副業・兼業が当たり前になってきている昨今.もうすでに副業を始めている人もいれば,これから始めようと思っている人もいるかと思います.
そこで気になるのは,「副業をすることで本業に支障が出てしまうんじゃないか?」って問題です.
で,ボールステイト大学などの研究(R)では,2つの実験を通して,「副業は本業にどんな影響を及ぼすか?」「副業をしている人と,していない人とで業務にどのくらい違いがあるか?」みたいなポイントを調べてくれておりました.
では早速調査の概要と結果を見ていきましょうー.
実験1
まず最初の調査では,
- まず,副業をしている大人128人分のデータを集め,本業に対するエンゲージメントのレベルを調べる.
- 1週間後,副業に対して同様の質問に回答してもらう.
って感じで,「副業をしている人は,本業と副業とでエンゲージメント(仕事への取り組み)のレベルが違うんじゃない?」って仮説が検証されました.
ちなみに,この調査に参加した人の職種は,本業として,損害賠償の解決員,ネットワークアナリストなど,副業として,操縦教官,牧師などが含まれていたそうな.
それで,その結果としてどんなことがわかったかというと,
- 本業と副業とでエンゲージメントレベルに有意差は見られなかった.
- 年齢が高いほど,エンゲージメントレベルにより大きな乖離がみられる傾向があったが,その影響も小さかった.
みたいな感じ.本業であろうと副業であろうと仕事には同じくらい真剣に向き合っていて,取り組みや姿勢に特に差異はないってことですな.
実験2
続いてもう一つの調査では,
- 教師306人(うち副業をしている人が86人)とバーテンダー77人(うち副業をしているのが31人)を集める.
- それぞれの仕事におけるエンゲージメントや仕事のパフォーマンス,家庭状況などを自己申告,他己申告により調べる.
みたいな感じ.つまり,「副業をしていると,副業をしていない人よりも,仕事への取組み,パフォーマンスが低下するんじゃない?」「家庭への配慮がおろそかになってしまうんじゃない?」って仮説を検証したわけです.
実験1では,同じ人を対象に,本業と副業の違いを調べたのに対して,実験2では,同じ職場において,副業をしている人としていない人を比較したということですね.
その結果何がわかったかというと,
- 教師,バーテンダーともに,副業をしている人としていない人とで,仕事に対するエンゲージメント,組織市民行動,仕事のパフォーマンスのいずれにおいても有意差は見られなかった.
- もっとも,教師,バーテンダーとも,副業をしている人はしていない人に比べて,家庭での対立レベルが高い傾向がみられた.
だったそう.副業をしていない人と比べた場合でも,副業は特に仕事に支障はきたさない.だけど,家庭における不和を抱えやすいってことですな.確かに,本業と同じレベルでリソースを副業にも費やしてしまったら,仕事以外のその他の日常生活にダメージが与えられてしまうのはわかる気がします.
まとめ
研究チーム曰く,
新しい仕事を追加することは大変なことだろうが,この研究が示す結果は,両方の仕事に対処し,バランスをとることを不安に思う人を勇気づける内容を示している.
とのこと.思っているより,副業を始めてもどっちもそれなりにやっていけるよ!ってことですな.
てことで以上の話をまとめると,
- 副業と本業は同じくらいのレベルで頑張れる.
- 副業をしていてもいなくても仕事の質は大体同じ.
- しかし,家庭への配慮をお忘れなく.
って感じっすね.すでに副業をしている人は,家庭にだけ気を付けつつ,自信をもって仕事を続けていただいて,これから副業を始めようと思っている人は,ちょっとでも心配が取り除けたなら幸いです.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterなどでご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!
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