先生と生徒の脳がシンクロしてるほどテストの成績が高くなる
人間の認知機能が人間関係に強い影響を受けることは常識ですけど、最近読んだ研究では、「先生と生徒の脳のシンクロ率を見ただけでテストの成績を予測できるぞ!」みたいな話になってて面白かったです。
こちらはニューヨーク大学などの研究で、生徒と先生にEEGを装着してもらって、先生が科学に関するトピックで短い講義を行っている間の両者の脳活動をモニターしたらしい。で、そのあと学生の参加者には講義に関するテストを受けてもらったところ、
- 講義を聞いているうちに、みんなの脳波は互いにシンクロしてくる傾向が見られた
- さらに、先生と生徒の脳波もシンクロする現象が見られ、このシンクロ率が高かった生徒の方がテストの成績が高かった
だったらしい。しかも、生徒一人一人の脳波を見ただけではその後の成績を予測できなかったそうで、「先生と生徒のつながり」の方が大事だ!って結論になってたりします。おもしろ、、、
まあこの研究を実際の学習の現場で応用するのはなかなか難しいでしょうけど、テキストで学ぶより人から説明を受けたほうが記憶に残る、とかってのはこの辺の学習プロセスが関係しているのかもなぁとか思いましたね。
アレをつけて寝ると翌日頭がよくなってるかも
「頭がよくなりたい!」ってのは多くの人の望みでしょうが、最近の研究では「アイマスクをつけて寝るだけで翌日の脳機能が向上するぞ!」みたいな話になってて面白いです。たった一日で効果が出るというのもうれしいっすね。
こちらはカーディフ大学などの研究で、実験概要と結果は以下の通りです。
- 18歳から35歳の成人89人にアイマスクを着けて寝てもらったところ、イベントや経験、単語を思い出したり、持続的に注意力を発揮したりする能力が高くなっていた
- また、別の33人を対象に、アイマスクまたは布が目を覆わないように切り抜かれたアイマスク(?)をして眠ってもらった場合でも同様に、完全なアイマスクをつけて寝た人の方が単語の想起テストのスコアが高かった
- EEGヘッドバンドを使用して睡眠を追跡したところ、アイマスクをつけても睡眠時間や睡眠の質に差はなかったが、アイマスクをつけると徐波睡眠が長くなり、これが認知テストのスコアを媒介していた
ってことで、研究チームの言葉を借りれば、「アイマスクを着用した状態での睡眠が、記憶のエンコーディングと注意力の向上に寄与している」かもってわけですね。おもしろー。。
まあそうはいっても格段に頭がよくなるわけではないんで、おそらく自覚できるほどの違いは出ないでしょうけど、別にそこまで手間やお金がかかるものでもないし、アイマスクの導入を検討してみる価値は十分にあるのではないかと。
睡眠中の光は認知機能以外でも様々な影響をもたらすと考えられてまして、以前には肥満と関連してるのでは?みたいな論文もありましたしね。
頭の固い人
"Does social rigidity predict cognitive rigidity?"ってタイトルの論文が面白かったのでメモ。内容はタイトルの通りで、要するに社会的・政治的に保守的な人や新しい考え方や視点に反発しがちな人は新しいアイデアも思いつきにくいんじゃね?、みたいな話ですな。イメージ的には何となく両者は関連してそうな感じもしますけど、これまでは研究デザインの問題などからはっきりとした関連性は分かっていなかったんだそうな。こ
今回の試験ではアメリカとイタリアの成人525人(平均年齢38歳)を対象に実験を行ってて、以下の2つの柔軟性の関連を調べたらしい。
- 認知的柔軟性:レバスパズル課題とCRTにより創造性を使って問題を解決する能力を測定
- 社会的柔軟性:保守的な政治的イデオロギーに対する考え方や、曖昧さへの寛容度合い、移民や外国人に対する反発度合いを測定
その結果、
- 社会的な考え方における二極化(保守主義、絶対主義、外国人恐怖症のレベルが高い)のスコアが高い人ほど、問題解決課題の成績が低かった
- これは、政治的内容がない場合でも、同様だった
- また、でたらめに対する受容度や、特定のバイアスのレベルを調整したのちにも維持された
だったそう。つまり、社会的な柔軟性と認知的な柔軟性は共通の構造で成立しているんだってわけですな。
まあとはいえ根本的なメカニズムは分かってないし、まだまだ研究の余地はあるって感じですけど、面白い発想をできる人間になりたい!って思うのであれば、まずは社会に潜む「当たり前」を疑い、「別にそうじゃなくてもいいのでは?」とか考えてみる習慣をつけるのはありかもしれないっすねー。