ブロッコリーと言えば、「がん予防に効果がある!」ってことで日本でも話題になりました。
ブロッコリーには、食物繊維やカロテン、ビタミンC, E、鉄、カルシウム等を豊富に含んでいて、さらに、がん予防に効果が確認されているイソチオシアネートが含まれています。
また、ブロッコリーの新芽のことを「ブロッコリースプライト」と呼ぶのですが、このブロッコリースプライトには、イソチオシアネートの一種である「スルフォラファン」と言うがん予防効果のある成分が含まれており、ブロッコリー以上の強いがん予防効果が期待されています。
スルフォラファンは、発がん性物質や活性酸素の除去にかかわる多くの酵素の働きを促進するだけでなく、抗腫瘍化特性を有していて、癌細胞の細胞周期停止およびアポトーシスを発生させることがわかっているのです。
ってことで今回は、ブロッコリーとその他アブラナ科植物の生理学的な効果についてみてみたいと思います。(R)
アブラナ科野菜のがん予防効果
まずは、ブロッコリーを含むアブラナ科野菜をとることで予防が期待される癌についてみてみたいと思います。
アブラナ科の野菜には、白菜や、キャベツ、水菜、小松菜、カブ、ブロッコリー、カリフラワー、青梗菜なんかが含まれます。
ちなみにブロッコリーはキャベツの一種を品種改良することによって生まれたらしい。
- 週5サービング以上の摂取で、膀胱がんのリスクが減少(RR=0.49)
- 週5サービング以上の摂取で、悪性リンパ腫のリスクが減少(RR=0.67)
- 週5サービングの摂取で、前立腺がんのリスクが減少(OR=0.61)
- 週3サービング以上の摂取で、前立腺がんのリスクが減少(OR=0.50)
- 上位20%の摂取量で、大腸がんのリスクが減少(男性RR=0.76, 女性RR=0.51)
- 上位25%の摂取量で、乳がんのリスクのが減少(OR=0.05)
- 上位25%の摂取量で、腎臓がんのリスクが減少(OR=0.53)
ってことで、アブラナ科野菜の摂取によって複数のがんのリスクが減少していることがわかります。
アブラナ科野菜中の成分によって体内の炎症が減少していることなんかが理由として挙げられるでしょうか。
ブロッコリーはスキンケアとしても積極的に取るべき野菜として知られていますしね。
上の結果から、がんリスクの減少という点でいうと、大体週に3から5サービングくらいのアブラナ科野菜をとるといいでしょう。
1サービングっていうのは、葉物野菜の場合は生だと1カップくらい(アメリカの1カップだから240ml)で、調理して体積が小さくなった状態だと0.5カップくらいです。
なんで、週3サービングということになれば、毎日0.5サービングくらいとればいい計算になります。
アブラナ科野菜のもっと短期の効果
ガンは、複数の因子がかかわりあって形成されることから必ずしも因果関係がはっきりわかるわけではないので、もっと短期間の効果も見てみる必要があります。
- 一日17gのクレソンの3日間の摂取で、タバコ発がん性物質の代謝が増加
- 一日300gの赤キャベツの5日間の摂取で、赤身肉摂取後の尿中変異原性が減少
- 一日300gの芽キャベツの6日間の摂取で、PhIP/DNA ダメージが97%減少、peroxide/DNAダメージが39%減少
- 一日250gのキャベツと250gのブロッコリーの12日間の摂取で、PhIP代謝が増加
- 一日200gのブロッコリーと、235gのアブラナ科野菜の摂取で、CYP1A2/カフェイン代謝が増加
- 一日500gのブロッコリーの6日間の摂取で、カフェイン代謝が増加
- 一日500gのブロッコリーの12日間の摂取でカフェイン代謝、エストロゲン代謝、クロルゾキサゾン代謝が増加
- ブロッコリーの3日間の摂取で、PhIP代謝が増加
- 空腸灌流60g/lのブロッコリーと、33.4g/lの玉ねぎの摂取で、GST, UGT mRNAが増加
- ブロッコリースプライト68gの摂取で、ヒストン脱アセチル化酵素が抑制
- 一日400μmol グルコラファミンのブロッコリースプラウト14日間の摂取でアフラトキシン、フェナントレン排出が改善
- 1日100gのブロッコリースプラウトの7日間の摂取で、LDLコレステロールが減少、HDLコレステロールが増加
ダーッと並べてきましたが、アブラナ科野菜を摂取することで得られる効果の大きさがよくわかると思います。
もっとも、ブロッコリーは大体一株で300gくらいなので、毎日500gとかは現実的ではないかもしれません。
塩コショウとかをかけて、切ったり調理もせずそのままなまでかぶりつくのもいいと思いますし、とにかく一日1株くらいを目標に食べてみるといいのではないでしょうか。
参考になれば幸いです。それではまた。
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