「検索練習」,それは,数多ある勉強法の中で科学的に最強と言われる方法でありまして,簡単に言えば,「頑張って思い出す」という要素の含まれた学習法のことです.
その効果は複数のメタ分析で実証されておりまして,勉強法に迷ったらまずは検索練習を試すのがいいんじゃないかなとか思っているわけです.
検索練習の恩恵は,単に長期記憶につながりやすいというだけでなく,
- ワーキングメモリーの向上
- メタ認知の向上
- 注意力の向上
- 他の分野に学んだ知識を応用できるようになる
- 情報の取捨選択がうまくなる
みたいなメリットもあったりして,非常に優秀なわけです.
で,ドイツのレーゲンスブルク大学の新しい研究(R)では,「検索練習で,学習に対するモチベ―ションが上がるのでは?」という点を調べてくれておりました.記憶の保持,他の知識への応用といった学習自体のメリットに加え,モチベーションまで向上させてくれれば,さらに検索練習の最強伝説に拍車をかけることになりそうです.
この研究は大きく3つで構成されておりまして,まず,実験1は以下のように実施されました.
- 64人の大学生を対象に,ランダムに選んだ20個のスウェーデン語の単語を覚えてもらうが,そのうち半数は検索練習で,残りの半数は再学習で覚えてもらう.
- その後1分後に確認テストを実施する.
- テスト終了後,参加者に5分間試験室に待機するよう指示し,試験室に置かれたスウェーデン語やスウェーデンの国について書かれた資料にどのくらい目を通すかをカメラでチェックする.
みたいになっています.また,実験2,3では,
- 実験2:200人の大学生を対象に,実験1と同様の調査を行うが,確認テストを2日後に行う.
- 実験3:64人の大学生を対象に,実験1と同様の調査を行うが,学習後のフィードバックを行わない.
みたいな感じで行われました.再学習に比べて検索練習がどのくらい知識の定着に寄与するのかの確認に加えて,検索練習をすることで「もっと学びたい」といった好奇心,学習のモチベーションがどのくらい高まるかをチェックしたわけですな.
その結果はというと,
- 実験1では,確認テストの結果は検索練習のほうが高く(80.78% vs 74.22%),テスト後に資料を読んだ時間も長かった(155.00秒 vs 96.97秒).
- 実験2でも,実験1と同様の結果が得られた.
- 実験3では,検索練習グループでも,再学習グループでも,テスト後に資料を読んだ時間に有意な差はなかった.
というわけで,全体的に見れば,「ちゃんと学習後のフィードバックをしておけば,学習のモチベーションは少なくとも2日くらいは高まりそう!」という感じですね.
研究チーム曰く,
検索練習は,生徒たちに学習における能力があるということを実感させ,それが潜在的にモチベーションをブーストするのかもしれない.
とのこと.検索練習によって,「学ぶ」,「頭に入る」,ということをはっきり確認できることで「もっと学びたい」という気持ちになるのかも,ということですね.
てことで,勉強のモチベーションがわかない!という方なども,徹底的に「検索練習」をしてみると,ポジティブなループに入って意外と勉強のモチベーションがわいてくるかもしれませんなー.
参考になれば幸いです.それではっ!
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