「大気汚染が体に良くない!」というのは常識.さらに最近では大気汚染はメンタルにも大きく影響してくるんじゃない?みたいな話も出てきておりましてどうにかしたいところであります.
さらに近頃チェックした論文(R)では,「大気汚染で若者の幸福感が下がってそれ以降固定されちゃう!」みたいな内容になっていてビビりました.
大気汚染で不安とかうつのようなネガティブな感情が増幅されるだけじゃなくて,幸福のようなポジティブな感情まで少なくなってしまうかもというんですな.
これは台湾の40地点で調べられた大気汚染の状態と,2571人の若者の幸福感を調査したコホート研究となっています.若者は調査開始時点で7年生で,9年生まで追跡して幸福感がどう変化したのかという点もチェックしたそう.また,大気汚染のレベルとしてはPM2.5, PM10, NO2の濃度が調べられたらしい.どれも大気汚染粒子として有名どころですね.
それで何がわかったかと言いますと,
- 大気汚染物質の濃度が高い地域では若者の幸福感のスコアは低かった.
- 大気汚染物質の濃度と3年後の若者の幸福感のスコアの”変化”との間に相関は見られなかった.
- この関係は地区の大きさとか参加者の数とかを調整してもなお確認された.
ということで,なかなか恐ろしいことになっております.若いうちにPM2.5, PM10, NO2に長期間さらされるとその分幸福感は下がってしまって,そのレベルである程度フィックスされてしまうかもしれないというんですな.
研究チーム曰く,
長期間大気汚染,緑の中に身を置くことは個人のメンタルヘルスの一般的な変化とはほんの少ししか関係していないかもしれないけれど,ある特定の年齢,年代の時のメンタルヘルスには大きく影響するかもしれない.
とのこと.大気汚染にさらされたからメンタルが悪くなる,緑に身を置いたからメンタルが回復する,というよりかは小中学生までとか特定の年齢の時までにどんな環境にいたかがそのあとのメンタルの状態にも影響するかもしれないということですな.
また,大気汚染によってメンタルが悪化するメカニズムは大きく以下の2つの説が推測されています.
- 大気汚染物質が肺から脳へ→脳機能,中枢神経系に影響→メンタル悪化
- 大気汚染物質によって身体的な悪影響発生→間接的にメンタルが悪化
まあこの辺はまだはっきりわかりませんが,メンタルのためにも大気汚染は早いうちから対策しておいた方がいいかも!ってのは心しておきたいところです.
もしかすると幸福感に関してはもう今から対策しても間に合わない可能性もあります.もっともネガティブな感情の増幅を止めたり,身体的な影響を押さえられる可能性は十分あるかと思いますので,今どんな年齢だとしても早めに対策を講じておくのがいいんじゃないかと思います.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterなどでご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!
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