学習

教える側のストレスが子供の発達を阻害する!PDって役に立つの?みたいな研究の話

「幼児教育ってどうするのがベストなの?」みたいな議論が続いております.現在アメリカとかだと教育者にProfessional Development(以下,PD)と呼ばれるプログラムが行われていたりします.

PDでは,子供との向き合い方や物事の教え方を学んでもらって,子供の知能の発達をサポートしよう!っていうコースやコーチングが行われます.教員にたいして,基本的な業務のほかに幼児教育に特化したスキルを外部のリソースも活用して身につけてもらおうというわけですね.

そんなところで新しいデータ(R)では,「PDって幼児教育において役に立つのか?」ってのを探ってくれていていい感じでした.



これはハーバード大学などの調査で,496人の幼児教育の従事者を集めて,その半数には14週間のPDのコースとウェブのコーチングを受けてもらったそう.その後,406人の子供(平均年齢4.17歳)に対して教育し,子供の言語スキルや実行機能,学習態度等にどんな違いがあるのかを調べたらしい.

さらに,研究チームは,教育者の「職場のストレスレベル」に注目しておられました.教える側がストレスを抱えていると,子供の学習態度にネガティブな影響が発生し,それがさらにストレスを助長する,ってのは複数のデータで確認されています.そこで,PDに取り組むことで,ストレスが減少してこの悪い影響を緩和できるんじゃない?って考えたわけですね.



その結果,どんなことがわかったかと言いますと,

  • 教育者が職場に高いストレスを感じている場合には,PDに取り組むことで子供の発達にポジティブな影響がみられた.

  • 逆に,教育者のストレスレベルが低い場合には,PDに取り組むと子供の発達がむしろ阻害されていた.

  • ストレスの中でも,スキルを磨くためのサポートが足りない,といったセンターの投資面でのストレスが大きい場合に,特にPDによる改善は大きかった.


みたいな感じ.つまり,「子供たちとうまくやれていない…」というストレスよりも,「教育スキルを磨く時間や機会が足りない!」と感じている人に対して介入を行うことで,子供の知的な発達により大きく貢献できるかもしれないわけっすね.

もっとも,必ずしもPDのプログラムをやれば教育がもっとうまくいく!っていうわけではない点には注意が必要で,研究チーム曰く,

この発見で得られたパターンは,「どんな場合にでもうまくいく」というアプローチから,個々の状況におけるニーズや強みに合わせたPDの機会の提供へ移行することの重要性を示唆している.

共同作業スぺースのストレスは,この研究で調べられたコースやコーチングプログラムのように,高い価値を提供する教育環境の基礎となる専門的なサポートに対するニーズを表す重要なファクターの一つになるかもしれない.


といっておられます.PDとか,教育の専門的な訓練を受講させる必要があるかどうかを見極める際には,先生たちがどのくらいストレスを感じているかをチェックするといいかもしれない,と.現段階でストレスなくうまくやれているのなら,無理にプログラムとかを受けさせずに,今のやり方を継続していくことが子供の発達にとっても有益ってことが十分ありうるってわけですな.



というわけで,小さい子供がいる方なんかが知能の発達のために子供を預ける機関を選ぶときなんかには,「職員のストレスはどのくらいか?」「教員に対する教育に対してどんな考え方があるか?」みたいな点を参考にしてみるといいかもしれません.

とはいえ,結局子供と一緒にいる時間が一番長いのは一般的には親でしょうから,親が自分のストレスをちゃんとコントロールすることが子供の知的な発達のためにも大事なんじゃないかなーとか思いました.

参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.

それではっ!

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