単に「妄想」というと,現実逃避っぽくてネガティブな印象を持つかもしれませんが,マインドフルに,「自分は今妄想を最高に楽しんでいる!」っていう自覚さえあれば,幸福度を上げる道具として役に立つ!ってことがわかっています.
とはいえ,「はい,じゃあ妄想してください」と言われても意外と難しいもの.そこで,バージニア大学などのチームが行った研究(R)では,「妄想ってどうやったらうまくいくの?」みたいなポイントを調べてくれていて参考になりました.
まず問題提起として,現代において我々は時間があればすぐスマホとかデジタルデバイスを手に取り,「単に考える時間」は意外と少なかったりします.その理由としてチームは,デジタルデバイスに手を伸ばす方が努力が要らないし,楽しいからじゃないかと指摘しています.
自由に考えていいとはいえ,実際には頭を使う作業であるがゆえに避けてしまうんじゃないかってことですな.
で,実験では,参加者を「何でも好きにを考えてください」と伝えたグループと,「なんか楽しいこと(過去や将来の家族行事とか休暇とか)を考えてください」と伝えたグループに分けました.そのうえでどのくらい思考,妄想を楽しむことができたか?みたいなポイントを調べました.
その結果をざっと列挙すると,
- 全体的に,「楽しいことを考えてください」と言われたグループのほうが「何でも好きに考えてください」と言われたグループよりも楽しい考えを体験していた.
- その傾向はジムでも実験室でも同様に確認された.
- 座っていても歩いていても同様だったし,気分の良し悪しによっても影響を受けなかった.
- さらに,楽しい活動を遮られたときであっても同様の傾向がみられた.
みたいな感じ.どんな状況や気分でも,ただ「特定の楽しいことを考える」という何かゴールがあるだけで妄想が格段楽しいものになったわけですな.
このような結果が得られた理由として以下のようなポイントが指摘されていました.好きに考えてくださいと言われた参加者は,
- 妄想することの何が楽しいのかわからない
- 妄想が個人的に何の意味があるのかわからない
- 妄想は骨の折れるものだ
- 妄想より現実的な計画を立てる方が価値がある
と回答する傾向がみられたそう.妄想のゴールが設定されなかったせいで,妄想に対してネガティブなイメージが固定されてしまい,その結果として問題とかトラブルとかネガティブなお題について考えがちになってしまったってわけですな.
研究チーム曰く,
この研究は,妄想にふけることは過小評価されていて,特に妄想のゴールが意味のあるもので楽しいものであると理解できれば,「スマホ依存」の実現可能な代替策にもなるかもしれないということを示唆している.
とのこと.時間ができたときにはスマホに手を伸ばすのではなくて,ちゃんとゴールを設定して妄想をしてみると,もっとポジティブな感情を体験できるし,正しく使えないのはもったいないよ!って話っすね.
ってことで,状況,環境的には集中がそれるような感じじゃなきゃいいと思うんで,明確なお題,ゴールを決めたうえで,イメージの世界で自由に遊んでみるといいんじゃないでしょうか.自分の体一つあればいつでもどこでもできる娯楽って点もいい感じですね.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterなどでご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!
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