メンタル

壮大な景色の写真を見れば、いろんな感情が沸き上がってくる!という実験の話。

壮大な景色を見たときとか、新奇なものなんかを見たときに、私たちは、畏敬の念を感じます。畏敬の念というのは、要するに、自分よりもはるかにでっかいものなんかを見て、「自分ってちっぽけな存在だなー」って感じの感情です。別に自分を卑下しているわけではなくて、過大評価していた自分に対する見方を改めるのに役立ったりするやつですね。


私は最近、外出するときには畏敬の念を抱くような対象を探しながら移動したりしています。珍しい雲の形だったり、今までは気づかなかった建物なんかに気づいたりして面白いです。


 

今回のカリフォルニア大学の研究では、「畏敬の念が他の感情と関係しているのか?」について2つの実験を通して検証しておりました。最近畏敬の念についての研究は盛んにおこなわれているものの、他の感情との結びつきというテーマはあまり見たことがないので参考になりました。


実験は2段階で行われていたのでそれぞれ簡単に確認。

実験1

  • 94人の大学生を対象に、ランダムに選ばれた半数は、まるで宇宙船に乗っているような視点から宇宙空間から地球を眺め、ナレーターからのそれを観察した状況を伝える。(「チームヤマト」と呼ぶことにしましょう。)
  • 残りの半数の大学生は、隣の部屋に移動して、地球と冥王星の小さな模型を見せられて冥王星についての説明を受ける。(「チーム模型」と呼ぶことにしましょう)
  • 実験の最中と実験の後で、対象者たちの感情についての質問に答えてもらう。

おなじ宇宙に関することでもまるで自分が宇宙空間にいるような視点から地球を眺めた場面と、いつも通りの空間で模型を見ただけでは畏敬を感じる度合いはけた違いですから、それを利用して対象者たちの感情との関係性を評価したわけです。


その結果は以下の通り。

  • チームヤマトはポジティブな感情(幸せ、誇り、驚きとか)と同じくらい、自己超越の感情(喜び、情熱、楽観、畏怖、愛)をかなり多く感じていたことを報告した。
  • チームヤマトは、きずなとか、自分との密接な関連性とか、謙遜の感情をより多く感じていた。
  • その中でも特に自己超越の感情をより多く感じていた。

ってことでチームヤマトはいわゆる畏敬の念を多く感じることができて、さらにそれと同時にほかのあらゆるポジティブな感情が沸き上がってきたということですね。いつもとは違う視点からものを見たり、いつもはみることができない壮大な景色を経験することによって、自分の内にあった感情、または今までは考えもしなかった感情に気づくことができたのかもしれませんね。たしかにバーチャルとは言え、リアルに宇宙から地球を眺めたら価値観はガラッと変わってしまうのも想像に難くありません。


実験チームは以下のようにコメントしています。

この実験は、新奇なバーチャル環境が様々は感情や状態を導くことを示している。また、自己超越の感情に関して、自己関連の感情や、きずなの感情を導くし、その逆もまた同様であることを意味している。

とはいえ、まだ、小規模の限られた条件での結果、ということで、次の実験ではより範囲を広げております。

実験2

  • 参加者は、18歳から72歳までの172人。(平均年齢は34.55歳。)
  • ランダムに割り振られた半数の参加者は、まるで宇宙船から見たような地球の景色を描き、ナレーターがペイル・ブルー・ドットからの引用文を読むという内容のビデオを見る。(「チームアポロ」と呼ぶことにしましょう)
  • 残りの半数は、宇宙から見た地球の画像と、ナレーターが地球の自転と公転についての説明をするビデオを見る。(「チームチョコ」と呼ぶことにしましょう)
  • ビデオを見た後の参加者たちの感情についての質問に回答してもらう。

以上のような実験の内容になっております。実験1では大学生が対象だったのに対して広い世代が対象となっておりますし、総参加者数も倍くらいになっております。実験1のようにVRを使って本当に自分が宇宙空間にいるようであるとまではいかずとも、まるで自分が宇宙にいることを想像できるくらいのビデオになっております。チームアポロが本当に宇宙に行ったように思えるような画像を見たのに対して、チームチョコは教科書とかで見るくらいのよく見る画像を想像してもらえばいいでしょう。


その結果は以下の通り。

  • 実験1と同様に、チームアポロでは、チームチョコに比べて自己超越の感情、きずな、自己関連の感情、自分のちっぽけさなどのポジティブな感情をより多く感じていた。
  • もっとも、謙遜とか、恥ずかしさとか、全般的なポジティブな感情に関しては実験1ほど多くはなかった。

ということでやっぱり畏敬の念を感じるような状況ではほかのポジティブな感情も同時に多く感じるのですな。それは年齢とか、畏敬の念を感じる対象が違っても同様。でもその対象によっては感じる度合いは異なってくるのかもしれないということがわかりますね。

まとめ

以上の2つの実験をまとめると以下の通りになるでしょう。


一般に、畏敬の念を感じるような経験は、畏敬の念を感じるだけでなく、情熱とか、喜び、愛、楽観という感情も感じるし、それと一緒にきずな、自己関連の感情などのポジティブな感情とも結びついている。また、畏敬の念に反応して生じた自己関連の感情やきずなの感情は、また、それぞれの感情を増加させる。


チームも以下のようにコメントしております。

これらの発見は、一般に畏敬の念を生じさせると考えさせるような経験(一風変わった景色を見るとか)は、より広く、「自己超越」として概念化させるかもしれないことを示唆している。

ってことで、畏敬の念についての研究がもっと進み、一般にも広く受け入れられるようになれば、畏敬の念を抱くような経験に対する見方も変わって、自己超越とか、他のポジティブな感情を誘引するようなものだと考えられるようになるかもしれないということですね。


 

自己超越の感情が概念化されるかどうかは置いておいても、畏敬の念という感情には、いろいろな感情が伴ってくるということがわかりました。たしかに考えてみればよくわかるかもしれません。例えば富士山に登頂したときには喜びとか、ポジティブな感情が沸き上がってきそうな気がします。


でも、それを考えるかといわれればそうでもない気もします。自分の中で畏敬の念を感じるときにはその中に具体的にはほかにどんな感情が紛れいているのか、マインドフルに意識を向けてみてもいいかもしれませんし、いろいろと自分の感情で実験してみるのも面白いかもしれません。


畏敬の念は、別に実際にその場所に行った方が抱きやすい感情かもしれませんが現代ではスマホとかタブレットとかで簡単に写真を見たり動画を視聴したりできますから、家の中で簡単に試してみるのもいいかもしれません。ちょっと気分が落ち込んだときとかに壮大な写真を見れば喜びの感情とか、ポジティブな感情がわいてくるかもしれません。


それではまた。

References

  1. S Katherine Nelson-Coffey et al. 2019. "The proximal experience of awe"

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