世の中には多種多様なダイエット法がありますが,「1年続ければどれも同じ!」「とにかく長く継続できる方法であることが大事!」なんてことが言われております.
とはいえ,やっぱりダイエットはそう簡単なことではなくて,ダイエットをしても半数近くは1年後にはリバウンドしているということが複数のレビューで確認されていたりもします.どうしても意志の力だったりモチベーションに頼っていると継続し続けるのは難しいんですよね.
そこで「最近これいいんじゃない?」といわれているのが「習慣」を作ってしまうこと.つまり,今既に形成されている習慣としての行動だったり時刻だったりを合図にして,それが到来したら特定の行動をする,と決めて,実行する.その積み重ねで特定のその行動すら習慣にしてしまおうという方法です.例えば,
- お風呂から上がったら体重計に乗る
- 15時になったら果物を食べる
- 夕飯を食べたら靴を履いて散歩に行く
- お菓子を食べたくなったらナッツを手のひら分だけ食べる
みたいな感じですね.ほぼ自動的にやってくる事象に結び付けてダイエットに必要な要素を実行する,イフゼンルールみたいな感じです.記憶や意志に頼らず合図が来たら自動的に実行することによって,継続するにつれて楽になり,ダイエットに成功しやすくなるんじゃないか?ってことっすね.
で,ボンド大学の論文(R)では,このような「習慣ベースの減量はどこまで効果的なのか?」みたいなポイントを調べてくれておりました.
これはBMIが25kg/m2以上の過体重又は肥満の人を対象にした5つの実験をまとめたメタ分析になっています.デザインを簡単に確認しておくと,
- トータルの参加者は630人
- 介入期間は8~14週間で,6~24か月のフォローアップが行われた
- 習慣ベースの介入群では,新しい習慣を形成するもの,悪癖を別の習慣に置換するものが含まれた.
- コントロール群は一般的な,生活習慣の改善を促すプログラム等を受けてもらったものから特に介入をしなかったものもあった
で,その結果をざっと確認すると,
- 8~14週間の介入後,習慣ベースのグループのほうが体重が優位に減少していた(2.5kg VS 1.5kg).
- 習慣ベースのグループのほうが2.4倍,臨床的に意味のある減量(体重の5%以上)に成功していた.
- 体重の維持の点ではコントロール群と有意差はなかった.
- 体重の減少,維持の両者において,習慣の形成と悪癖回避の手法のどちらを使った場合でも有意差はなかった.
みたいな感じになっています.5%の減量ってのは,太りすぎの人だったり肥満の人にとって大事な数字で,臨床的に健康メリットを大きく確認できるポイントであることがわかっているんですよ.
研究チーム曰く,
長期的な,コントロール群との比較に関してはさらなる正確な調査が必要だが,習慣変化の理論は,現在の臨床的な実践方法に習慣を変える方法を導入すれば,長期的な体重の維持に大きな変化をもたらすかもしれない.
とのこと.まだ長期的な影響についてはデータが足りないけど,個々人にあった「合図」を見つけて定着させられれば,長期的にも体重の維持に寄与する可能性は十分あるということですな.
まあたしかに習慣は人間の生活の40%を支配しているとか言われますから,習慣を自分でコントロールできればその影響は大きいですよね.
てことでダイエットしたいけど続かない!リバウンドしちゃう!みたいなことでお困りの方は,とりあえずどのダイエット法でもいいけど,そのルールをこんな感じで習慣に落とし込んでみるといいんじゃないでしょうか.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterなどでご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!
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