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GRITって幸福度を上げるためにも役立つんですかねー?のメタ分析

近年、「GRIT」って概念が成功や達成の重要な予測因子として人気を博しているのは皆さまご存じの通り。で、最近見た「Do Grittier People Have Greater Subjective Well-Being」と題されたメタアナリシスでは、GRITは主観的な幸福感とも関連しているかどうかを調査してくれておりました。

主観的な幸福感とは、つまり個人の全体的な幸福感や生活満足度のこと。これは、感情的な側面と認知的な側面の両方を含む、複雑な構成要素から成り立ちます。主観的幸福感は、身体的健康の向上、仕事のパフォーマンスの向上、社会的関係の強化など、さまざまなポジティブな結果と関連しているため、科学的にも、主観的幸福感に寄与する要因を理解することは強い関心の対象となっていたりします。

念のため、「GRIT」についても簡単に復習しておくと、これは心理学者のアンジェラ・ダックワース氏によって広められた概念で、 "長期的な目標に対する忍耐力と情熱 "(Duckworth et al.、2007)と定義されてます。挫折や障害に遭遇しても、目標に集中し続けることができること、と表現されることも多いですね。ここ10年の研究で、GRITは学業成績、運動能力、キャリアアップの重要な予測因子となることが報告されていたりもしますね(一部疑問視されている点もありますが)。

が、GRITが主観的幸福感との関係においてどのような役割に果たしているのかという点はまだはっきりしていないところ。ある研究では、GRITのスコアが高い人ほど幸福度や生活満足度が高いことが示唆されているものの、一方で、この2つの構成要素に有意な関連性がなかったという報告もあるんですよね。

そこで、今回はGRITと主観的幸福感の関係を調べた61の研究のメタ分析をチェックしてみましょう。研究対象は、小学生、大学生、社会人、慢性疾患を持つ人など、さまざまな集団の合計36,157名となってます。

早速その結果を見てみると、

  • GRITと主観的幸福感の間には、わずかではあるが統計的に有意な正の相関があった。つまり、GRITのスコアが高い人ほど、幸福度や生活満足度が高いと報告する可能性が高かった
  • この関連は、性別や収入などの人口統計的要因などの他の変数をコントロールした後でも同様だった。ただし、GRITと主観的幸福感の関係は、いくつかの要因によって媒介されていた。具体的には、両者の関連は、年齢が高く、教育水準が高い人ほど強かった。

って感じだったらしい。多かれ少なかれGRITが高いと人生における幸福感も高くなるんだけど、GRITのメリットはより高いレベルの教育を受けた人が人生の後半で享受できる可能性が高いわけですね。確かに、仮に何かやらかしたとしても、「これは単なるタイムポイントで、成長の過程にあるだけだ(”Not Yet”と表現されたりもする)」とか考えてれば確かにいい人生を送っている感覚も得やすいでしょうな。

さらにこのメタ分析ではGRITの測定方法による違いも確認されておりまして、

  • GRITと主観的幸福感の関係は、(他人からの評価等ではなく)自己報告式でGRITを測定した研究でより強くなった

だったそう。つまり、たとえ他者からはGRITが高いとは見えなかったとしても、自分のGRITが高いと認識している人は、主観的幸福感が高い可能性がある、と。ちょっとGRITを高めるトレーニングをして「最近自分のGRITが高くなったような気がする!」って感じられるだけで幸福感や人生への満足度も高まるかもってのはなかなかうれしいポイントっすね。

まあそうはいっても、GRITが人生のすべての課題に対する万能薬ではないことに注意すべきなのは言うまでもなし。例えば今回のメタ分析では、燃え尽き症候群やワークライフバランスへの影響、GRITが引き起こすかもしれない潜在的なネガティブな影響については調べられてなかったりしますしね。あと、GRITと主観的幸福感の関係の因果の方向性も謎ですしね(例えば、幸福感や生活満足度が高い人ほど、目標を達成するための意欲や刺激が高くて、GRITマインドセットを鍛えてみよう!って気になる可能性が高い、一方、主観的幸福感が低い人は、目的意識や情熱を維持することが難しくて、GRITがなかなか高くならない、といった方向性も十分考えられる)。

このような限界はあるとはいっても、長期的な目標を達成するための忍耐力と情熱が、私たちの幸福度や人生の満足度を高めてくれる可能性があるのも事実。あてもなく暗闇の中で幸福を目指すよりも、少しでも光が見えていたほうが進むべき方向がわかっていたほうが嬉しいですもんね。

ってことで、ソーシャルサポート、経済的な安定、身体的健康など、他の要因にも気を付けながら、GRITも高める努力をしてみると、人生がもっと明るくなるかもしれませんよー、ということで。ちなみに、GRITを鍛えるには、この本なんかを参考にするのがおすすめです(定番だけどやはり一番手を付けやすい気がする)。

ではまたー。

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