『謙虚なリーダーシップ』という本もあるように,最近では「人の上に立つ人は謙虚な方がいい!」っていう考え方が主流になってきているわけです.
そんな中で,アメリカのロバート・グリーンリーフ博士が提唱した「サーバント・リーダーシップ」という考え方があります.これは要するに,「リーダーは権力を振りかざすのではなく,相手の話に耳を傾け,相手を尊重したうえで導いていく」という概念です.
実際,サーバント・リーダーシップのメリットは複数確認されていて,
- チームの間の協力関係が強化される
- 情報がスムーズに伝達される
- 仕事のモチベーションが向上する
- 市場においてもパフォーマンスが高い
といったあたりが報告されていたりします.個人的にもやっぱり自信家イケイケ上司よりは,こちらと同じ立場で耳を傾けてくれる人についていきたいもんだなーとか思います.
で,新しいデータ(R)では,さらに一歩進んで「サーバント・リーダーシップのメリットは組織内の女性の地位が高いほど大きくなる!」って結果になっておりました.女性のポジションが高い方が,謙虚なリーダーシップの恩恵が大きく表れるんじゃないの?ってことですね.
具体的にどんな調査だったかと言いますと,
- 複数の業界から,109のチームをピックアップ.
- それぞれおよそ3週間の間,参加者には上司や部下のサーバント・リーダーシップの度合いを評価してもらう.
- 加えて,社会的なモチベーション,仕事のパフォーマンスを採点してもらう.
- これらを,リーダーの性別,チーム内の女性の地位などの要素と比べる.
みたいになってます.上司・部下ののサーバント・リーダーシップってのはそれぞれ,「私の上司は私の考えを尊重してくれている」,「私の部下は他者の利益を最優先に考えている」みたいな意味です.
また,「社会的なモチベーション」っていうのは,「人の役に立つ仕事が好きだなー」ぐらいの感じ.
それで,どんなことがわかったかと言いますと,
- チーム内の女性の地位が高いほど,チームの社会的なモチベーションが高く,その結果フォロワーのサーバント・リーダーシップが高まり,仕事のパフォーマンスも向上した.
- この結果は,上司の性別によっては影響を受けなかった.
- もっとも,リーダーが女性の場合のほうがリーダーのサーバント・リーダーシップによるフォロワーのサーバント・リーダーシップがより大きく高まり,さらに仕事のパフォーマンスも向上する度合いが大きかった.
要するに,直接の上司の性別はどちらであっても,チーム内で女性のポジションが高いだけでチームにポジティブな影響が出る.また,女性の上司が謙虚な対応をする人の場合はそれが男性の上司である場合よりもチームはいい仕事をするってわけですな.
つまり,横柄な女性の上司は男性上司が横柄の場合よりもチームにネガティブな影響をもたらす一方,上司が謙虚な場合はそれが女性の場合の方が男性上司の場合よりポジティブな影響をもたらすというわけです.
研究チーム曰く,
我々の結果は,女性が男性的なリーダーシップのステレオタイプと認知的不協和に関連した典型的なネガティブな効果を最小限に抑え,ひっくり返しさえするために,サーバント・リーダーシップは理想的なリーダーシップのスタイルだ,と示唆している.
これらの結果は,現代の組織,特に女性中心的で共同社会的な業界においては,新しいマネジャーや社員においてもサーバント・リーダーシップのトレーニングをすることを検討すべきだということを示している.
とのこと.古典的な,「俺について来い!」みたいな形を女性がとると逆にネガティブな影響が出てしまいかねないけど,そこで謙虚なリーダーシップの形態をとればむしろチームにいい影響が出るんだ,というわけですね.
というわけで,チームを作る際には当然ながら女性に能力に見合ったポジションを任せて,人を導く立場の人は相手に耳を傾け,支配的にではなく信頼感からリードできる様に意識してみるといいんじゃないでしょうか.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!