健康

睡眠の質と食事習慣にはどんな関係があるのか?問題

「健康になりたい!」「若返りたい!」とか思ったらまずは睡眠と食事を見直すのが基本。とはいえ、両者は別々のものではなくて密接に結びついているのは確実で、

  • 寝る直前に食べると睡眠の質が下がる!
  • 食物繊維で睡眠の質が上がる!
  • 精製糖と脂肪は睡眠に悪影響を及ぼす!


みたいな知見は有名でしょう。

そんなところで新しい研究(R)も「睡眠と食事の関係」に関するもので、「睡眠の回復力と食事習慣にはどんな関係があるのか?」ってのを調べてくれていて面白かったです。

特定の食べ物を食べることが睡眠の質を左右することは分かったけど、睡眠の質が低かったら不健康な食べ物に手を出しやすくなるんじゃない?その逆もあり得るんじゃない?って考えたわけっすね。

睡眠不足によるストレスのせいでジャンクフードをドカ食いしてしまう、なんてのを想像すればわかりやすいでしょう。



睡眠の質と食事習慣にはどんな関係があるのか?

これは東フィンランド大学の研究で、252人の男女を対象にしたテストになっております。参加者としては、BMIが27~34.9㎏/m2の太りすぎで、かつストレスがたまってる24~60歳の人を対象にしたそう。

また、慢性的な疾患を抱えている人は除外されておりまして、そこまで健康上に問題は発現していないけど、近いうちに問題が生じる可能性が高い人を集めたわけっすね。

全員には連続して3日間ほどデバイスを装着してもらって、睡眠中のHRVを測定し、普段の食事習慣と食事の質との関係を分析したんだそうな。

HRV(心拍変動)ってのは、交感神経と副交感神経のバランスで、しっかり体が休まっているときには副交感神経が優位となる結果、心拍数は下がり、心拍変動は高くなるって感じで、睡眠時の回復度合いを客観的に測れるわけですね。実際には、HRVのデータを用いて、RMSSD、SBってので睡眠による回復を測定しております。

実験室ではなく、普段の生活における睡眠の状態を測れているのもこの研究の強みでしょう。



その結果、どんなことが分かったかといいますと、

  • 睡眠による回復度合いが低い人は、衝動的にものを食べ、感情的な理由から食事をし、食事に制限を設けない傾向が見られた

  • 一方睡眠による回復度合いが高い人は、食物繊維の摂取量が多く、全体的な食事の質が高く、アルコールの消費量が少なかった


って感じ。要するに、因果の方向ははっきりしないけど、睡眠で十分回復できている人は、食事に関する「何をどのタイミングで食べるか?」といった選択の質も高かったってことですね。

また、これらの傾向は、BMIや性別等を調整しても同様に確認されたんですが、全体的に効果量の差は小さめだった点には注意が必要でしょう。



よく眠れてれば食欲にあらがえる?

研究チーム曰く、

睡眠時の回復度が高いと、食べることに関する感情的な要素をより強く意識するようになると考えられる。一方、ストレス反応に対する回復反応の比率が高いほど、食べたいものを自由に食べる傾向が低いだけでなく、アルコール摂取量の少なさ等健康増進のための食生活を送っていることと関連しているようだ。

したがって、健康増進のための食生活は、RMSSDで示される迷走神経を介した単なる回復よりも、ストレス反応と回復反応のバランス(ストレスバランス)に強く関連している可能性がある。


とのこと。睡眠におけるストレスバランスによって、「いつ何を食べるか?」「食に関する欲求に対してどのくらいセルフコントロールを効かせられるか?」が左右されるんだ、と。この研究の参加者は太りすぎ、ストレススコアの高い人だけが対象なんで、安易に一般化するのは危険でしょうが、なかなか面白い話ですねぇ。

そのほかにも、年齢や活動レベル等の要素も複雑に絡まりあってる可能性は高そうですが、「ついつい不健康なものを食べちゃうんだよなー」とか「寝ても疲れが取れないなー」みたいな人は、それぞれ睡眠、食事を見直してみるといいかもしれません。

参考になれば幸いです。質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです。


それではっ!

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