2,100件のメタ分析を調べてわかった、教育において最も大事な要素とは?

「Visible Learning」は、「教育」を研究するJohn Hattie先生が、教育の効果を最大化するための具体的な方法を提案した一冊。本書では、教育におけるさまざまなアプローチや介入の効果を分析し、教育においてどのような方法がより効果的であるかを示すために、数百の研究を慎重に検討している。

本書の主要なポイントの1つは、教育介入の効果を評価するために「effect size」という指標を明示している点。Hattieは、効果の大きさについての統計的指標であるeffect sizeを用いて、さまざまな教育介入の効果を比較し、それらの有効性を評価することで、学習の効果を高める為により効果的な手法を定量的に提案している。

また、Hattieは、教育における効果的な介入には、教師が生徒の現状を理解することが極めて重要であると強調している。教師は、生徒のバックグラウンド、学力、興味関心などを正しく理解することで、適切に介入し生徒の学習を促進することができると述べている。

さらに、Hattieは、教育におけるフィードバックの重要性も強調している。教師からのフィードバックは、生徒にとって非常に重要であり、効果的なフィードバックは、生徒の学習を促進する上で重要な役割を果たすことができると述べている。

その他、本書で取り上げられる教育介入の例としては、教師と生徒の間の信頼関係の構築、アクティブラーニング、フレキシブルラーニング環境、教師の質の向上などがある。

本書は日本においても非常に有用な教育の手引きとなるものであると思う。Hattieは、教育における効果的な介入を特定するために、包括的なメタアナリシスを行い、効果量に基づいて具体的なアプローチや介入を提案している。また、教師が生徒の現状を理解することや、フィードバックの重要性を強調することで、教育現場においてより良い成果を生み出すことができると示唆している。

また、本書では、教育における課題や問題点も指摘されている点も興味深い。たとえば、教育システムが標準化され、一人ひとりの生徒に合わせた教育が行われていないことが挙げられる。また、教育において評価が重要な役割を果たすが、評価においても標準化が進んでいるため、生徒の個性や能力を十分に反映することができていないことが指摘されている。

このような課題や問題点に対して、Hattieは、教育における多様性を尊重し、生徒の個性や能力を重視することが必要であると主張している。教師が生徒に合わせた教育を行い、評価においても生徒の個性や能力を反映することが重要であると述べている。

私自身も、教育においては生徒の個性や能力を重視し、それぞれに合った教育を行うことが必要だと考えている(決して容易ではないだろうが、その意識を持つだけでもまた違ってくるのではないだろうか)。また、教育におけるフィードバックやアクティブラーニング、フレキシブルラーニング環境など、本書で取り上げられた教育介入の方法は、教育現場において実践しやすいものも少なくないし、工夫次第で学習効果はまだまだ向上の余地があると感じた。

総括すると、Hattieの「Visible Learning: The Sequel」は、教育における効果的な介入やアプローチを示すことで、教育現場の改善を促す非常に価値ある本であろう。教師や教育関係者は、本書で提唱されている教育の手法やアプローチを参考にし、生徒の学習効果を最大化するための取り組みを進めることができると思われる。ただし、本書に示されている教育介入やアプローチは、あくまでも一例であり、教育現場においては、それぞれの生徒に合わせたアプローチを検討する必要がある。

また、本書は、教育における標準化や評価に対する批判的な立場を示している。教育においては、標準化や評価によって効果的な教育が提供されることもあるが、生徒の個性や能力を反映することができていない場合もある。教育現場においては、標準化や評価にとらわれず、生徒の個性や能力を尊重し、それぞれに合わせた教育を提供することが求められている。

最後に、私が本書から得た最も重要な教訓は、教育においてはフィードバックが非常に重要であるということである。教師が生徒の学習状況を把握し、生徒に対して適切なフィードバックを行うことが、生徒の学習効果を高めるために欠かせないものである。教育現場においては、フィードバックを積極的に行うことが求められており、生徒の学習効果を高めるためには、教師が適切なフィードバックを行うことが必要となる。この教えは必ずしも教育の現場に限定されるものではなく、大人の自学においても同様のことは言えるであろう。つまり、一般的に効果のある学習法を学んだうえで自分なりに試し、工夫し、その過程で必ずどれだけうまくいっているかを確認しながら進むことが肝要である。

以上のように、「Visible Learning: The Sequel」は、教育・学習の現場において非常に役立つ本であると言える。教育においては、生徒の個性や能力を尊重し、それぞれに合わせた教育を提供することが重要であることを再確認することができた。また、学習におけるフィードバックの重要性についても改めて理解することができた。教師や教育関係者だけでなく、学び続ける多くの者にとって価値ある内容が満載の一冊だ。

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