健康

「夜更かしでテロメアが短くなる?」みたいな研究の話

夜更かしでテロメアが短くなる?

「夜更かししてるとテロメアが短くなるかもだぞ!」っていう研究(R)についてメモ。

「テロメア」っていうのはご存じの通り、染色体の端で染色体中の遺伝子情報を守っている構造のことで、細胞の老化を決定し、加齢による疾患だったり生物の寿命に関連しているといわれているやつですな。

これまでも「睡眠時間が短かかったり長すぎる人はテロメアが短い!」っていう研究はあったんですが、結果が結構ばらばらだったり、それに「テロメアの減少率」が睡眠によってどう変わるか?ってポイントはわかってなかったんですよ。

そんなわけで今回紹介する研究では、睡眠習慣とテロメアの長さや短くなるスピードを長期にわたって調べたんだそう。



テロメアの長さにかかわる睡眠の要素とは?

これはオランダで18歳から65歳の大人2,936人を対象に6年間にかけて行われた調査で、睡眠習慣と白血球のテロメアの短縮を調べたもの。白血球は生体内の細胞の中でテロメア長の加齢変化が多い細胞ですな。サンプルサイズも比較的大きいし、この手の研究の中では結構長期なのがうれしいポイント。

ここで調べられた「睡眠習慣」ってのは、

  • 睡眠時間
  • サーカディアンリズム(入眠時間や仕事のある日とない日の違い、クロノタイプ、DSPSなど)
  • 不眠症状


みたいな感じで、これらと細胞老化のバイオマーカーであるテロメア長の短縮の関係を調べたというわけ。



それでどんなことがわかったかと言いますと、

  • サーカディアンリズムの遅れは、テロメア長の短さと相関していた。この結果は、年齢や性別、教育レベルやBMI、喫煙、アルコールの習慣を調整しても同様に確認された。


ってことで、つまり入眠時間が遅かったり、休日の前の夜に寝るのが遅くなったりする人はそのような乱れのない睡眠をとっている人よりもテロメアが短かったんだ、と。



さらにほかの知見も確認しておくと、

  • 自己申告のクロノタイプが普通より夜型だった人はよりテロメア長が短く、極端な朝型だった人はテロメア長が長かった。
  • 慢性的な睡眠不足(一日6時間以下)もテロメア長の短さと相関していた
  • 睡眠時間や不眠症とテロメア長の間には有意な相関は見られなかった。


って感じで、一般に睡眠の問題の代表例とされるような睡眠時間の過不足だったり不眠よりも、テロメア長との関係においてはサーカディアンリズムの遅れのほうが重大な影響を与えていたみたい。

とはいえ、もちろん睡眠不足や寝すぎ、不眠が問題にならないってわけではなくて、他の研究では睡眠不足がテロメア長の短縮と関連しているという報告もあるし、なにより多くの研究で睡眠不足が死亡リスクやあらゆる病気リスクと相関していることが確認されてるんで、この点についてもしっかり注意を払う必要はマストでしょう。



また、6年間のテロメア長の減少率という観点で見ると、

  • 全体的にテロメア長は減少していたが、睡眠の各要素によって減少率に違いは見られなかった


だったそう。つまり、朝型だろうと夜型だろうと、睡眠時間が長かろうと短かろうと同じ割合でテロメア長が減少し、減少が加速するということもなかったみたい。この結果は個人的に結構意外だったんですが、その理由については、

  • 6年じゃ影響が出るには短い?
  • 減少速度はもっと若いときだけ影響が出る?(子供の頃のテロメア長の減少は超早い)


みたいなことが考えられていました。うーん、減少速度という点では思ったより複雑なのかもしれませんねぇ。



研究チーム曰く、

LTL(白血球テロメア長)の個人間の違いは3分の2以上が遺伝的な要素で説明できるが、年齢や生活スタイル、夜勤や病気も影響を与えていることが多くの調査で示されている。

我々の結果は、さらに、入眠時間の遅れのような、重要な影響を役割を果たしている可能性のある新しい修正可能なファクターを提示している。

サーカディアンリズムに関してリスクを抱えている人を特定することが悪い結果に対処するための第一歩となるかもしれない。


とのこと。先行研究なんかを見てみると、テロメア長を決定するのは遺伝子が64~70%程度、残りがアルコール、喫煙、運動、夜勤のようなライフスタイルだとされているんですよ。これに「サーカディアンリズムの遅れ」を追加できるんじゃない?っていう話ですね。

ちなみに、この研究からはサーカディアンリズムがテロメア長に影響するメカニズムははっきりしませんが、睡眠習慣の乱れによる炎症、酸化ストレスがかかわっているのかも?みたいなことが考えられておりました。



まとめ

そんなわけで以上の結果をまとめると、

  • テロメア長という観点から見れば、睡眠時間や不眠よりもサーカディアンリズムのほうが影響がでかそう。
  • 減少率という点では睡眠は影響していない、かもしれない。


って感じでしょうか。

とりあえず研究チーム曰く、

遺伝子的な夜型のクロノタイプは完全に修正することは難しいかもしれないが、睡眠相後退は睡眠衛生上の介入によって改善できる可能性がある。


ってことで、出来るところから改善していこうってことで、

  • メラトニンをとる
  • 午前中に日光を浴びる
  • 夜はブルーライトカットの眼鏡をかける


みたいなシンプルな方法が勧められておりまして、どうしても寝るのが遅くなりがちな人は試してみるといいかもしれません。

このような介入は細胞の老化の進行やそれに関連した疾患から守ってくれるかもしれない。



ってなわけで、そろそろ夏休みに入ったりして睡眠のリズムが狂いがちになる季節なんで、ここら辺のポイントは少し気にしてみるといいかもしれません。

参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.

それではっ!

-健康
-, , , ,

© 2022 おくさんずラボ Powered by AFFINGER5