位で行った場合も同様に効果が確認されたそう.ってなわけで,バーンアウトの予兆のある人とか,もう現段階でやる気が全然でないという人はボディスキャンとか簡単な方法のマインドフルネスから始めてみるといいかもしれません.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやコメント欄などでご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!