言わずもがなですが,パートナーとの恋愛関係を継続するかどうかってのは人生において結構重大な意思決定です.実際,「今までで一番後悔した決断は?」とか「重大だった決断は?」みたいな点を調べた調査でも,恋愛や結婚はいつも上位にランクインしてたりするんですよね.
もっとも,今のパートナーとの恋愛関係を継続するか思い切って別れるかってのは難しい決断で,だからこそ後になって尾を引きやすかったりするわけです.なんで,自分の価値観を明確にしたうえでそれに従って冷静に時間をかけて判断をしたいものです.
そんなところで,ユタ大学などの研究(R)では,「人はパートナーと別れるかどうかをどうやって決めているの?」みたいな点を調査していました.今のパートナーと付き合い続けるか,それとも別れるかをどんな理由で判断しているのか?っていうわけです.
そのような理由を把握しておけば,自分自身がそのような決断を迫られたときの判断材料にもなるかもしれません.また,現在良好な関係を崩さないために,パートナーに「別れたい理由」を感じさせないように事前に対策を打っておくためにも有用なんじゃないでしょうか.
具体的な調査の方法が以下のような感じ.
- 3つのサンプルグループとして合計450人くらいを集める.
- 過去または現在において,パートナーと別れるかの判断するにあたって考えた「別れる理由」「別れない理由」を思いつくだけ挙げてもらう.
- それらの理由をカテゴリーに分類する.
といった感じで,結果,関係を継続したい理由として27,関係を断ちたい理由として23のカテゴリーに分けられました.
具体的にはまず,「今のパートナーとの関係を維持したい理由」として以下のような分類がなされたそう.
- 感情的な親密さ:愛し合い,距離が近い感覚
- 感情的な投資:今まで築いてきたことを失いたくないという感情
- 家族的な義務:家族に対する恩義や悲しませたくないという感情
- パートナーの性格:優しいとか思いやりがあるとか
- エンジョイメント:今まで一緒に楽しいことをしてきたし,これからもするだろう
- 感情的な安全性:信頼できて安心感がある
- 身体的な親密さ:ハグやキスなど身体的な距離感の近さ
- 金銭的な恩恵:お金や物質的なメリット
- 一致性:趣味や好みなどが一致していて,うまくやっていけると思う
- パートナーに対する心配:義務感や相手を傷つけなくないという感情
- 楽観主義:パートナーが変わってくれて,関係性がもっといいものになるはず
- 承認欲求:パートナーが自分を理解,尊敬してくれて自己に対するポジティブな感情を感じられる
- 依存:一人になる恐怖からの回避
- 魅力:見た目や外見が魅力的
- 一般的な満足感:一緒にいるとそれなりに幸せになれる
- 他との比較:もっといい人には出会えないかもしれない
- 論理的な障壁:別れに伴う引っ越しや家具の分類,ペットの所有権争いなどの問題の回避
- 不確実性に対する恐怖:現在の状況から変化し,不透明な環境に身を置くことに対する恐怖
- 社会的なつながり:パートナーの家族や友人との関係
- 快適さ:一緒にいると快適で元気になれる
- 習慣:今を維持する方が新しい,変化を探すよりも楽
- 仲間づきあい:特定のだれかではなく誰でもいいから一緒にいてほしい
- 長期的な適応:パートナーとの将来を想像し,準備も進めてきた
- 社会的なプレッシャー:両親や友人が今のパートナーと一緒にいることを望んでいる
- 自己向上:いまのパートナーは自分を成長させてくれる
- 社会的地位:今のパートナーといれば人気や権威を維持できる
といった感じ.多岐にわたっているように見えて結構方向性はいくつかに絞られるような印象を受けました.特にネガティブな体験の回避が目的になってしまっているような場合は注意したほうがいいんじゃないかと思いました.
別れるかどうかを迷っているような場合にはこれらを参考にして,「自分は何で今の関係性を維持したいのか?」その理由をはっきりさせてみるといいかもしれません.そして,別れたい理由との比較も当然必要ですが,それがただ「周りの人の目が気になる」とか「引っ越しが面倒」とかなら思い切って別れてしまうのもありなんじゃないでしょうか.だらだらと継続してしまっても後の後悔につながってしまうだけですからね.
で,続いて「別れたい理由」を見ていきたいのですが,長くなったので今回はこの辺で.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!