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メンタル改善に必要な運動量、完璧主義でメンタル病む、スーパーエイジャーの脳の中

メンタルの改善を狙うなら必要な運動量はどのくらい?

うつ病は最も一般的な精神疾患の一つで、全世界で見ても約5%が罹患していると推定されてて決して他人ごとではないわけです。

で、うつ病の治療には抗うつ剤のほか、CBTなどいろいろ方法がありますが、最近注目されているのが「ライフスタイルの改善」によるアプローチ。食事や運動、睡眠を見直すことでかなり抑うつ症状を軽減したり大うつ病のリスクを減らせるんじゃない?ってデータが増えてきてるんですよね。

その中でも「運動」はかなり有望株と考えられておりますが、最近の研究では「運動がいいのは分かったけど、どのくらいやればいいの?」ってところを長期的に探ってくれていてありがたかったです。運動がHPA軸を介して気分やストレスへの反応を改善するとか、エンドルフィンがメンタルを落ち着かせるとかざっくりしたことがわかってたけど、「vs うつ」という文脈で必要な最小の運動量はこれまで意外とはっきりしていなかったんですよね。

こちらは2009年10月から2018年12月まで4,016人を追跡し、5つのタイムポイントでデータを収集したものとなってます。抑うつスコアはCES-Dで評価し、運動量は過去7日間の身体活動量を強度、日数、時間をベースに報告してもらったんだそう。

その結果、

  • 中等度から高強度の身体活動(MVPA)を1日20分(週5日)行っていた人は、運動をしていない人に比べて、抑うつのオッズが43%低かった
  • また、運動レベルは上がるにつれて効果は大きくなったが、最少量の運動量であっても、全く運動していない人に比べればうつ病になる確率が16%低かった
  • 運動によるうつ軽減の効果は慢性疾患を抱える人ほど大きい傾向があった

だったそうで、一日20分を下限に活動量が増えるほどメンタルに安定をもたらしてくれるらしい。

もちろん20分以下なら全く効果はない!ってことはないでしょうが、メンタルの改善を目的とするなら一日20分を目標に運動してみるといいかもしれませんな。

【メタアナリシス】完璧主義 vs メンタル

完璧主義がメンタルを蝕むぞ!って話は何度かしたことがありますが、このトピックについて最近精度の高いメタアナリシスが出ていたのでメモしておきます。

こちらは6〜24歳の若年者における完璧主義と不安、強迫性障害、抑うつ症状との関連を調べた研究の系統的レビューとメタ分析で、1980年から2020年の間に発表された32の研究をピックアップしてます。サンプルの合計は10,773人となってます。

結果をざっくりまとめておくと、

  • 「完璧主義的努力(高い水準を達成したいという願望)」と「完璧主義的懸念(完璧であることを気にしすぎること)」と呼ばれる完璧主義の両側面が、若者のメンタルヘルス問題と関連していた
  • 特に完璧主義的懸念は、完璧主義的努力と比べて、不安、強迫性障害、うつ病の症状とより強く関連していた
  • この関連は、年齢層、性別、居住国を問わず一貫していた
  • また、完璧主義とメンタルの問題との関連は、非臨床サンプルよりも臨床サンプルでより強かった(治療を受けている人ほどダメージを受けやすい)
  • ただし、他人に要求するタイプの完璧主義は、これらの症状との関連性が低いか、有意ではなかった

だったそう。まあまだはっきりと因果関係が確定したわけではないですけど、こうやってみるとやはりメンタルの維持のために完璧主義対策は必須だなーと感じましたね。

てなわけで、特に20代前半くらいまでの若い世代の方はお気を付けをー(この年代の人が一番完璧主義のダメージを受けやすいので)。

スーパーエイジャーの脳はなんでそんなに若いんですか?

スーパーエイジャー(80歳以上だけど自分より何十歳分も脳機能を持つ人たち)は普通の人と何が違うの?みたいなところを調べた長期研究がThe Lancet Healthy Longevity誌に掲載されてました。

こちらはマドリード工科大学などの研究で、高い記憶力スコア(50~56歳の平均スコア以上)を有する64人の高齢者と一般的なスコアの高齢者55人(すべて79.5歳以上)を活動量や抑うつ、脳構造など様々な観点から比較してます。その結果、

  • スーパーエイジャーは一般的に運動のテストで高いスコアを記録し、これは自己申告の運動レベルに差がない場合でも同様に当てはまった(ただし運動の種類や強度が異なっている可能性はある)
  • スーパーエイジャーはよくうつや不安の割合も少なかった
  • スーパーエイジャーは記憶に関連する領域のほか、前帯状皮質(注意、記憶、実行機能、意欲などを司る)の体積も大きかった。6年間で見られた灰白質の萎縮の割合が少なかった(特に海馬で顕著)
  • 両群において神経変性疾患のバイオマーカーや遺伝的なリスク因子に有意差は認められなかった(APOEε4など)
  • 社会的地位、婚姻状態等が有意に関連していた

だったそうで、スーパーエイジャーだろうとほかの人と同じようにダメージを受けはするんだけど、高いレベルの「レジリエンス」を発揮することで高い脳機能を維持するみたい。これはこれまでも言われてたとこですね。

また、単に記憶能力が高いだけでなく、困難に直面した時に高い粘り強さを発揮できるお陰で高いパフォーマンスを維持できてるのかも、ってのも面白いですな。

まあ全体的にみるとやっぱり「遺伝子の宝くじに当たった」的な要素が強そうだなーとは思いましたけど、「ジェロサイエンス」の分野は今後もフォローしていきたいですな。

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