食事

「全粒穀物に変えれば,心血管系のリスクを減らせるか?」問題を調べたメタ分析の話.

「全粒粉は体にいい!」「玄米に変えると健康になる!」という話は今でもよく聞くわけです.ご存じの通り,全粒穀物というのは,ぬかとなる部位を除去していないもので,精白したものよりも食物繊維やビタミン等が豊富に含まれる結果,

  • 2型糖尿病予防になる!
  • がん予防になる!
  • 心疾患リスクを下げる!

とか言われているんですよね.


実際,健康食として有名な地中海式ダイエットでも,白米は玄米に,というように,大量の全粒穀物を食べることが推奨されています.全粒のおかげで,地中海式ダイエッターたちは健康を維持できているんやないの?と考えられているわけです.


もっとも,どうしてもこのあたりの話は観察研究が多く,全粒のおかげではなくて,「ただ単に健康な人が全粒を多く消費しているだけでは?」という疑問も多く呈されています.



てことで,この辺の問題について調べたメタ分析の話(R)が出ていて,「全粒穀物って体にいいの?特に,心疾患系のリスクを下げてくれるの?」という点を調べてくれておりました.

この調査では,「精製穀物を全粒穀物に置き換えたら,心血管系のリスクが下がるか?」を調べた25件のRCTをピックアップしていて,コレステロール値や中性脂肪等にどんな違いが出るかをチェックしております.


軽くデータの内容に触れると,

  • 介入期間は2-16週間
  • 13件の研究が健康な男女を,その他の研究は,慢性的な病気を持つ(心疾患リスクが高い)人が対象.
  • 平均年齢は,27歳から67歳.
  • 参加者数は,介入群が1186人,コントロール群が1109人.
  • 11件の研究が,全粒穀物の種を問わないもの,6件が米,6件が小麦,2件がオート麦,1件が大麦にシフトした結果を比較.

みたいになっています.総じて,バイアスのリスクは低いものとして分類されています.



さて,その結論がどうだったかを先に見てみますと,

  • 全粒穀物に変えても心疾患リスクを格別下げるという証拠はなし!

だったそう.

具体的に一部掻い摘んでみると,

  • 全粒オート麦に変えたら,総コレステロール値が少し下がり,(SMD = –0.54, 95% CI –0.95 to –0.12).LDLコレステロール値が少し下がる(SMD = –0.57, 95% CI –0.84 to –0.31).
  • 全粒米に変えたら,中性脂肪が改善された(SMD = 0.22, 95% CI –0.44 to –0.01).
  • 全体を通して,ヘモグロビンA1C値が高くなりSMD = –0.33, 95% CI –0.61 to –0.04),C反応性たんぱくが増えた(SMD = –0.22, 95% CI –0.44 to –0.00).

みたいになっていて,全体的にポジティブな結果になっていはしますが,総じてエビデンスの質は低く,効果量も小さいことがわかります.これを見る限りは,「全粒穀物に変えてもそんなに心血管系のリスクは変わらないのでは?」って感じがします.


研究チームも,

このRCTのレビューから,臨床的に見て,全粒穀物の摂取が,精製穀物に比して,よりCVDリスクの低減に寄与すると結論付けるにはエビデンスが不十分だということがわかる.

とコメントしております.



ということで,心血管系の観点からすると,全粒穀物は健康に悪いわけじゃないけど,積極的に取るべき理由も特にない,くらいの結論になりましょうか.当メタ分析は心血管系のリスクの観点からの調査でしたが,他のメタ分析なんかでは,QOLとかまで含めて,全粒に特にいい証拠は見つからなかったという報告もありますので,やはり,積極的に取り入れる必要はないという印象です.

となると,地中海式から,全粒穀物を除いた食が今のところの最適解という感じになりましょうか.

参考になれば幸いです.それではまた.

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