健康

メラトニンの効果をざっとまとめる。

メラトニンとは?

睡眠と言えば、言わずと知れた人間にとって重要な行為なわけで、知識を頭に定着させるにしても、身体的な疲労を回復するにしても、あらゆる面で必須なわけですが、その睡眠に支障が出たとなれば、日中の多くの作業等に支障が出ることになります。


私自身も少し前に、軽い不眠症のような症状に陥って、改善するのまでに日中の生産性等が落ちたり、ストレス値が向上したりして、治るまでは大変でした。


そんなわけで、睡眠にとって、重要な役割を担っているのが「メラトニン」というホルモンで、血中における濃度が変化することにより、生物の概日リズムを整えてくれています。


メラトニンが正常に働いてくれているおかげで、夜になれば眠くなり、朝になれば目が覚めるという当たり前のような現象が生じているわけです。


てことで、メラトニンのおかげで私たちの体のリズムは大体24時間でうまく回っているわけですが、そんなメラトニンについて比較的新しい知見も含めてイスラエルのテルアベル大学のレビュー等をもとに、簡単にまとめてみたいと思います。


メラトニンのはたらき。

体内リズムの改善

まず、上述した通り、メラトニンは、概日リズムを作り出すホルモンそのものであると考えられています。


そんなメラトニンを、体が24時間のサイクルでうまく回っていない人に投与するセラピーによって、ホルモンのリズム、体内の一日のサイクルが改善するということが複数の研究によってわかっています。


睡眠障害の改善

次に、睡眠の問題の改善が考えられます。メラトニンと言えば、睡眠をよりよいものにするためのものという印象が強いのではないでしょうか。


これは多くの研究によって実証されており、例えば、2012年のメタ分析なんかでも、メラトニンの投与によって、不眠症患者の入眠時間が大幅に短くなったという報告があったりします。


不眠症の人は、心身ともに問題を抱えやすかったりして、QOLも大幅に低い傾向がみられることがわかっていたりしますから、彼らにとって不眠症の改善は非常にメリットの大きいものと言えるでしょう。


もっとも、ほかのレビューでは、メラトニンは不眠症との効果は低いと結論付けているものもあります。


しかし、他の研究では、年齢によって、メラトニンの量に差異があることが確認されていて、対象によって個体差があるのでしょう。なので、自分の体と相談しながら、適切な量のメラトニンを摂取することによって、効果的な影響を得ることができるでしょう。もっとも、主治医と相談することは必須ですが。


子供の自閉症、神経発達障害の改善

自閉症や、神経発達障害の子供は、一般の子供に比べて、不眠症を患う確率が非常に高いことが知られています。


ある研究によれば、神経発達障害の子供に、メラトニンを投与すると、教育や、行動に対する介入と同じくらいのレベルで、睡眠における問題の解決に、効果的に寄与することがわかっています。


これに対して研究者は、

メラトニンをもとにしたセラピーは、権威から承認されれば、神経発達においてハンディを負った子供たちの不眠問題に対する治療としてスタンダードなものになるかもしれない。

と、コメントしています。


神経発達障害を負った子供たちにとって、睡眠障害は、日常生活に問題をきたし、さらにそれが睡眠に障害をもたらすと考えられて、負のループに陥ってしまうと考えられます。


また、それは両親をはじめ、保護者にとっても負担の大きいことだと思います。それを副作用の少ないメラトニンの投与によって改善できるとなれば、本人にとっても周りの人たちにとっても非常に有益だと思います。



神経変性疾患、心血管疾患の改善

不眠症と、高血圧とには相関がみられていたり、不眠症は、心血管系の疾患との相関も確認されていたりします。


彼らは、夜のメラトニンの生成量が少ないことが確認されていて、それによって睡眠の質の低下がみられています。


複数の研究で、高血圧と、睡眠障害を抱える人にメラトニンを投与することによって、睡眠の質が向上することが確認されています。それに付随して高血圧等心血管系の問題が改善することも十分考えられます。


また、メラトニンによって、レム睡眠の改善が確認されていたりします。レム睡眠は、パーキンソン病の原因と言われていたりするαシヌクレインというたんぱく質と関係しているといわれていたりします。


つまり、レム睡眠が改善するということは、神経生理学的にポジティブな影響を及ぼす可能性があるということです。


さらに、別の研究では、メラトニンによって認知機能の改善やアルツハイマー病の予防にもつながることが示唆されています。


考えてみれば当然で、睡眠によって記憶の整理等の認知機能が手入れが行われており、そのリズムがくるってくれば、日中の記憶や、注意力等にネガティブな影響が生じてくるわけです。


実際、客観的にも主観的にも、睡眠の質と認知機能の関係はポジティブにもネガティブにも確認されています。


まとめ

こんな感じでざっとまとめてきましたが、改めて睡眠の重要性、メラトニンのすごさを痛感しました。


睡眠は、人間の活動のあらゆる面で大きな役割を果たしているのですね。


私自身、睡眠障害やメラトニンについての知見はあらかじめ押さえていたつもりではありましたが、いざ自分が陥ってみて初めて感じるつらさや、回復の困難さ等を感じました。


近年では、睡眠障害にかかる人は増えてきていますし、いつ自分や周りの大切な人が睡眠の問題を抱えるかはわかりません。その時のための知恵を持っておくことは非常に大事だと思います。


ってことで、今回はメラトニンに絞って簡単に話してきましたが、ほかにも運動とか食事とか、睡眠に影響をもたらす要素は多くありますから、うまくそれらを組み合わせながら快適な睡眠生活を送ってください。


参考になれば幸いです。それではまた。

References

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  2. Emens JS et al. 2017, "Diagnosis and treatment of non‐24‐h sleep‐wake disorder in the blind"
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  7. Cuomo BM et al, 2017, "Effectiveness of sleep‐based interventions for children with autism spectrum disorder: a meta‐synthesis"
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