コーヒーと死亡リスクの関連
「コーヒーが体にいい!」っていうのはよく聞く話で、研究も盛んにおこなわれているわけですが、当ブログでは全然紹介してなかったことに気づきまして、今回はコーヒー関連の研究を一つ紹介しておきたいと思います。まず、コーヒーの効果をさらっと確認しておくと、
- 高血圧が改善する
- スーパーエイジャーになれるかも
- 代謝が向上
- 血管周りの健康に効く
- ある種のがんリスクが下がる
- 糖尿病、肥満のリスクが下がる
- 鬱症状への抵抗
みたいなことが報告されております。
もっとも、コーヒーはむしろ悪なんじゃない?っていうデータもそこそこあって、
- 逆に血圧をあげてしまう
- インスリンの活動を阻害する
- 睡眠の質を下げちゃう
- 6杯以上で認知症リスクがあがる
みたいなことが言われていたりするんですよ。
また、コーヒーの効果と言えば「カフェイン」が代表例として挙げられますが、ノンカフェインのコーヒーでも、
- 2型糖尿病リスク低下
- 大腸がんリスク低下
- 総死亡率低下
みたいなことが確認されておりまして、コーヒーに効果があるとしてもそれってカフェインの影響ではないんじゃない?ってことも言われていたりします。
そんなところで今回は、「コーヒーはどのくらい死亡リスクを下げてくれるの?」「カフェイン入りとノンカフェインで違いはあるの?」みたいなことを調べたメタ分析(R)についてメモしておきます。
コーヒーでどのくらい死亡リスクが下がるか?
これは鄭州大学の研究で、過去のコーヒー研究から54件のコホート研究を抜き出して計10,103,115人分のデータをまとめていて、
- 対象者は18歳以上
- 総死亡者数は240,303人
- 追跡期間は3.8~28年間
- 21件が用量反応関係を報告
って感じで、大規模で統計的なパワーも強いし、分析に含まれた研究は全体的にエビデンスの質も高めなんで、なかなか参考になる内容になってるんじゃないかと。
それで早速どんなことがわかったかと言いますと、
- 全体的に見て、コーヒーを多く飲む人は全くまたはほとんど飲まない人に比べて総死亡率が12%低かった
- 1日に飲む量を一杯増やすごとに総死亡リスクは3%減少、その効果は非線形で効果が一番大きかったのは一日3杯飲んだ時だった
- カフェインの有無による有意な違いは見られなかった
- 男性が3杯以上飲んだ場合と比べて、女性が3杯以上のんだ場合の死亡リスクの上昇率のほうが大きかった
- アジア人の場合には3杯以上飲んでも死亡リスクの減少傾向が継続していた
みたいになります。
要するに、全体的には死亡リスクを最大限下げるには一日3杯がベスト、カフェインは入ってても入ってなくても変わらんっていう感じ。
男女差については、過去の研究で報告されている通り、カフェインの代謝率の違いが影響しているものと思われます。
そして、カフェインの有無による違いがみられなかった点に関してですが、これまではコーヒー中のカフェインが心血管系や中枢神経系に影響することで健康効果を得られると考えられていたわけですが、今回の結果を踏まえて研究チームは以下のような成分の寄与を想定しておられました。
- クロロゲン酸(ポリフェノールの一種)
- カーウェオール、カフェストール(酸化ダメージから守ってくれる)
- トリゴネリン(神経保護作用とかがある)
- メラノイジン(プレバイオティクス)
まあそうはいっても、正確なところは謎。複数の成分が組み合わさって影響している気もしますな。
まとめ
そんなわけで、カフェインが入っていようとなかろうと死亡リスクという観点からはポジティブな効果を得られそうな感じがするわけですが、例によってこのメタ分析にも難点はありまして、
- 研究間のばらつきがでかい(I2=82.50%)。まあこれはしゃーないといえばしゃーない
- ノンカフェインの研究がどうしても少なめ
みたいになっていて、「ノンカフェインでも効果は違わない!」って断言はできないかなーって感じ。
とはいえコーヒーの健康効果はほかでも多く確認されてますし、特にカフェインが苦手な人なんかはノンカフェインのコーヒーを適度に飲んでみるといいかもしれませんな。飲む量と飲む時間には気を付けていただいて。
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!