「年を取ると新しいことにチャレンジしなくなる!」「新たなスキルや趣味を探さなくなる!」ってよく聞くじゃないですか。
要は「年を取ると何かを始め、追求するモチベーションが下がっちゃう」って話でして、この変化の激しい時代、できることなら最後まで新たなものに興味を燃やしたいなぁとか思うわけです。
そんななかで、新たに「年齢によってモチベーションの要素ってどう違ってるの?」を調べたデータ(R)が出ておりました。
これはノルウェー・アイスランドの2か国から集めた13歳から77歳の男女1548人を対象にした観察研究で、「情熱」「グリット」「成長マインドセット」がライフスパンの中でどう変わっていくのか?ってところを探っております。
一応確認しておくと、「グリット」ってのは一度決めた目標に粘り強く努力し続ける姿勢のことで、これが高いと学校の成績も高くなる傾向があったりするんですよね。また、「成長マインドセット」は「固定マインドセット」と対となる概念で、「才能がなくても練習や経験でスキルを十分伸ばせる!」って信じる姿勢のこと。これが高いと不安が少なく、多くの時間と労力を目標達成にそそぐことがわかっているんですよね。
まあ本ブログをお読みの方なら、この3つが目標達成において重要な要素になることはご存じでしょうが、これらのスコアが年齢によってどう変わっていくのか?ってポイントはこれまで意外と知られていなかったらしいんですな。
で、分析の結果どんなことが分かったかといいますと、
- 情熱:50~59歳まで一貫して減少し続け、その後上昇していく傾向が見られた。また、すべての年齢層で、女性よりも男性の方が高いスコアを示していた
- グリット:13~29歳の間では減少したが、その後は一貫して上昇していく傾向が見られた
- 成長マインドセット:40~49歳あたりから明確に低下していく(男性の方が早く低下し始め、60~69歳の時点では男女に有意な差が認められる)。
ということで、年を取るとこれらの要素はそれぞれ独立のパターンに従って変化していくみたいっすね。
では、なんでこのような変化が生じるのかといいますと、研究チームは以下のような考察をしておられました。
- 情熱:20~39歳あたりまでは学校や社会人のスタート、家庭の確率など、大きなライフイベントが発生しやすいため、その他の場面で発揮できる情熱が足りなくなっているのかもしれない。一方、50~59歳以降では子供の自立、退職等のおかげで、人生全体にかけられる情熱が増えていることが影響していると考えられる。
また、性差の分析を見るに、女性よりも男性の方が情熱がより強い原動力になっている可能性が伺える。
- グリット:年を取るにつれて増加していく傾向が見られたことから、進学や就職、転職を含め、様々な挑戦や困難への直面がグリットを成長させる可能性が考えられる。
- 成長マインドセット:灰白質の減少によって新しい知識や技能の獲得に物理的な限界が訪れる可能性がある。同時に、自分の身体的、認知的能力が以前ほど優れていないことを実感し、以前よりも新たなスキルの習得に時間がかかることを実感するせいで成長マインドセットが阻害される可能性も高そう。
最近では神経新生や可塑性は思ってるより長い間行われることが確認されてきてますし、「前より記憶に残らない!」「前もやったはずなのに覚えてない!」みたいな自分への不満がモチベーションの低下につながっているのかもしれないっすね。
てなわけで、とりあえず年をとってもセルフコンパッションとかで自分を受け入れつつ、自然に伸びてきたグリットを活用していくのがいい感じですかねー。