対人関係についての問題には多くの人が日々悩まされると思いますが,「人から笑われることに対する怖れ」を表す「ジェロトフォビア」という概念があります.人から笑われることを過度に心配してしまって,自分の意見を思うように伝えられない,自分のやりたいように行動できないという,被害妄想的な心性が問題なんですよね.
ジェロトフォビアのレベルが高いと,
- 抑うつや不安の傾向が強い.
- 内向型,神経症的傾向のレベルが高い.
- 生涯通じて恋愛関係に発展しにくい.
- 不安型,回避型の愛着スタイルを持つ人が多い.
といったことが確認されています.
自分(特に弱み)を相手にさらけ出すことが対人関係においては重要になる点から考えると,人からどう見られるかを過度に恐れてしまっていると,やはり友人関係でも恋愛関係でも,あらゆる対人関係において問題が生じやすいというのはうなずけると思います.
今回は,ジェロトフォビアを計るのによく使われるスタンダードなチェックリスト(R)についてご紹介.
これは,15の項目から構成されていて,自分の今のジェロトフォビアのレベルを確認したり,マインドフルネスやセルフコンパッションのトレーニングを通じて自分がどの程度変われたのかをチェックしたりするのに有用であると思います.
どうしてもそういった点の変化は自分では気づきにくかったりするので,数字で測れるのはいいのではないでしょうか.まあ,そう簡単に変われるものでもない気がしますが.
具体的な質問は以下の通りであります.それぞれについて,「とても当てはまる」が4点,「どちらかと言えば当てはまる」が3点,「どちらかと言えば当てはまらない」が2点,「まったく当てはまらない」が1点として,すべて足していっていただければOKです.
- 自分の前で人が笑っていると,不審に思う.
- 自分の自信のなさに気づかれたり,からかわれたりするのを恐れて,自分自身を人前でさらけ出すことは避けがちである.
- 自分の前で知らない人が笑っていると,自分のことで笑っているのだと思う.
- 見くびられるのが怖くて,人と目を合わせるのは難しいと感じる.
- 自分に関するジョークを言われると,身体がしびれたように感じる.
- ネガティブな注意をひかないようにして,他人から馬鹿だと思われないように自分を強くコントロールしている.
- 自分は,知らず知らずのうちに他人から滑稽だと思われていると思う.
- 自分は孤独だと思うけれど,嘲笑から自分を守るために社会的な活動には参加しないことが多い.
- 自分は,人前で恥ずかしい言動をとってしまった時,その場をすぐにあとにする.
- もし,馬鹿にされることを恐れなくなれば,人前でもっとよく話すようになると思う.
- もし誰かが自分のことをいじめたら,その人とは一生仲良くかかわれないと思う.
- 人から笑われたら回復するのにとても長い時間がかかる.
- 踊っているとき,他人はきっと自分のことをばかばかしいと思うだろうから,落ち着かない.
- 特に,自分には比較的関係のないとき,ネガティブな注意を惹き,人とは違った言動をとることはリスクが大きいと思う.
- 人前で馬鹿にされたら,身体が固まってしまい,適切な行動をとれなくなる.
このチェックリストは,大体平均が2.0位になることが多いのですが,それより高いからダメとか,低いからOKというよりは,少し後にまた計ってもらって,セルフコンパッションや瞑想の成果の確認の指標として使ってもらったりした方がいい気がします.
個人的には,人にばかにされたりジョークを言われたときを含め,少しでもネガティブな感情が浮かんで来たら身体的な変化にマインドフルになったりするようになってから,このテストの点数も下がりました.
まだまだ「これでベスト!」と言えるレベルではありませんので,精進していかねばなーとか思う次第であります.
参考になれば幸いです.それではまた.
<おすすめ本>