性格

性格によって記憶力が異なる.じゃあ,性格が変われば,記憶力も変わるか?という話.

ビッグファイブによって人生が決まる!」みたいな主張があって,そのなかで,「ビッグファイブで記憶力も決まる!」ということが言われたりします.

ビッグファイブというのは,現在心理学で「もっとも適当」と言われる性格分類法で,

  • 外向性(社交性が高くためらいなく自分を外に表現できる)
  • 開放性(創造性,好奇心が高い)
  • 協調性(他人への信頼,親切さが高い)
  • 神経症的傾向(うつ,不安がち)
  • 誠実性(セルフコントロール能力が高くてコツコツ物事を進められる)

簡単には以上の5つに分けられるんですが,記憶力との関係では,

  • 神経症傾向が高いと,記憶力が低い!」
  • 「誠実性や開放性が高いと,記憶力が高い!

とか言われたりします.「誠実性が高いととにかく成功しやすい!」「開放性が高いとIQが高い!」「神経症傾向が高いとうつ病になる!」とかよく言われていて,記憶力の面でも誠実性,開放性が有利な一方で神経症傾向は残念な感じなわけです.


ですが,年を取ってくると多少ビッグファイブのスコアも変わることがありまして,それによって記憶力の面でも違いが生じるんじゃない?みたいなことを調べたデータ(R)が出ていました.



これは,それぞれ1500人以上を対象にした4つの調査から,トータルして平均年齢63.43歳の男女12,741人のビッグファイブの変化とエピソード記憶についてまとめられたものになっております.

早速その結果はというと,

  • 高い記憶力は,神経症傾向の低さ(B = −0.002; 95% CI = −0.004, −0.0008),協調性(B = 0.004; 95% CI = 0.002, 0.007),誠実性の高さ (B = 0.005; 95% CI = 0.0008, 0.010)と相関がみられた.
  • 記憶力の低下は,外向性(B = 0.06; 95% CI = 0.003, 0.11),開放性(B = 0.04; 95% CI = 0.007, 0.069),誠実性の低下(B = 0.05; 95% CI = 0.019, 0.09)と相関がみられた.

みたいな感じでして,ビッグファイブの変化によって多少記憶力のレベルにも影響が及ぶのかも?って感じですが,その大きさは小さいし,サンプルによるばらつきもみられることから,そんな重大な変化はないんじゃない?みたいな気がします.

もちろん若い人にもそのまま当てはまるとは限らないし,エピソード記憶以外の認知能力にはどう影響するのかはこの研究からははっきりしません.

まあ,誠実性や開放性を鍛えたり,神経症傾向を改善するのは記憶力以外の他の側面からもポジティブな効果が期待できますから,「仕事のパフォーマンスをあげるついでに記憶力も上がるといいなー」みたいに思うくらいがいいのではないでしょうか.

参考になれば幸いです.それではまた.

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