人間関係

【研究】話を聞いてくれる友達を持つほど認知機能が衰えないのだ!

「脳の構造のわりに認知的なパフォーマンスが衰えない人っているよねー」みたいな話は以前にもしたことがありました。これは、「認知的なレジリエンスが高い」なんて表現されたりもするんですが、要するに、脳の構造自体は小さくなっても認知能力は高いまま維持されている人が一定数いるんですよ。

認知症の問題が深刻化している現代においては、この認知的レジリエンスの問題は重要なキーになってくる可能性があるわけです。

で、この認知的レジリエンスが高い人にはどういう共通点があるのか?高めるにはどうすればいいのか?ってポイントが盛んに調べられていて、肉体的な健康、メンタル面の健康、教育レベルのほか、人間関係なんかが関係しているんじゃないかと考えられております。

といったところで、新しい研究(R)では、「人間関係のうち、認知的レジリエンスに関係のある要素ってどれなの?」みたいな問題を調べてくれていて面白かったです。「人間関係」にターゲットを絞って、脳が元気な人の特徴を探ったわけですね。





付き合うと脳が衰えない人の特徴とは?

これは、ニューヨーク大学の研究で、アメリカの45歳以上の2,171人の男女が対象。対象者の平均年齢は63歳で、認知症や脳卒中等の経験がない人を選んだそう。

研究では、複数のテストで全体的な認知機能を測定したのち、MRIで脳のボリュームを計測。さらに、社会的なサポートに関する以下の5つの質問に回答してもらって、それらの結果をまとめております。

  • 傾聴:「必要な時にはいつでも話を聞いてくれる人はいますか?」
  • アドバイス:「何か問題があればアドバイスしてくれる人はいますか?」
  • 愛情:「あなたを愛してくれる人はいますか?」
  • 感情的なサポート:「感情を支えてくれる人はいますか?」
  • 十分な交流:「信用している人、近しい人に十分な頻度で会えていると思いますか?」


そんで、年齢や性別、教育レベル等の要素を勘案して、以上のデータを分析したってわけ。





話を聞いてくれる友達を持つほど認知機能が衰えないのだ!

すると、どんなことがわかったかと言うと、

  • 「傾聴」の指標が高かった人(つまり、話を聞いてくれる友達、家族がいる人)は、この指標が低かった人に比べて、認知的なレジリエンスが高かった(β=-0.11)
  • 他の4つの社会的サポートに関する回答と認知的なレジリエンスとの間には有意な関係は見られなかった


ここでいう「認知的なレジリエンス」ってのは、脳の全体的な体積に対する認知パフォーマンスのこと。つまり、いつでも話を聞いてくれる友達、家族を持つ人は、脳の体積が小さくなっても、認知機能は低下しにくいってこと。

さらに、

  • 傾聴による影響は、65歳以下の比較的若い人においてより顕著に確認された(β=-0.16)
  • これらの傾向は、その他の諸要素を調整してもなお確認された


って傾向もみられたんだそう。40, 50代のうち、話を聞いてくれる友達、家族がいない人は、そのような友達、家族を持つ人に比べて認知的な年齢が4年以上も高かったらしい。

この点について研究者は、

この4年間は本当に貴重なものだ。脳の健康を守るための方法を考えるのは、脳の健康にいい習慣を身に着け、それを維持するための多くの時間を失った何十年もあとで、ずっと年を取ってからようやく始めることが多いのだ。

しかし、今日、今すぐに、自分の話を親身になって聞いてくれる人がいるかどうかを自分自身に問いかけ、大切な人にも同じように問いかけてみてください。このシンプルな行動をとることで、長期的な脳の健康と、最高のQOLを実現するためのプロセスが動き出すだろう。


とのことで、手遅れになる前に、耳を傾け、肩を貸してくれる人がいるかを確かめ、もしいなかったらなるべく早く作っておいた方がいいかもよーってわけですな。



まとめ

そんなわけでまとめると、

  • 話を聞いてくれる友達、家族を持つことで、たとえ脳がちっちゃくなってもボケにくくなるかも!
  • なるべく早いうちからそういう友達、家族を作っといたほうがよさそう!


って感じ。「孤独な人ほど認知機能が低下する!」みたいなデータは多いですが、ただ友達をいっぱい作ればいいというわけではなく、「親身になって話を聞いてくれる友達」を持っておくことが大事なわけですな。

実際、先行研究によれば、傾聴してくれる友達を持っている人は認知症のリスクが33%低下する!なんてデータも出ているようです。やっぱり人間関係は量より質!を目指すべきってことを改めて実感できますね。

また、以上の結果に関して、因果関係は不明ですが、研究チームは以下のようなメカニズムを想定しておられました。

  • 話を聞いてもらうことは、社会的行動や実行機能において役割を果たすオキシトシンの分泌を促したり、シナプス形成や神経修復に重要なプロセスが働きやすいのかもしれない
  • 社会的な相互作用によって、BDNF依存性の神経新生を増加させるのかも


まあ、ここら辺のメカニズムは複雑でありそうなんで、解明には時間がかかりそうですが、とりあえず認知機能を若く保つためにも、いい人間関係を築いておくといいかもよーっていう話でした。

参考になれば幸いです。質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです。

それではっ!

【参考動画】

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