学習では「メタ認知」が大事だよねーってことは聞いたことがある人も多いかもしれません。私自身も日々意識しているわけですが、ブログではちゃんと紹介したことがなかったので、簡単にまとめておきます。
具体的には、最近出てた論文(R)なんかを参考に、
- そもそもメタ認知って何?
- メタ認知を高めるシンプルな3ステップ
- さらにメタ認知を磨く方法
といったところまで、メモしておこうと思っております。
そもそもメタ認知とは?
「メタ認知」ってのは、堅苦しい定義でいうと、
- 自分の思考プロセスや思考の結果、またはそれに関連することについての知識または思考
みたいな感じ。これだとなんのこっちゃって感じだと思うんで、簡単に言うと、
- 自分は今何をどこまでわかっていて、どこからがわかっていないのかを正確に把握していること
こういわれればなんとなくイメージがつかめるでしょうか。例えば、大学受験のために数学を勉強する場合に、メタ認知の能力が低いと、「何がわからないのかわからない!」ってなって、「とりあえず小学生の算数の四則演算から完璧にしていこう!」とか「位相空間論(大学数学の難しい分野)を必死になって学ぶ」みたいに、自分の現状の能力を正確にモニタリングできないんですよね。その結果、時間を割くべき分野や教材選びに失敗して、遠回りの学習になっちゃうことが多いんですよ。
さっきの数学の例は極端でしたが、自分の能力を正確に見積もれないのは人間の本質。これは学習においても例にもれず、
- 統計学のビデオを見てもらったのち、「テストでどのくらい点数が取れると思うか?」と尋ねると、平均78%はとれると予想したが、実際のスコアは平均48%だった
なんて実験は有名。このような現象は、幼稚園児から大人まで幅広く確認されていて、「人間の脳は自分の記憶や理解を過剰評価する」ってのは変えがたい事実というわけです。
さらに、ほかの実験によれば、
- たとえ教えている内容が同じでも、先生が流ちょうに話したときの方が、生徒は「多くのことを学んだ」と感じる傾向がある
- 自分が過去にかじった経験のある分野の講義に関しては、根拠もなくテストで高い成績を取れると予想する
みたいな報告も多くありまして、状況・環境によって、記憶や理解の過剰な自信に拍車がかかったりもするんですよね。学習におけるメタ認知の重要性はなんとなくわかってもらえたでしょうか?
メタ認知で学習効率を爆上げする3ステップ
そこで、「じゃあどうやってメタ認知を働かせればいいの?」ってのが気になるわけですが、当レビューでは、「wait-generate-validateモデル」ってのが提唱されてました。
これは一応学校の生徒や教師が使うことを想定しているんですが、社会人の方が独学で学習する際にも十分役に立つ内容かと思います。
まず、各ステップの概要を確認してみるとこんな感じ。
- ステップ1. Wait(待つ):一度学んだ後、すぐに復習するんじゃなく、時間を空けるべし
- ステップ2. Generate(想起):受動的にではなく、能動的に記憶を想起すべし
- ステップ3.Validate(確認):記憶が正しいかどうかチェックすべし
これは超シンプルで、日ごろから当たり前に実践していた人もいると思いますが、このステップを踏むだけでメタ的な問題に取り組むのに超絶役立つわけですな。
また、お気づきの通り、これは「スペーシング」「検索練習」「フィードバック」といった要素も入っていて、この点でも学習効率の向上に寄与してくれるでしょう。
では、さっそく1ステップずつ確認していきましょうー。
ステップ1. 待て
まず最初のステップは「1度目の学習からただ単に時間を空けること」。これだけでメタ的なモニタリング能力が全然違ってくるんですよ。しかもこの現象は、
- 外国語の単語・文法
- 物語の内容
- 数学の問題の解き方
- 歴史的な出来事
みたいに、記憶の種類によらず効果が確認されておりまして、やらないわけにはいきません。
では、具体的にどのくらい時間を空ければいいのか?って点に関しては、研究チームはこうおっしゃってます。
実践的には、生徒は記憶をチェックするために約1日待つことをお勧めする。もし次の学習に進むためにすぐにチェックすることが必要な場合であっても、数分時間を空けるだけでメタ認知的なモニタリングの正確性は向上する。
とのこと。ほんの少しだけ時間を空けるだけでも、「自分がどのくらい理解できているか?」に対する理解が正確になるってわけ。もっとも、他の研究を参照すると、1回目の学習から1週間とか時間が空いてしまっても同様の効果があると思われますんで、別に1日以内に復習しないといけない!ってわけではないのでご注意を。
また、このステップでは、以下のポイントには気を付けておく必要があります。それは、
- 時間を空けた後は、ちゃんと自分の頭で思い出すこと
であります。つまり、単に「再読する」「講義ビデオを再視聴する」といった受動的な方法ではなく、フラッシュカードを使ったりして、自分の頭の中を探し回ることでメタ認知的な効果も最大化される、ってことですな。(ここら辺は次の「想起」のステップでも確認しますが)
次回予告
何だか長くなったので、今回はこの辺で。次回は、残りのステップ2と3、あとは3つのステップの実践に役立つチップスを紹介したいと思っております。
参考になれば幸いです。質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです。
それではっ!