運動

大気汚染のせいで屋外の運動はむしろ健康に悪いんじゃない?みたいな論文の話

近年非常に問題視されているのが「大気汚染」の問題であります。当ブログで取り上げた内容だけでも、


ってな感じで、大気汚染ってのは肉体的にも、精神的にも、脳にも様々なダメージを及ぼすみたいなんですよね。

一方で、これらのポイントについて逆にポジティブな効果をもたらしてくれるとされているものの1つが「運動」であります。運動している人のほうが心身ともに健康!ってのは当ブログでもよく紹介していますし、直感的、経験的にもよくわかる話でしょう。

しかし、運動の多くは屋外で行うことが多いのが事実。といったところで新しい研究(R)では、

  • もしかして、運動のメリットって大気汚染のせいで損なわれてたりしない?


みたいな問題を調べてくれていて参考になりました。季節的に涼しくなってきたと同時に、種類によっては大気汚染物質の濃度が高くなってくる時期でもありますから、そこらへんは気になるとこですよね。



大気汚染のせいで屋外の運動はむしろ健康に悪いんじゃない?

これはカリフォルニア大学などの研究で、60歳以上の男女1,090人を対象に、最大10年間の追跡を行ったらしい。全員の住んでる地区におけるオゾンの濃度と身体的な活動量を調べて、糖尿病の発症リスクとの関係を調べております。

オゾンは最近注目されている大気汚染物質の一つで、特に人口密度が高かったり交通量の多い地域で濃度が高くなる傾向があります。オゾンによる長期的な影響を調べた研究はあまり多くはないんですが、オゾン濃度が高いと、心肺疾患や代謝性疾患といった健康影響が確認されてたりするんですよ。

身体活動の種類としては、ガーデニング、散歩、スイミング、ダンス、キャンプみたいに、ガチの運動ってのだけじゃなくて幅広く分析に含まれたんだそう。



それで、年齢や収入、BMI等を調整した結果、以下のようなことが分かりました。

  • オゾン濃度が10ppb上昇すると、糖尿病リスクが約13%上がった。この傾向は、窒素酸化物やPM2.5など他の大気汚染物質濃度を調整しても同様に確認された

  • 全体的には、身体活動レベルが高い人は、身体活動レベルが低い人に比べて糖尿病リスクが36%ほど低かった

  • もっとも、屋外での身体活動レベルが高い人は、糖尿病の発症リスクが約50%高かった


だったそう。要するに、全体的には運動は糖尿病リスクを下げるけど、オゾン濃度が高くなると屋外の運動はむしろリスクを上げてしまうかもしれないよーって感じ。なんとむなしい……。



屋外の運動で不健康になる原因は?日本人にも当てはまる?

同じ時間屋外にいるのに、健康影響が異なるのはなんで?ってな問題に関しては、

  1. 運動によって呼吸頻度や一回換気量、口呼吸の割合が増える
  2. オゾンなどの大気汚染物質が肺や体の奥まで届きやすくなる
  3. 酸化ストレスが誘発される
  4. 全身の炎症反応や自律神経の反応に異常が起こる


みたいなメカニズムが想定されてます。わかりやすいし、いかにもありそうな説明っすね。

まあカリフォルニアと東京ではオゾン濃度は10ppbくらい違うし、人種や年齢による差異も想定されるんで、日本に住む日本人にそのまま適用できるかは謎です。とはいえ過去の研究を見てみると、オゾン濃度が高い地域で体をよく動かす子供は喘息を発症するリスクが3倍以上高い!って報告もあるし、香港等アジア圏の研究でも同様の報告があるんで、多少数字に違いはあるとしても、十分我々にもデメリットは発生しそうであります。

研究チーム曰く、

悲しい哉、この研究で明らかになったのは、健康やウェルネスに関して正しいことをしているカリフォルニア州民でも、空気の質が悪いために糖尿病のリスクにさらされているということだ。

特に社会的弱者において、身体活度から得られる健康上のメリットが大気汚染によって減少しないように、地域社会におけるオゾンの曝露量を減らすための政策と戦略が必要だ。


とのこと。以上のことを踏まえると、やっぱり車通りの多い場所でのランニングとかはトータルのデメリットを思うと厳しいのかもなーとか思いました。心当たりのある方はどうかお気を付けください。

参考になれば幸いです。質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです。


それではっ!

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