自然との触れ合いは心身ともに潤してくれるよねーってのは衆目の一致するところ.例えば観葉植物の効果を調べた研究とかは多くあって,仕事の生産性から,創造性,ストレスや病気リスクの低下まで様々な面でポジティブな効果が確認されていたりします.
そこで,プリマス大学などの研究(R)では,「自然環境との付き合い方が人間の心身の健康,環境に配慮した行動にどのくらい影響するの?」みたいなポイントを調べてくれておりました.
「自然と触れ合う」と一言にいっても,山の中で日々過ごすことから週一で森林浴に行く,はたまたスマホで川の動画を眺める,みたいに色々あるけど,どれがどのくらい効果あるの?ってことをチェックしたわけですね.
研究チームは,イングランドの16歳から95歳の男女4,960人集めて,以下のポイントに対応する質問に回答してもらいました.
- 日ごろの自然環境との触れ合いの状況(以下の3つに分類)
- 付随的なふれあい(山の中に住んでいて,いつでも自然と触れ合っているみたいな)
- 直接的なふれあい(山とか川に実際に赴くみたいな)
- 間接的なふれあい(動画や音声で自然環境に触れる)
- 主観的に自然とどのくらいつながっている感覚を抱いているか
- 主観的な健康度
- 人生への満足度
- 環境に配慮した行動をどのくらいとっているか(リサイクルとかエコバッグを使うとか)
あるメタ分析(R)なんかでは,自然とのつながりの感覚が幸福度とか自然への配慮に寄与するという報告があったりします.でもそれって実際に自然と触れ合ったからなのであって,本当に自然とのつながりの感覚そのものが影響しているの?みたいな疑問があったんですよね.この研究ではその辺を解消するためにそこのところは区別して調べてくれたわけですな.
で,その結果をざっくりまとめると,
- 自然の中に住んでいる人は全体的な健康度が低い傾向があった.
- 週一回以上自然環境に足を運ぶ人はそうでない人に比べて全体的に健康で,環境に配慮した行動をとっている傾向がみられた.
- 動画や音声で自然と触れ合っている人は,環境に配慮した行動をとっている傾向があった(実際に自然に赴いた人よりもその傾向が強かった).
- 自然とつながっている感覚の強い人は幸福度が高く,環境に配慮した行動をとっている傾向があった.また,それは自然とのふれあいの要素を調整してもなお確認された.
みたいになっておりました.自然とのふれあいと幸福度の間に相関がみられなかったり,先行研究と異なる点も複数みられまして,その辺はどうしても謎が残ってしまいます.当研究が横断研究である点,自己申告の点,相関関係に過ぎない点とかを考慮すると今後いくつかの点で覆る可能性は少なくないでしょう.
とはいえ,全体的に見て,自然とのふれあい,さらに自然とつながっているという感覚が人間にも環境にもいい影響を与えてくれそうなことが十分わかります.
研究チーム曰く,
我々の調査の込み入った結果は,自然とのふれあい,自然とのつながりの感覚を向上させる介入は,人間と自然環境の健康を相乗的に向上させるために必要なのかもしれない.
とのこと.自然からは遠のいてきている現代において自然との付き合い方を見直すことは人間にも自然にもメリットがあるってわけですな.さらに,
自然の世界とは離れていたとしても,適切なスクリーンタイムが環境保護に重要な役割を果たすかもしれない.
ともコメントしていて,別に自然そのものとは触れ合わなくても,家でのんびり自然の画像や動画,音声を聞くだけでも自然保護につながるかもよーというわけです.
ってことで,自然との触れ合いは画像とかを見るだけでも仕事や勉強の生産性アップも期待出来ていいこと尽くしなんで,生活に取り入れてみてはいかがでしょうか.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterなどでご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!
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