睡眠に関する研究は昔から大量にあるわけで,あらゆる面で睡眠が超重要!というのはもはや常識.
で,アメリカの若者を対象にした調査(R)では,「睡眠のパターンと精神的,身体的な健康にどのくらい関係があるのか?」を取り扱ってくれておりました.
スマホの普及等で夜更かしがよりしやすくなり,でも始業時間は変わらないから自ずと睡眠時間が短くなる.また,平日の睡眠不足を埋めるために休日は遅くまで寝ている,みたいなことが増えている点を踏まえれば,多くの面で体に不調が生じることは想像に難くないところ.
若いころにメンタルが傷つくと,将来,より大きなメンタルの疾患を発症する傾向が見られたりするので,若いころの睡眠は今だけでなく将来の健康にも大きく影響してくる重要なポイントじゃないでしょうか.
んで,どんな調査だったかというと,
- 対象はアメリカの13歳から18歳の若者10,123人.
- 過去12か月の睡眠状況(平日の就寝時刻や睡眠時間,休日の起床時刻や就寝時刻,睡眠時間など)とともに,メンタルの状態(気分や不安感など)と,その他健康に関する要素(タバコを吸うか,けがをしたか,主観的な身体的・精神的な状態など)をチェック
みたいになっています.いろんな要素との関係で,睡眠パターンがどう影響しているのかを調べたわけですね.
でもって,分析の結果,どんな傾向が見て取れたかと言いますと,
- 平日の就寝時刻の遅さは,気分の落ち込み,不安感,薬の使用,たばこの喫煙,主観的な身体的,精神的な健康レベルの低さと正の相関がみられた.
- 平日の睡眠時間が短さ,平日に比べた休日の就寝時刻の遅さ,休日と平日の睡眠時間の差の大きさとの間にも同様の傾向がみられた.
- 一方,けがや摂食障害との間には関係がみられなかった.
だったそうです.詳しく見てみると,例えば,平日の睡眠時間が7時間以下の人は,7-8時間の睡眠をとっている人に比べて気分の落ち込みのレベルが2.05倍(1.56-2.71)だったりします.
単純に考えれば,今7時間以下しか睡眠をとっていない人が,7-8時間の睡眠をとれば,気分が2倍以上になるってことっすね.どのくらい継続すればいいのかはわかりませんが,相当日常の活動に変化が出そうです.逆に,7時間以下の睡眠しかとっていない人は,今は実感できずとも,自分のベストの状態の半分以下でしかパフォーマンスを発揮できていないという可能性もあります.こわいっすねー.
また,中高生時代の睡眠パターンが20代になってからの抑うつに関係しているという報告もあったりしますし,学生時代の睡眠は将来に大きな影響を与えそうですねー.
研究チーム曰く,
これらの関係は,睡眠パターンを最適化するための介入が,精神疾患の発症を予防し,または隠れていた,前駆症状のメンタルヘルスの問題を保護者が認識できるマーカーとして機能することで,子供たちの青年期のメンタルヘルスに役立つ可能性があることを示唆している.
とのこと.もちろんこれは横断研究なんで因果関係はわかりませんが,やっぱり中高生も1日7時間から8時間の睡眠を規則正しくとるのがメンタルヘルスの面からもいいんじゃないかなーと思いました.
学生自身だけでなく,親御さんとかにも参考になれば幸いです.それではっ!
<おすすめ本とか>