新型コロナ等の影響もあって,人との接触がめっぽう減っている現代.情報の交換や会話もSNSとかメールとか字面で行われることが多くなっているように感じます.
私自身はそれは別に悪いことではないと思っているんですが,どうしても文字だけだと,感情がうまく伝わらなかったりすることは多かったりします.対面では自然に伝わる声のトーンだったり,ジェスチャー,表情といった情報が全くなくなってしまいますからね.
そこで,活躍しそうなのが,そう,「絵文字」.LINEとかのスタンプも多彩にありますし,文字以外の手段を用いることで,いろんな情報を伝えることができそうな気がします.
で,新しい研究(R)では,「絵文字がコミュニケーションにどう影響を及ぼすか?」みたいなポイントが調べられていました.
これは,オタワ大学の研究で,参加者は38人の大学生の男女.彼らには,複数のインスタントメッセージを見せて,送り手の感情,性格を評価してもらい,さらにメッセージを見ている間の目の動きを観察しました.
目の動きは,情報をどのくらいのスピードで処理できているか?みたいな点をチェックする方法としてよくつかわれる方法です.参加者に見てもらったメッセージはこんな感じの内容だったそう.
- ポジティブな文章+ポジティブな絵文字(ex. 仕事決まりました😃)
- ポジティブな文章+ネガティブな絵文字(ex. デート,とても楽しかったです😠)
- ポジティブな文章+ニュートラルな絵文字(ex. 今日一日最高でした😐)
- ポジティブな文章のみ
これをそれぞれネガティブな文章,ニュートラルな文章にも置き換えて調査したんだそう.文章と絵文字の組合せの違いによって読み手にどんな効果をもたらすのかってことを調べたわけですな.
その結果何がわかったかというと,
- 送り手の感情の評価に関しては,文章の内容によらず,絵文字がポジティブなものの時は送り手の気分もポジティブなんだろうと推測され,絵文字がネガティブな時は,送り手の気分もネガティブなんだろうと推測される傾向がみられた.
- この傾向はネガティブな方向の時のほうが顕著にみられた.
- ポジティブな文章+ポジティブな絵文字,ネガティブな文章+ネガティブな絵文字の時,送り手の気分の評価は文章だけの時よりも増幅されていた.
- ポジティブな絵文字が含まれているときは,送り手は優しく,温かい性格なんだろうと予測する傾向がみられた.
- 文章の内容に合致した絵文字が用いられた場合には,メッセージを処理する速度が上がり,理解度が向上した.
みたいな感じだったそう.要するに,
- メッセージ中に,文章の内容に合った絵文字を盛り込むことで,メッセージ全体のイメージが形成されて,読み手の処理の補助になる!
といった感じ.対面において,ジェスチャーとか声のトーンとか複数のヒントがあったほうが情報処理がより効率的に行われる,みたいなことが言われたりしますが,絵文字にもそのような役割を果たす可能性があるってことですね.
人の話をちゃんと聞いているかどかはほぼ半々!みたいなデータもありますが,やはり人間は言葉の内容自体というよりは雰囲気から得る情報に大きく左右されているのかもしれませんねー.
研究チーム曰く,
我々の発見を確証づけるにはさらなる調査が必要ではあるが,効率的にメッセージでの情報交換を行い,感情を表現し,ポジティブなアイデンティティを形成するために,ユーザーには絵文字,特にポジティブな絵文字を使うことを推奨したい.
とのこと.文字上でのやり取りの中では,絵文字を効果的に使うことによって正しく情報,感情を伝えられるようになるだけでなく,相手の抱くこちらの印象もよくすることができるかもよってことですな.逆に,ネガティブな絵文字の利用は控えた方がいいかもしれませんね.
まあもちろん,小規模な研究ですし,どの程度の関係性の人になら有効かとか,文章との比率はどのくらいがいいかとかはわかりませんが,ほどほどに使ってみるのは十分ありでしょう.私もたまには使ってみようかなー.
参考になれば幸いです😀質問やコメントなどありましたらTwitterなどでご連絡いただけると嬉しいです😀
それではっ!😀
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