地中海式ダイエットで突然死を予防できるかも!
「地中海式ダイエットっていいよねー」みたいな話は近年よく耳にするようになりました.ご存じの通り地中海式ダイエットってのは,地中海地方の伝統的な食事のことで,以下のようなメリットが確認されております.
- 全身の炎症や酸化レベルを減らしてくれる!
- 睡眠の質が改善?
- 認知症予防になるかも?
- 長生き!
そんなところで新しいデータ(R)は「地中海式ダイエットでSCD(心臓突然死)が予防できるかもよ!」って内容になってまして,またもやいい感じでした.
というのも,突然死のうちの約6割は心臓病によるものと言われてまして,しかも事前に症状が現れにくいんで予防が特に重要なカギになるんですよね.
これは45歳以上の21,069人の男女を対象にしたコホート研究でして,平均9.8±3.8年間にわたって全員の食事をチェックして,「どのくらい地中海式 or 西欧式に近いものを食べてるか?」ってとこを掘り下げてます.
具体的には,110の食品の項目からどれをどのくらい食べたか?ってのを回答してもらって,参加者の食事スタイルが以下の2つのパターンにどのくらい当てはまるかを9点満点で採点したんだそう.
- 地中海式:野菜やフルーツ,魚,全粒穀物,豆,良質な油をいっぱい食べているか?肉や乳製品は少なめか?
- 西欧式:添加脂肪,揚げ物,加工肉,砂糖の入った飲み物をいっぱい食べているか?
それぞれ「体にいい!」とされるものと「体に良くない!」とされるものの典型ですな.
食事で突然死をどのくらい予防できるか?
まずは調査の結果分かった,ざっくりした結論をまとめておくと,
- 西欧式の食事スタイルの人は46%くらいSCDのリスクが高い!
- 地中海式の食事スタイルの人は26%くらいSCDのリスクが低い!
といった感じ.まあ定性的には予想通り,という感じでしょう.
より詳細なデータはというと,年齢や人種,教育レベル,収入,活動レベル,血圧,コレステロールや糖尿病といったあらゆる要素を調整したうえで,こんな感じの結果が得られました.
- 地中海式のスコアが6~9点だったグループは,0~3点だったグループに比べて,SCDのリスクが26%低かった(HR: 0.55- 1.01)
- 西欧式のスコアが上位25%だった人は,下位25%だった人に比べて,SCDのリスクが46%(1.02- 2.10)高かった.
- ベースラインの時点でCHD(冠状動脈性心疾患)の罹患歴がなかった人に絞ってみれば,地中海式のスコアが6~9点だった人は0~3点だった人に比べてSCDのリスクが41%低かった.また,西欧式のスコアが上位25%だった人は,下位25%だった人に比べて,SCDのリスクが48%高かった(0.90-2.45)
- CHDの経験がある人においては,地中海式のスコアとSCDのリスクの間に関係は見られなかった.また,西欧式のスコアが上位25%だった人は,下位25%だった人に比べて,SCDのリスクが64%(0.98-2.73)高かった.
統計的な有意差がみられていないのも多いですが,大きな傾向としては,とりあえず,全体的に西欧式から地中海式にシフトすればそれなりに突然死のリスクは減らせそうってのは間違いなさそう.ちなみに,地中海式ダイエットの影響がCHDの罹患歴によって違いが生じた理由は謎.
しかもこれは運動とかの要素を調整したのちの結果なんで,そこら辺のライフスタイルも意識すればもっと有効に突然死のリスクを減らせるはずであります.
まとめ
研究者曰く,
この研究は観察的なものではあるが,この結果は,食事が心臓突然死に対する修正可能なリスク要素であることを示唆している.
とのこと.どういう食事をするかによって突然死のリスクが大きく変わるけど,食事スタイルは変えられるものなんだから,前向きに頑張っていこうぜ!ってことですな.
まあ,食事に関しては多かれ少なかれ意識している人が多いでしょうが,具体的なリスクを理解しておいた方が健康的な食習慣を構築,維持するモチベーションになるんじゃないかなーとか思って当論文を紹介した次第です.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!