食事

「赤身肉でメンタルに悪影響が出る!」ってホント?って点を調べた話.

「赤身肉って結局どうなん?」っていう問題が以前からあります.「良質なタンパク質や亜鉛,鉄,ビタミンBなんかを取れるんだから積極的に食べるべき!」という主張もあれば,一方で,「コレステロールや飽和脂肪酸が炎症を引き起こして,2型糖尿病や,心血管系のリスクにつながるから控えるべき!」という主張もあるんですよね.

確かに体の炎症は万病の元ともいわれていて,老化のスピードの加速につながってしまうんですよね.

もっとも,これまでの研究では,実際に,「赤身肉は体の炎症を増やす!」ってものもあれば,逆に,「赤身肉は体の炎症を減らす!」という結論のものもあって,一貫した結論が得られていないんですよ.

そして実際に炎症が引き起こされるのであれば,当然脳への影響も懸念され,メンタル面での不調につながることも考えられます.ってことで,「赤身肉はメンタルに良くないのか?」って疑問に取り組んだ横断研究のデータ(R)が出ていたので簡単に見ていきましょう.私のような肉好きの人には非常に気になるところです.


この調査では,テヘランの女性482人を対象にして,食習慣によってメンタルにどんな影響が出ているかをチェックしております.対象者の平均年齢は31.87±7.6歳となっていて,過去1年間の食習慣を報告してもらうと同時に,メンタルの状態を調査する質問に回答してもらいました(DASS-21を使用).

ちなみに,テヘランでは,女性のほうがメンタルの問題に悩まされやすいという理由から,女性のみを対象に選んだそう.


その結果はというと,

  • 各因子を調整した結果,赤身肉をよく食べる上位25%の人は,下位25%の人より抑うつ,不安,ストレスを抱えている傾向がみられた.(それぞれ,OR: 2.51; 95% CI: 1.32–4.76; p = 0.002. OR: 1.82; 95% CI: 1.00–3.29; p = 0.034. OR: 3.47; 95% CI: 1.88–6.42; p < 0.001)

ってことで,一貫してネガティブな影響がみられていることがわかります.調整した因子には,年齢とかだけでなく,BMIまで入っています.BMIが高いと内臓脂肪が多い可能性が高く,自然と炎症や糖尿のリスクも高くなるはずなんですが,この点を考慮してもなお,ネガティブな影響がみられたということです.


この結果の原因は複数考えられて,例えば,

  • アラキドン酸とEPA, DHAのバランスが崩れて,炎症が発生していた.
  • 動物性たんぱく質の摂取により,微生物が消化器官と脳の伝達系から抑うつを引き起こした.
  • 単に赤身肉を好む人は運動等の生活習慣に問題がある.

みたいなことが考えられます.


もっとも,他の地域で行われた先行研究なんかでは赤身肉とメンタルの状態に優位な関係がみられなかったりしているし,そもそも横断研究で,男性や,その他の年代の人にも同様の結果がみられるかははっきりしません.


個人的には,赤身肉に含まれるタンパク質等の良質な栄養分を考えると,新鮮で,調理方法に気を付ければ,そこまで気にする必要はないんじゃないかな?とも思ったりします.加工レベルが高い食肉とかを食べるよりは全然いいと思うので.身体面でも食べ方次第で赤身肉はポジティブな効果が確認されていたりしますしね.

参考になれば幸いです.それではまた.

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