性格

住んでる場所・環境によって価値観はどう違うのか?みたいな論文の話【山がちな地域の人は快楽主義?】

「住んでいる地域の環境によってその人のキャラクターが違ってくる!」ってのは直感的にもわかる話で、特に「山」なんかは典型例でしょう。「山に囲まれて住んでる人は、物静かで、自立していて、レジリエンスが高くて、自由を求める」なんてのは大昔の書物でも描写されてたりしますしね。

とはいえ、実際に「山に住んでる人の性格ってどうなの?」みたいな問題に関するエビデンスはまだ少ないのが現状。周りに緑があると気分がよくなり、幸福度が高まり、メンタルの問題も起きにくい!みたいな報告は多いんですが、殊性格や価値観に関してははっきりしてないんですね。

一応今ある数少ないデータを見てみると、

  • 山がちな地域の人は開放性が高く、協調性、誠実性、外向性、神経症傾向が低い


っていう報告があったりはします。(ビックファイブに関してはこちらを参照ください)

そんな中で最近の論文(R)では、「住んでる地域によって価値観がどう違うのか?」ってのをがっつり調べてくれていて面白かったです。



住んでる場所・環境によって価値観はどう違うのか?

これは、ケンブリッジ大学などの研究で、32,666人の男女を対象にしたもの。まずは全員の価値観を調べるテストのスコアをチェックしたうえで、衛星データを用いて、それぞれの住んでる地域がどのくらい山に囲まれてるか?高度はどのくらいか?ってのと比べて統計処理したんですね。

価値観の評価には、以下のような円形のモデル(R)が使われております。

これは価値観を測るのによく使われるモデルで、隣り合ってるものほど近く、正反対に位置するものほど真逆の価値観みたいに考えることができます。

この研究では、「山レベル」のほかに、価値観に関係してそうな要素として、性別、年齢、収入、人口密度、気候みたいな要素も検証されております。



価値観に影響をもたらす要素とは?

で、分析の結果わかったことを列挙するとこんな感じ。

  • 周囲が山に囲まれている人ほど、「安全性」「伝統」「慣習への従順」みたいな保守的な価値観が強かった。また、「達成」のような「自己高揚」の価値観が強く、逆に快楽主義のレベルが低かった

  • 冷涼な気候(高度が高い)ほど、自己高揚、保守的な価値観のスコアが低く、自己超越のスコアが低かった

  • 住んでいる地域の人口密度が高いほど、自己高揚の価値観が高く、保守的な価値観が低かった

  • 高齢の人ほど自己高揚のスコアが低く、保守的なスコアが高かった

  • 収入が多い人ほど自己高揚、保守的なスコアが高く、逆に自己超越のスコアが低かった

  • 女性に比べて男性のほうが、自己高揚、保守的なスコアが高かった


だったそうで、複数のロバストネスチェックでも同様の傾向が確認されたらしい。



どうして山の人たちは性格が違うのか?

ここでは特に「山がちな環境と性格」の関係について言及されてまして、「山に囲まれている人たちは快楽主義のスコアが低い」という点に関しては、単純に、「山岳地帯は人里離れた場所にあるために、人を寄せ付けず、世俗的な快楽や官能的な満足感を追求するには適していないから」だろうと推測しておられます。

一方、「山に囲まれた環境の人は保守的だ」ってのは、上で述べた「開放性の高さ」と矛盾するのでは?と考えた方もおられるかもしれません。

この点について研究チームは、「そもそも性格と価値観は全く別のものである」っていうことに加えて、以下のような説明を提示してくれてます。

  1. 山岳地帯のような生存が困難な環境に挑もうという覚悟を持つ人は開放的な性格
  2. だが、ひとたびそこで暮らそうと思うと、安全性、規律、安定性、現状維持といった考え方を持たないとやっていけない
  3. 結果、オープンな性格と保守的な価値観を同時に持つことが、山で生きるために最も適応的


って感じで、脅威への挑戦を好みつつ、脅威に対処するにはこのような一見矛盾しているようにも見える考え方を身に着けるのが最適なのかもしれない、と。なかなか面白い話ですなぁ。

とはいえ、これは観察研究ですので因果関係は分かりませんし、日本人にも同様に当てはまるかはわかりません。また、価値観に関しては効果量も小さめなんで、「山に住んでいる人は保守的!」「保守的な人は山に住みたがる!」と安易には言えません。が、だからといって「じゃあ山に住んでるかどうかは価値観に関係ない」ということもできず、研究チームも以下のようにコメントしておられます。

個人の価値観は多くの要因によって決定され、一つの要因は小さな影響しか与えないことも多い。

効果量が小さいからと言って、観察された関係が重要でないというわけではない。むしろ、小さな効果であっても時間的、規模的に考えると大きな違いを生むこともある。

よって、山がちな環境が個人の価値観に与える直接的な影響は小さいかもしれないが、生涯にわたって、または人口規模で考えると、小さな影響が、選挙の結果、文化資本、経済成長などの非常に大きな成果につながる可能性がある。


ってわけで、住んでる地域の自然環境が価値観にもたらす影響は直接的には決定的ではないにしても、決して無視できるものではないんだ、と。

そんなわけで、「周囲の環境の山レベル」と価値観の関係のお話でした。大きな引っ越しをしたときとかを振り返ってみて、「自分の考え方が変わっていないか?」「それって周りの自然環境の変化が影響してるんじゃないの?」とか考えてみると面白いかもしれないっすねー。

参考になれば幸いです。質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです。


それではっ!

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