「結局, 寝すぎ,睡眠不足はメタボと関係があるの?」みたいな点を調べたメタ分析(R)が出ておりました.睡眠と体形の関係を調べたメタ分析は以前から複数あったんですが,意外と一貫性がなくて「本当に睡眠時間とメタボのリスクは関係があるの?」って点ははっきりしていなかったりするんですよね.
この研究は,過去に発表された,45件の研究をピックアップしたもの.ざっとデータの内訳をまとめておくと,こんな感じです.
- 36件が横断研究,9件が縦断研究.
- トータルの参加者は,メタボの人が164,799人,非メタボの人が430,895人.
- 平均年齢は,37.3歳から63.6歳.
- 睡眠時間の調査はすべて自己申告のもの.
- 「短時間睡眠」の定義は,5時間以下,または6時間以下,「長時間睡眠」も定義は,9時間または10時間以上.
トータルの参加者が60万人程度にもなっていて,大規模なデータセットになっています.睡眠時間の計算においては,昼寝の時間も計算に入れられたりしていて,なかなか参考になりそうじゃないでしょうか.
で,その結果は以下のようになりました.
- 短時間の睡眠の人は,メタボになりやすく(RR = 1.28, 95% CI = 1.07–1.53),実際メタボの人が多かった (OR = 1.11, 95% CI = 1.05–1.18) .
- 長時間睡眠の人は,メタボの人が多かったが (OR = 1.14, 95% CI = 1.05–1.23),メタボになりやすいとは言えなかった(RR = 1.16, 95% CI = 0.95–1.41).
- 長時間睡眠とメタボのなりやすさは,夜の睡眠時間の長さよりも,昼寝を含めた24時間での睡眠時間の長さと優位な関係がみられた.
というわけで,とりあえず,メタボになるのを防ぐには,
- 「睡眠時間が短い人は十分な睡眠時間をとるべし!」
- 「昼寝はほどほどにすべし!」
みたいな印象を受けました.
もちろん睡眠時間の長さがどの研究でも自己申告だったりするし,睡眠の質とかによってもどの程度変わってくるかはわかりません.また,どの程度まで,運動や食事でカバーできるかは不明です.でもまあ「睡眠時間」という点においては7,8時間程度にしておくのがベストなんじゃないかなーとか思いました.
ちなみに過去の東大のメタ分析なんかでは,1時間以上の昼寝をする人のメタボになる確率が50%高い,という結果が出ていたりします.なんで,昼寝は,その目的をはっきりさせつつ,60分は超えないような時間でとるのがいいんじゃないかと思います.
参考になれば幸いです.それではまた.
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