近年のダイエット業界では、「何を食べるか?」と同時に「一日に何回食べるか?」ってのが注目されているのは皆さまご存じの通り。1日3食食べるのが一般的な中で、
- 1日4食以上食べたほうが食欲コントロールができるから結果的に痩せやすい!(1日17食なんてことがすすめられることもある)
って主張があったかと思えば、
- 1日2食以下にしないと体に蓄えられた脂肪が燃焼されない!
といった主張もあって、「結局一日何食食べればいいんや?」と困ってしまうわけです。
そこで今回は、「食事の頻度って体組成にどのくらい影響を及ぼすのか?」ってところを調べたメタ分析(R)をチェックしておきましょう。
ざっくりどんな話かをまとめておくと、
- 1日の食事回数による体組成の変化を調べた過去のRCTから15件をピックアップ
- 対象者は18歳以上で、介入期間は2週間~52週間
みたいになってます。食事の回数は一日1食~9食となっていて、食事の回数に悩んでいる方なんかにはなかなか参考になるんじゃないかと。
でもって、分析の結果をだだーっとまとめておくと、
- いずれの統計分析モデルでも、食事の回数は体重変化との間に有意な関連はなく、1~2食、3~4食、5食以上のいずれのグループでも同じくらい体重が減っていた
- 体脂肪に関しては、食事の回数が増えるほど体脂肪量が減少する傾向があった(1食増えるごとに追加で0.27~0.9 kgくらい減って、5食以上だと1,2食の場合よりも1.24 kg減ってた)。この関係は総摂取カロリーを調整してもなお維持された。しかし、感度分析で、対象となった研究のうちの一つを除外したら有意な関連は失われた
- 除脂肪体重に関しても、食事の回数が多いほうが維持される傾向があったが、一つの研究を除外したら有意な関連は消失した
- 体脂肪に関しても同様に、食事の回数が多いほど減少幅が大きかったが、上記とは別の1つの研究を除外したら有意な関連はなくなった
みたいになります。どうやら全体的にみると、食事の回数は1回だろうと5回だろうと対して体組成に影響はもたらさないようで、「結局自分が好きな回数食べればいいんじゃない?」とか思いましたね。
というのも、体組成に大きな違いはないとなると「食事の回数が多いと食欲コントロールができなくなる」「食事の回数が多いと空腹感がつらすぎる」みたいに、メンタル面での問題の方が大きくなってくるんですよ。なんで、結局自分が続けやすい回数で食事をするのがいいんじゃないかと。
そうはいっても、この結果をうけて「17食に細かく分けても、太らんしいいや!」と考えるのは尚早で、
- アスリートくらいの人が対象だと食事の頻度を増やしたほうが筋肉がつきやすくなったという報告がある
- 高たんぱく食とかにすると話は変わってくる可能性もある
- 食事回数を増やしたほうがグルコースのホメオスタシスやインスリン感受性、脂質レベルにポジティブな影響をもたらすって報告も多く、代謝性の疾患とかには食事の回数の多さはいい方向に作用しそう
といった感じで、食事内容や運動、睡眠習慣によっても変わってくる可能性があるし、代謝上のメリットでいえば食事回数は少ないほうがいいんじゃないの?とか思わされるんですよね。
まあとにかく体組成に関する結論としては、「食事の回数はそこまで関係なさそうだけど、結局自分の心身で実験するっきゃない」くらいになりますかねー。
最後に、一日の食事回数を何回に設定するにしても、以下のようなポイントには注意しとくのがよさげです。
- 食事のタイミングがイレギュラーすぎると消費カロリーが減っちゃう可能性があるので、実験するにしてもそれぞれ1週間くらいは続けてみたほうがいい
- また、寝る直前や深夜に食事のタイミングを設定するとジャンクフードや不健康な食品を選択しがちになるので、最後の食事の時間が遅くなりすぎならないよう注意
- 毎食炭水化物を食べてると運動時の脂肪燃焼がそ害され、運動パフォーマンスが下がる可能性があるため(セカンドミール現象とかよばれる)、炭水化物をいつたべるか?も気にしてみたほうがいいかも