「歩くのが健康にいい!」ってのは多くのデータが示している通りですが、はっきりわかっていない点も多くて、
- 結局1日何歩くらい歩けばいいの?
- 比較的若い人だとどのくらい効果があるの?
- 歩く強度はどのくらいがいいの?早歩きのほうがいいの?
みたいなところ。実際、多くの運動のガイドラインでは歩数に関する具体的な値は提示されてなかったりしますしね。
中でも個人的に特に気になるのが2つ目のポイントでして、以前のエントリなんかでも「早歩きの人は長生き!」とか書いたんですが、歩行に関する研究って高齢者を対象にしたものが多いんですよね。
そんなところで新しい研究(R)では、「中年の人の歩数と強度はどのくらい死亡リスクに影響するか?」みたいなことを調べてくれていて参考になりました。
歩行の健康効果は1日何歩で得られるのか?
これはマサチューセッツ大学などの研究で、どんなデザインだったかと言いますと、
- 38~50歳の男女2,110人に活動量計を身に着けてもらう
- 連続7日間の活動量計のデータをデータを集めて全員がどれくらい歩いているかを把握
- 平均10.8年のフォローアップを行い、歩数と死亡リスクの関係性を調べる
みたいな具合。この手の研究としては比較的長期間追跡が行われていていい感じです。
また、調査中には72人(3.4%)がなくなったとのこと。参加者の歩数の中央値は9146歩となっておりまして、日本人の平均よりは少し多めですな。
でもって、年齢、教育レベル、喫煙習慣、アルコール摂取量、血圧等様々な要因を調整したところ、以下のような傾向が確認されました。
- 一日7000~9999歩歩く人は7000歩未満の人よりも死亡リスクがそれぞれ72%低かった
- 同様に、1日1万歩以上歩く人は、7000歩未満の人よりも死亡リスクが55%低かった
- このような関係は、食事習慣を調整してもなお確認された
- 死亡リスクの低下は、約1万歩程度まで確認され、そこでレベルオフした(つまり、それ以上歩いても死亡リスクは減らない)
- 歩数と死亡リスク低減の関係は、白人よりも黒人(63% vs 70%)、男性よりも女性(58% vs 72%)で強く確認された
- 歩行強度、スピードと死亡リスクとの間には有意な関係が認められなかった
ということで、「1000歩増やすだけでも十分早死にのリスクは減るし、1日7000歩も歩いとけば結構イケるんじゃない?」というナイスな結果。7000歩くらいなら大きな精神的な負担もなくクリアできる人も多いんじゃないでしょうか。
7000歩歩けば寿命が延びる??
ただし、当然ながらこれは観察研究なんで「歩数を増やせば寿命が延びる!」ってことを証明したわけではありませんで、実際この研究でも、
- 調査開始時点で歩数の少なかった人は、
- BMIが高かった
- 健康に関する自己評価が低かった
- ステージ2の高血圧、糖尿病の人が多かった
- どうしても死亡者数のサンプルが少ない
といった難点もありまして、因果関係についてはちょっと怪しいんじゃないかなーとか思っております。
とはいえ、同様の傾向を示したデータも多くありますんで、
- まだ「高齢者」には分類される年齢ではなくても、1日7000歩くらいはコンスタントに歩いておくといいかも
- 歩くのが嫌いじゃない人は、「1日1万歩!」を目標にしても損はなさそう
- 現状1日5000歩以下の人は、まずは1000歩くらいずつ歩数を増やしてみるといいんじゃない?
- この際、「早歩きをしないと!」「負荷をかけないと!」とか気負う必要はない
といった感じの結論になるんじゃないでしょうかねー。参考になれば幸いです。
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それではっ!