健康

日焼け止めでビタミンDが不足しちゃう?問題

ご存じの通り,「紫外線は皮膚がんを引き起こす最大の要因」と言われていて,皮膚がんを予防するために日焼け止めを使っている人も多いと思います.(日焼け止めを使っても皮膚がん予防には関係ないかも,っていう話はとりあえずおいといて)

もっとも,紫外線はビタミンD産生を誘発する材料でもあります.ビタミンDは免疫や,細胞の入れ替え,メンタルや脳の健康など,いろんな方面で重要なホルモンな割に,現代人が慢性的に不足してしまっている栄養素の一つ.

そこで気になるのが,「日焼け止めを使ったら,ビタミンD濃度が下がっちゃうんじゃない?」っていう問題.紫外線を吸収できなかったら,プレビタミンDができず,ビタミンDが生成されないのでは?というわけです.

そんなところで参考になるのが,QIMRベルクホーファー医学研究所などの系統的レビュー(R).



これは,過去の実験から質が高い75件をピックアップして,「日焼け止めとビタミンD3,25(OH)Dとの関係」を調べたもの.

25(OH)Dっていうのは,生成されたビタミンDが肝臓で水酸化されたもので,血中で長時間循環するために,栄養素として体内のビタミンDの過不足の指標としてよくつかわれるやつですな.



それで,どんなことがわかったのかと言いますと,

  • 4件の実証研究ではすべて,人工的なUVRを浴びたとき,日焼け止めを塗った被験者のビタミンD3,25(OH)D3濃度の増加率が小さかった.
  • 69件の観察研究では,大方日焼け止めの使用と25(OH)D濃度との間に相関は見られなかった
  • 2件のフィールド試験のRCTでは,いずれも日焼け止めの使用と25(OH)D濃度との間の相関は見られなかった


といった感じ.日焼け止めを使ってもビタミンDの産生には大きく影響はなさそうだなーっていう印象.

ただし,今回の分析にも限界は多くて,

  • RCTで使われた日焼け止めはSPF16以下(推奨されているのはSPF30).
  • 多くの観察研究では,25(OH)Dの記述データが報告されていない.
  • 地域や時間等によって影響が大きく変わる可能性がある.


といった問題があるところはご留意ください.特に高SPFだとどのくらい影響が出るのか,って点は気になるところです.今後の研究にも注目ですな.



研究チーム曰く,

太陽光からの保護に関するレコメンドを作成する際には,太陽光を浴びることのリスクとメリットの両方を勘案することを重要だ.

(中略)

暫定的に,これらの結果は,日焼け止めを使うことによるビタミンD不足のリスクは低く,日焼け止めの皮膚がん予防のメリットに勝ることはなさそうだということを示唆している.


とのこと.とりあえず,日常的な文脈において日焼け止めでビタミンDが作れないのでは…?って点はそこまで神経質にならなくてもいいのかも.

また,そもそも日焼け止めを塗っても皮膚がんのリスクは変わらないんじゃない?っていう問題もありますが,たとえ皮膚がん予防にはならなくても,光老化の防止に寄与することは間違いないでしょう.なので,やっぱり外出時の日焼け止めは必須でしょうね.

具体的な商品の選び方としては,アメリカ皮膚学会のガイドラインなんかを参照されるといいでしょう.ちなみに,私はバジャカンパニーの日焼け止めを使っておりまして,夏はスポーツ用でSPF35のものを塗ってたりします.

参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.

それではっ!

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