「目標達成にはモチベーションが必要!」みたいなことはよく聞きます.もっとも,ひとえに「モチベーション」とってもいろんな要素がありまして,そのうちのどれがパフォーマンスの向上に寄与するの?みたいな研究が参考になります.
これは,ドルトムント工科大学などの調査で,345人の高校1,2年生が対象になっております.調査の内容はと言いますと,モチベーションの中で重要とされる要素と,数学・ドイツ語の成績をチェックしたんだそう.
調べられたモチベーションの要素っていうのは以下のような感じ.
- 能力のセルフコンセプト:「私はドイツ語が得意だ!」とか
- タスクバリュー:「数学はとても面白い!」とか
- ゴール志向:達成目標(「次の試験では70点取るぞ!」)なのか,回避目標(「次の試験では赤点を取らないようにしよう」)なのか
- 達成のモチベーション:「難しい問題を考えるのはわくわくする!」とか
でもって,各生徒の知能を調整したうえで,これらの要素を成績と比較したところ,こんな結果が認められました.
- どの科目においても,回避目標以外,すべてのモチベーションの要素において,成績の高さとの相関がみられた.
- 中でも一番成績の高さと相関していたのはセルフコンセプトだった.
だったそう.「自分はできる!」っていう感覚が強い方が成績が高くて,知能や以前の成績を調整したうえで見ても,セルフコンセプトは成績の少なくとも10%以上を説明できたらしい.これは知能よりも大きな因子だったそうで,相当重要な要素であることがわかります.
ここで,「もともと得意だったから自信があるんじゃないの?」みたいな疑問も考えられますが,以前の成績を考慮したうえでもなお,セルフコンセプトの高い方が成績が高い,という結果が得られてますんで,やはりこのマインドセットはそれ自体として重要そうであります.
研究チーム曰く,
知能スコア,前回の成績,タスクバリュー,ある特定の分野におけるゴールや達成のモチベーションが同じ2人の生徒がいたならば,その分野における能力のセルフコンセプトの高い生徒のほうが高い成績を修めるだろう.
したがって,自分の能力を信じることは,学問的な達成の観点において有利になることを示す強力な証拠がある.
とのこと.近年では「知的謙遜」の重要性も注目されていますが,そこら辺とも強く関連していそうですよね.
もちろんこれは学生を対象にしたものですが,大人でも十分共通する点があると思いますんで,
- 自分が現実的にどこまでの能力があるのかを見極め,比較的自信を持てる分野を明確にする
- そのポイントをしっかり認識して目標達成に取り組む
みたいな点を押さえておくといいんじゃないでしょうか.とはいえ,自信がありすぎたりしても逆効果になりうるんで,「現実的な能力」って点が重要なんじゃないかと思ってたりします.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!