「相手の目を見て話そう!」ってことは小さい子供でも知っているコミュニケーションの基本.
アイコンタクトがうまい人は,
- 信頼感があり,有能な人のように見える
- 緊密なコミュニケーションが取れる
- 関係性を豊かに,効果的なものにできる.
みたいなことが知られています.
とはいえ,実際に目を見て話すのは結構難しかったりします.特に私のような内向型人間とか神経症傾向の強い人なんかはもはや反射的に,目が合った瞬間目をそらしてしまったりします.
また,最近だと,Zoomとかビデオ通話的なものが仕事でもプライベートでも大活躍しておりまして,世界中から複数の人が同じ時を共有できる,ということですごいなーとか思っております.
そんなZoomにもちょっと困ったことがあって,それは「目線が合わない!」ということです.カメラの位置的にしょうがないことではありますが,それでどうしてもリアルとは違った違和感のようなものを感じてしまうんですよね.
iPhoneのFaceTimeなんかは自動補正してくれた気がするんですが,Zoomにもそういった機能があるんでしょうか.前探したときにはなかった気がするんですが….
といったところで,「出会ったばかりの異性との関係で,アイコンタクトはどんな効果があるか?」「オンラインとリアルでは違いがあるか?」みたいなデータ(R)が出ておりました.
もともとアイコンタクトが苦手な人が,さらに異性,さらに気になる人と目を合わせるとなると結構心理的にしんどかったりするかと思いますが,自分の印象をよくするためにはやっぱり目を合わせておいた方がいいのか?また,Zoomとかでも目を合わせといたほうがいいのか?みたいな話ですね.
これはティルブルフ大学の論文で,パートナーのいない学生57人の男女を対象に,5分間,以下の3パターンでそれぞれ異なる異性と会話をしてもらったそう.もちろん相手は初対面の人であります.
- Skype(Zoomみたいに,目線がずれちゃう)
- オンラインだけど,目線が補正されたやつ(つまり画面を見ていれば目線がある)
- リアル
その間,研究チームは会話の様子を記録し続けて,また,参加者には「相手の魅力度」を採点する質問項目に回答してもらいました.会話の様子ってのは,
- 相手に対する質問と自分のことを話す(自己開示)の割合がどのくらいだったか
- 質問や自己開示中の親密度はどのくらいか
っていうことです.親密度は,たとえば,「私は23歳です」みたいなありきたりな自己紹介のような自己開示なら親密度は低く,「最近は試験の結果が不安で,あまり眠れていないんです」みたいな普通人に言わない内容なら親密度は高い,みたいな感じに採点されたらしい.
これで,何がわかったかというと,
- アイコンタクトがあってもなくても,魅力度は変わらなかった.
- アイコンタクトがあった方が自己開示の量が増え,自己開示の内容の親密度が高かった.
- アイコンタクトがあった方が相手への質問は減り,質問の内容は親密度が高かった.
- リアルでも,オンラインでアイコンタクトありの場合でも,結果に有意差はなかった.
- 自己開示や質問の量,内容の親密度は魅力度の評価に影響していなかった.
みたいな感じ.要するに,アイコンタクトをしても(直接的にも間接的にも)魅力度は変わらんけど,プライベートな,個人的なことまで話してくれるようになるんだ,と.
オンラインかリアルか,という点も関係ない,というポイントも面白いですね.
研究チーム曰く,
これは,アイコンタクトを取れない状況(SKype)では,アイコンタクトをとれる状況に比べて,相手のことがよくわからない,という印象を誘発することを示している.
(中略)
また,アイコンタクトがないことがやり取りの中での有益な情報が少なさにつながり,その結果,それを克服しようと,多くの質問の投げかけにつながっていることを示唆している.
とのこと.つまり,アイコンタクトがないと相手が何を考えているのかわからんし,どんな人なのかもわからないから,質問をして探ろうとしているんじゃないの?ってわけですな.
さらにチームは,オンラインでもリアルでも,アイコンタクトは相手に対する謎めいた印象を和らげる役割を果たしているんじゃないか?とも考えておりまして,
アイコンタクトがあると,人は相手を信頼して,それが自己開示の多さにつながっているのかもしれない.
(中略)
もし相手のことを信頼していなかったら,自分の個人的な情報の開示はリスキーだと感じ,教えようとしないだろう.
ってことで,5分間という短い時間の中で,アイコンタクトは相手への信頼につながるんじゃないのか?って話ですな.そう考えるとたとえ5分間終えた後の魅力はアイコンタクトがない場合と変わらなくても,中長期的に見た場合にはその後の関係とかに影響してきそうです.
また,相手が自分自身の深い部分を話すと,「自分はこんなことまで話したんだからきっとこの人のことを信頼しているんだ」って脳が判断して,こちらのいい面を多く見つけてくれる可能性が高まります.
そうはいっても,「目を見るなんてできない!」って人は,顔の一部を見るだけでも,「この人は自分の目を見ている」って判断することがわかってますんで,「初対面の人と話すときは少なくとも顔のどこかを見る!」ってことを意識してもらうといいんじゃないでしょうか.
初対面の時にこれをやっておくと,今後いい関係につながることが期待できますし,これは異性間だけでなく,同性間でも使えるテクニックだと思いますんで,活用していただくといいんじゃないでしょうか.そろそろ出会いの季節もやってくることですし.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterなどでご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!
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