「金持ちほど長生きする!」ってのは多くのデータで示されている事実。ある程度お金を持っている人のほうが、健康的な食事をして、運動量も多く、ストレスも少ないといった点を考えると、まあ当たり前っちゃ当たり前な感じもしますが。
中でも、「財産」の多寡は教育レベル、職業上の地位、収入といった他の社会経済的な要素よりも寿命に関係しているという報告もあったりします。
とはいえ、財産が多けりゃ長生きできる!っていう因果関係を証明するのは容易ではなくて、当然親の収入レベルとかいろんな要素が影響してくると考えるのは当然の流れ。
そんな状況下、最近の論文(R)は、「中年時の財産の量によって将来の寿命がどのくらい違ってくるのか?」って点で新たな視点を付け加えていて面白いです。
「収入で寿命が決まる!」はどこまで正しいのか?
これは、MIDUSのデータを用いて、平均46.7歳の男女5414人を約24年間にわたって追跡調査した研究となっておりまして、全員の純財産(資産から負債を引いたもの)を調べたうえで、調査開始時の財産の多寡とその後の死亡リスクを評価したんだそう。
さらにこの研究の面白いのは、兄弟や双子における「財産と寿命」の関係に焦点を当てている点。つまり、似たような遺伝子や子供時代の経験、親の経済状況等を有する人の間でも「財産と寿命」の関係は維持されるのか?ってのを調べたというわけ。
結果、期間中には参加者のうち1010人(18.7%)が亡くなりまして、まず大きな結論としてこんなことが分かりました。
- 純財産が5万ドル増えるごとに、その後の死亡リスクが5~6%低下する!
というわけで、全体でみた場合でも、兄弟、双子で比較した場合でも、ほとんど同様の傾向が確認されたんだそう。つまり、同じ親、遺伝子を持ち、同じような子供時代を送ってきた人を比較しても、40代くらいの時の財産の量によって寿命が左右されるんだ、と。
さらに、兄弟、双子に焦点を絞ると、
- 中年時の純財産が13.9万ドル少ないと、24年後の死亡リスクが13%上がる!
- この関係は、双子か否か、一卵性か二卵性かによって有意な違いはなかった
みたいになってます。これは家庭の収入レベルや人種、性別等に関係なく確認されたそうで、財産の量が寿命に関して結構重要なファクターになってそうだなーみたいな印象を受けますね。
生まれか育ちか、それとも稼ぎか?
研究チーム曰く、
富を獲得することは、健康や長生きに寄与する多くの重要なファクターにリソースを割く大量の機会をもたらしてくれる。
とのこと。お金を多く持ってるほうが、いい食事、ストレスの少ない仕事ができ、環境がきれいな場所に家を建てられ、質の高い医療を受けられる、みたいに健康的なライフスタイルに多くのお金を費やせるというわけですな。
ただし、もちろんこれをもって「財産を増やせば長生きできる!」とは言えないのは上述の通りで、研究チームも、自制心や認知能力、周囲の社会的な環境の違い等様々な要因が複雑に絡まりあってる可能性が大きいことには注意すべきよう釘をさしております。
また、もっと早く、もしくは遅い年齢での財産だとどのくらい寿命を予測できるのか?日本だとどのくらいの違いが出るのか?みたいな点も謎です。ここら辺は今後に期待って感じですかね。
そんなわけで、遺伝、子供時代、親の経済レベル等によらず、40代くらいまでにある程度稼いでおくと長生きできるかもよーっていう話でした。
参考になれば幸いです。質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです。
それではっ!